CSR調達の取り組み
サプライチェーン管理
エプソンは、サプライヤーを事業活動における重要なビジネスパートナーと考え、公平公正・共存共栄を基本に、相互信頼に基づく関係を築き、ともに発展していくことを目指した調達活動を展開しています。
エプソンは、日本のみならず、多くの国・地域から調達を行っており、調達金額比では、日本36%、海外64%となっています。
調達品目には、製品組立に必要な原材料や部品、加工委託などの直接材と、工場消耗品、機械装置、広報宣伝、物流、業務委託、人材派遣などの間接材・サービスが含まれます。調達金額比率は、直接材62%、それ以外38%となっています。
直接材は、約1,700社のサプライヤーと取引をしており、主力の生産拠点が所在するアジア地域を中心に調達ネットワークを構築しています。
調達概況
CSR調達推進プログラム
エプソンのサプライヤー管理プログラムは、サプライヤーガイドラインの遵守要請、サプライヤーによる自己評価、リスク分析、現場確認、改善活動のサイクルにより行っています。各評価プロセスにおいてサプライヤーと協働で改善活動を行い、サプライチェーン全体のCSRレベルの向上に取り組んでいます。
1.新規取引開始時の評価
エプソンは、新たに取引を始めるサプライヤーに対し、取引開始の条件として、エプソングループサプライヤーガイドライン/サプライヤー行動規範(労働・人権、安全衛生、環境、倫理を含む)への遵守同意の取得と、取引可否判定の手続きを定めた基準に基づく間接評価と直接評価を実施し、サプライヤーのCSRへの取り組み状況を含めて総合的に評価しています。
| 間接評価 | 外部信用調査機関の情報を活用した評価 評価項目:評価点、業歴、資本構成、企業規模、損益状況、資金現況、経営者など |
|---|---|
| 直接評価 | 定期評価に準じたセルフアセスメント 評価項目:品質管理、コスト管理、納期管理、環境管理、事業継続マネジメントや腐敗防止体制を含むマネジメントシステム(M)、情報セキュリティー(S) |
2.定期評価
エプソンは、基本的に全サプライヤーを対象として毎年定期評価(サプライヤーによる自己評価/セルフアセスメント)を実施し、回答いただいています。
評価項目は、品質管理(Q)、コスト管理(C)、納期管理(D)のほか、環境管理(E)、マネジメントシステム(M)および情報セキュリティ(S)におよびます。マネジメントシステムでは、事業継続マネジメントを含むリスクマネジメントや、腐敗防止を含むコンプライアンス体制など、企業の経営管理体制や運営の仕組みが整備され、有効に機能しているかを確認しています。また、近年世界的に多発しているサイバー攻撃や情報漏えいなどへの対応として、情報セキュリティーに関する確認もあわせて実施しています。
定期評価の結果を受け、エプソンが定める基準を満たないサプライヤーに対しては、改善要請を行うとともに、改善支援を実施しています。なお、一定期間内に、改善が図られない場合には、取引継続を見直すこととしています。2025年の定期評価では、基準を満たさなかった4社について改善を要請し、各社において改善の取り組みをしていただきました。
| 区分 | 設問数 |
|---|---|
| Q. 品質管理 | 12 |
| C. コスト管理 | 5 |
| D. 納期管理 | 5 |
| E. 環境管理 | 5 |
| M. マネジメントシステム | 19 |
| S. 情報セキュリティー | 25 |
| 合計 | 71 |
定期評価実績
|
|
2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|
| サプライヤー数 | 900社 | 897社 | 954社 | |
| 回答受領率 | 目標 | 100% | 100% | 100% |
| 実績 | 100% | 100% | 100% | |
| 改善要請取引先 | 14社 | 1社 | 4社 | |
3.CSRデューデリジェンス
エプソンはサプライヤーに対するCSRデューデリジェンスを体系的に実施しています。グローバルなサプライチェーン全体のCSRレベルの向上を目指すとともに、Responsible Business Alliance (RBA)レギュラー会員に求められるサプライヤー管理要件*1の遵守状況を確認するため、サプライヤーによる自己評価(Self-Assessment Questionnaire、SAQ)を毎年実施しています。その評価結果をもとに、必要な是正措置を要請するとともに、継続的な改善を支援しています。また、監査や現場確認およびインタビューなどを通じてサプライヤーの実態を確認するプロセスも行っています。
エプソンは、RBAレギュラー会員要件および他の要求に基づき、SAQのスコアにおいてハイリスクと評価されたサプライヤーについては、RBA基準等に従い監査を受けていただき、是正に取り組んでいただきます。また、スコアにかかわらず、重要な人権項目における不適合が確認された場合には、是正を要請し、その対応状況を確認しています。
(1)評価
エプソンは、CSRデューデリジェンスの一環として、毎年リスクアセスメントによる対象選定を行ったうえで、サプライヤーによる自己評価(セルフアセスメント)を実施し、評価を行っています。評価帳票は、Responsible Business Alliance(RBA)が提供するオンラインSAQ(Self-Assessment Questionnaire)に加え、RBAの現地監査基準(VAP監査基準)に基づいてエプソンが独自に設計した評価帳票(エプソンSAQ)を活用しています。エプソンSAQは、労働に関する設問を多く取り入れ、また、先住民や外国籍移住労働者の権利保護についての設問も含み、サプライヤーにおける人権尊重の取り組み状況の詳細を確認できる構成としています。さらに、エプソンの製造拠点が所在する各国・地域のローカルサプライヤーにもSAQの内容を正しく理解し、適切評価・回答いただくことを目的に、多言語*1に対応した帳票を使用しています。
*1 直接材サプライヤー用帳票は3カ国語、その他のサプライヤー用帳票は6カ国語
エプソンSAQの設問構成(2025年版)
| 区分 | 対象 & 設問数 | |
|---|---|---|
| 直接材 サプライヤー |
その他の サプライヤー |
|
| A. 労働(人権) | 49 | 49 |
| B. 安全衛生 | 32 | 13 |
| C. 環境 | 15 | - |
| D. 倫理 | 14 | 9 |
| E. マネジメントシステム | 16 | 9 |
| O. 先住民の権利保護 | 3 | 3 |
| 合計 | 131 | 83 |
SAQ実施実績
RBAのレギュラー会員要件やその他の要求に基づき、リスクアセスメントによる対象選定の結果、2025年は、以下のサプライヤーについて、SAQを実施しました。
SAQ実施対象(2025年)
| (選定の考え方) | ||
|---|---|---|
| 1. 直接材サプライヤー | 主要サプライヤー | グループ調達額80%に該当する上位取引先*1 |
| その他の重要なサプライヤー | 事業ごとに選定した重要なサプライヤー、シングルソースサプライヤーなど | |
| 特定の高リスク地域に所在するサプライヤー | ||
| 2. その他のサプライヤー | 構内常駐会社*2 | セイコーエプソンおよび製造拠点に常駐する会社 |
| 人材派遣・紹介会社 | セイコーエプソンおよび製造拠点において活用する会社 | |
| 物流倉庫会社 | セイコーエプソンおよび製造拠点において活用する会社 | |
*1 エプソンの一次サプライヤーを取引額の多い順から並べ、その取引額の合計が総取引額の80%を超えるまで上位から選択したサプライヤー。一次サプライヤーが商社の場合には、その先のメーカーにSAQへの回答を依頼
*2 エプソンの拠点において、警備・食堂などの役務を提供する委託先
直接材サプライヤー
2025年の調査では、リスク評価の結果、対象となる直接材一次サプライヤー265企業グループにSAQ回答を依頼し、全てのサプライヤーから回答いただきました(775製造拠点/事業所)。また、一次サプライヤーが商社の場合にはメーカーである二次サプライヤーにもお願いし、SAQに回答いただきました。
RBAのオンラインSAQを利用し回答されるサプライヤーが年々増加しており、約60%を占めるようになっています。なお、2023年にRBAがオンラインで提供するSAQが「リスクSAQ」に刷新され2024年から利用が必須となりましたが、それにより、RBAオンラインを用いた回答において新設のカントリーリスクおよびプロダクトリスク(事業リスク)に関する設問の得点が低くなる傾向がありました。エプソンは、RBAオンラインSAQで回答するサプライヤーの事業所に関しては、回答の不備および確認できたリスク事項について、サプライヤーと直接コミュニケーションを行い、是正の取り組みをお願いしています。
また、エプソンSAQにおいても、カントリーリスクおよびプロダクトリスクを配点に組み入れ、RBAオンラインの評価との同等性を確保しました。エプソンSAQを用いて回答されたサプライヤーに対しては、SAQのスコアに加えて、前年回答との比較や課題事項の改善に向けた助言を含むフィードバックシートを作成し、全ての対象サプライヤーへ結果を通知するとともに、人権に関わる重要項目*1については、是正計画の策定および是正完了まで進捗状況のモニタリングと支援を行いました。
2025年のSAQの結果は、RBAオンラインSAQおよびエプソンSAQいずれの回答においても、スコアが60点未満のハイリスクのサプライヤーはありませんでした。
*1人権に関わる重要項目:(一部抜粋)
・児童労働禁止(検出なし)
・奴隷労働・強制労働禁止(適切な雇用契約書の締結、移動の自由、会社ローンの制限)
・労働時間の適正管理(連続勤務7日未満、上限労働時間(週60時間))
・賃金の適正な支払い(最低賃金以上の支払い、超過時間勤務賃金の適正な支払い、支払日の遵守)
・就職手数料の労働者負担禁止
・人道的待遇(ハラスメント禁止)
・避難訓練(全員参加、日没後実施、寮での実施など)
・適切な個人用保護具の無償提供
・妊婦・育児中の女性の安全対策、清潔な搾乳場所の提供など
直接材主要サプライヤーの評価結果
| 2023年 | 2024年 | 2025年 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 評価対象サプライヤー | 270社*1 | 267社*1 | 265社*1 | ||||
| エプソン SAQ (401 事業所) |
RBA SAQ (146 事業所) |
エプソンSAQ (433 事業所) |
RBA SAQ (243 事業所) |
エプソン SAQ (311 事業所) |
RBA SAQ (464事業所) |
||
| リスクランク*2 | ローリスク | 96% (524 事業所) |
78% (530 事業所) |
58% (451 事業所) |
|||
| (378 事業所) | (146 事業所) | (406 事業所) | (124 事業所) | (253 事業所) | (198 事業所) | ||
| ミディアムリスク | 4% (23 事業所) |
22% (146 事業所) |
42% (324 事業所) |
||||
| (23 事業所) | (0 事業所) | (27 事業所) | (119 事業所) | (58 事業所) | (266 事業所) | ||
| ハイリスク | 0% (0 事業所) |
0% (0 事業所) |
0% (0 事業所) |
||||
*1 企業グループ
*2 リスク判定基準
| RBAオンラインSAQ | エプソンSAQ | |||
|---|---|---|---|---|
| 2023年まで | 2024年以降 | 2024年まで | 2025年以降 | |
| ローリスク | 85点以上 | 80点以上 | 85点以上 | 80点以上 |
| ミディアムリスク | 65点以上85点未満 | 60点以上80点未満 | 65点以上85点未満 | 60点以上80点未満 |
| ハイリスク | 65点未満 | 60点未満 | 65点未満 | 60点未満 |
その他のサプライヤー
エプソンは、事業運営上重要なパートナーであるその他のサプライヤーについてもRBAの要求を理解していただくとともに、これに準拠した会社運営の改善に取り組んでいただいております。
2019年以降、主要なサプライヤーとして構内常駐会社、人材派遣・紹介会社および物流倉庫会社について、SAQの回答をお願いし、SAQの結果を受けて是正活動を要請してきました。リスク評価の結果、2022年以降は対象を拡大しています。
また、製造拠点においては、構内常駐会社の従業員の労働環境・雇用状況を確認するため、SAQに加えて監査を行い、検出された労働時間、休日付与、連続勤務日数、超過時間勤務賃金の適切な支払いなどの課題について、是正が確認できるまで支援を行っています。このような取り組みにより、SAQスコアの向上が確認できています。
2025年は、セイコーエプソンの事業所およびエプソンの主要製造拠点において、構内常駐会社146社、人材派遣・紹介会社80社を対象にSAQを実施し、すべての対象会社SAQの回答をいただきました(回答率100%)。直接材サプライヤー同様に、人権に関わる重要項目に課題が検出された場合には、是正計画策定および是正活動をお願いし、是正完了まで対応状況の確認を行っています。
(是正確認の事例)
- 製造請負会社において、雇用する外国籍労働者が送り出し国にて負担した費用(日本語教育費、ビザ取得費など)を労働者本人に返金
その他のサプライヤーの評価結果
| サプライヤー属性 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|
| 構内常駐会社 | 警備 | 24社 | 24社 | 21社 |
| 食堂 | 16社 | 18社 | 19社 | |
| 清掃 | 19社 | 19社 | 16社 | |
| 設備保守 | 17社 | 16社 | 16社 | |
| その他 | 75社 | 72社 | 74社 | |
| (小計) | (151社) | (149社) | (146社) | |
| 人材派遣・人材紹介 | 93社 | 102社 | 80社 | |
| 物流倉庫会社*1 | 8社 | 57社*2 | 8社 | |
| コールセンター*1 | 25社 | 27社 | - | |
| リスクランク*3 | ローリスク | 87% (242社) |
91% (398事業所) |
98% (297社) |
| ミディアムリスク | 13% (35社) |
9% (40事業所) |
2% (7事業所) |
|
| ハイリスク | 0% (0社) |
0% (0事業所) |
0% (0事業所) |
|
*1 リスク評価の結果、2023年、2024年は、物流倉庫会社およびコールセンター委託業務先に対してSAQを実施しました。2025年は、コールセンターはSAQ対象外となりました。
*2 販売会社が活用する37社を含みます
*3 リスク判定基準
| 2024年まで | 2025年以降 | |
|---|---|---|
| ローリスク | 85点以上 | 80点以上 |
| ミディアムリスク | 65点以上85点未満 | 60点以上80点未満 |
| ハイリスク | 65点未満 | 60点未満 |
(2)モニタリング(監査、現場確認、改善支援)
エプソンは、CSRデューデリジェンスにおいて、サプライヤーを訪問して監査や現場確認を行い、状況を把握しモニタリングすることが重要であると認識し、主要製造拠点を中心に計画的に実施しています。確認の結果、リスクが確認されたサプライヤーについては、是正活動を支援しています。
第三者監査
サプライヤーによるRBA(VAP)監査受審は増加しています。さらに、高いレベルの結果に対して付与される認証を取得する拠点が多くなっており*、サプライヤー拠点におけるRBA行動規範の遵守状況は着実に向上しています。VAP監査受審前のコミュニケーションに加え、イニシャル監査後は確認された不適合事項に対するCAP(是正活動計画)推進への助言・支援を行い、また、クロージャー監査での是正状況のモニタリングも行っています。
* 2025年にRBA(VAP)監査を受審したサプライヤー拠点(101拠点)のうち、約70%(76拠点)がシルバー以上の認証を得ています。さらに、約23%(23拠点)は、不適合が一切ない満点(200点)に対して付与されるプラチナを得ています。
現場確認、是正・改善支援
エプソンの製造拠点のメンバーがサプライヤーを訪問し、現場確認と是正活動の支援を行っています。
構内常駐会社については、エプソン社員による二者監査を実施し、労働時間の削減・管理、休日の付与、超過時間勤務賃金の適切な支払い、就職手数料の労働者からの徴収の禁止などの労働環境の改善を実施していただきました。
監査・現場確認実績(拠点数、日本およびその他地域)
| 2023年 | 2024年 | 2025年 | ||
|---|---|---|---|---|
|
第三者監査 (RBA(VAP)監査) |
イニシャル監査 | 26 | 50 | 77*2 |
| クロージャー監査 | 12 | 32 | 24 | |
| 二者監査・現場確認 | 直接材サプライヤー | 217 | 231 | 183 |
| その他のサプライヤー (構内常駐会社等) |
55 | 54*1 | 50 | |
| 合計 | 272 | 367 | 334 | |
*1 人材派遣・人材紹介10社を含みます
*2 プライオリティ不適合の事例:
| 不適合項目 | 所在地域 | 状況 |
|---|---|---|
| VAP-A1.1(外国籍移民労働者の就職手数料) | マレーシア | 是正(返金)完了 |
| VAP-A1.1(外国籍移民労働者の就職手数料) | 台湾 | 是正(返金)対応中、完了予定2026/12 |
| VAP-A1.3(政府発行の個人文書原本のエージェント預かり) | マレーシア | 是正(返却)完了 |
| VAP-B2.3(非常時の備え) | 台湾 | 是正完了 |
サプライチェーンにおける人権尊重への取り組み
エプソンは、「人権方針」において、自社のみならずサプライヤーにおいても人権が尊重されるべきことを宣言しています。人権方針において述べている通り、国連のビジネスと人権に関する指導原則を遵守し世界人権宣言他で述べられた国際的に認められた人権を尊重していくことはもとより、RBAの趣旨に賛同し会員として、サプライヤーにおいてもRBA行動規範が遵守されることに努めています。このような取り組みにより、エプソン製品のサプライチェーン全体において人権が尊重されることを目指しています。
サプライチェーンにおける環境への取り組み
エプソンは、原材料の調達から製品の廃棄・リサイクルに至るまで、事業活動全体を通じて環境負荷の低減を推進しています。初期段階を担う調達活動においては、サプライヤーとの協働が不可欠であり、共に環境負荷低減に取り組んでいます。
外部団体との連携
サプライチェーンにおける人権尊重を含むCSRは、世界的な課題であり、自社の努力・取り組みだけで解決できるものではありません。エプソンは、サプライチェーンCSRの向上を目的とするアライアンスの活動を支持し、積極的に活動に参加しています。アライアンス・団体に加盟し活動することにより、世界におけるさまざまな社会課題に関する知見の共有や解決および、業界連携によるサプライチェーンCSRの向上に取り組んでいます。
【グローバルに活動するイニシアチブ】
Responsible Business Alliance(RBA)レギュラー会員
(参加企業数)272社(2026年6月現在)
【日本の業界団体】
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)「CSR委員会」
(参加企業数)34社(2026年6月現在)
(活動例)
- CSR全般への対応(各国の規制状況の把握・共有 など)
- CSR調達管理の効率化(責任ある企業行動ガイダンスの作成、サプライチェーンに対する教育・啓発活動 など)
- 苦情処理メカニズムの活用・発展
- 政府およびCSR関係団体・機関への対応