方針・体制
サプライチェーンCSRの目指す姿
エプソンは、経営理念において、ビジネスパートナーとの共存共栄を示す「社会とともに発展」することを掲げ、「なくてはならない会社」となることを目指しています。サプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーに対し、高い水準の倫理行動を求めると同時に、パートナーの自主自立を尊重することで、共存共栄を実現できると考えています。
また、エプソンは、「持続可能でこころ豊かな社会の実現」に向け、2021年度に社会課題を起点に取り組むべき4つの最重要課題「マテリアリティ」を特定し、それらを実現するための12の取り組み「サステナビリティ重要テーマ」を設定し、取り組んできました。
さらに、2026年3月に策定した長期ビジョン 「ENGINEERED FUTURE 2035」においてマテリアリティを再定義し、「価値創造を支える基盤」として「責任ある経営と実行」を掲げています。その主な取り組みテーマとして、サプライチェーンBCMの強化と責任あるサプライチェーンの実現を定めています。
なお、持続可能な社会実現のための国際的枠組みである「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の趣旨に賛同し、エプソングループ全体で達成に貢献していきます。
エプソンは、責任あるサプライチェーン構築に取り組む手段として、電子・電機機器、小売、自動車、玩具業界の企業同盟であるResponsible Business Alliance (RBA)のミッションおよび行動規範に賛同し、加盟しています。RBA行動規範は、労働・人権、安全衛生、環境、倫理を網羅する国際的に認められた高い水準でのCSR要求項目で構成されており、定期的に見直されることにより共通に取り組むべき水準の向上が図られています。
エプソンは、RBA行動規範の遵守とともに、サプライチェーンのデューデリジェンス義務など高いレベルでの取り組みが求められるRBAのレギュラー会員の会員資格で加盟し、自ら取り組むとともに、サプライヤーにも取り組みを要請し、サプライチェーン全体でのCSRの向上に取り組んでいます。
CSR調達方針
エプソンは、経営理念の実現に向け、「企業行動原則」において重要実施事項を定めています。人権尊重、環境負荷低減、コンプライアンスの遵守、責任ある鉱物調達といったCSR関連事項に加え、ビジネスパートナーとの関係構築に向けた基本姿勢としてビジネスパートナーとの共存共栄を掲げています。
また、「エプソングループ調達基本方針」には、調達の基本姿勢を定めています。具体的には、各国の法令や国際ルールを遵守し、人権、環境を含む社会的責任を果たすこと、お取引先様と公平公正・共存共栄を基本とした相互信頼に基づくパートナーシップによる持続可能なサプライチェーンを構築すること、Q(品質)、C(価格)、D(納期)の安定と適正化によるお客様に価値ある商品やサービスを提供することを定めています。
これらの上位方針のもと、「エプソングループサプライヤーガイドライン」を制定し、調達に関する基本的な方針事項をサプライヤーに周知し、遵守を要請しています。また、同ガイドラインには、Responsible Business Alliance (RBA)が要求する労働、安全衛生、環境、倫理、マネジメントシステムに関する行動規範を含めています。
サプライチェーンCSR戦略
エプソンは、経営理念の根底に流れる「信頼経営」の思想に基づき、企業行動原則にのっとってサステナビリティ活動を推進し、社会課題の解決への貢献と企業の持続的成長の両立を目指しています。事業活動を展開する各国・地域において法令を遵守することはもとより、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)やResponsible Business Alliance (RBA)行動規範などの国際的な社会規範を尊重しています。
さらに、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に示されているとおり、エプソンの責任は、サプライチェーンにも及ぶとの認識の下、会社の方針「持続可能でこころ豊かな社会の実現」をもとに、「人権」と「持続可能性」の観点から中長期的なサプライチェーンCSRの重点施策項目を戦略的に定めています。
これらの取り組みは、SDGsが掲げる諸目標の実現にもつながるものであり、SDGsが目指す2030年を目標年として推進しています。
サプライチェーンCSR推進体制
サプライチェーンマネジメント(SCM)担当役員は、SCM推進責任者として、サプライチェーンにおけるCSR推進をグループ全体で連携させながら実施しています。
目標・活動計画は、本社サプライチェーンCSR主管部門を事務局とし、全事業部およびグループ会社の調達部門メンバーからなるグループ横断の「CSR調達検討委員会」において協議し、グループ全体に周知・徹底を行い実行しています。SCM推進責任者は、活動の進捗状況を定期的にレビューするとともに取締役が参加する経営会議体の一つである経営戦略会議に対して定期的に活動を報告し、重要事項について審議を受けています。
中期目標(KGI)と年度目標(KPI)
サプライチェーンCSRの目指す姿を実現するため、マテリアリティに基づく取り組みテーマとして、中期目標(KGI)と年度目標(KPI)を設定し、活動を推進しています。
中期目標(2035年)
責任あるサプライチェーンの実現
2025年度実施項目と実績
| 実施項目 | 実績 | |
|---|---|---|
| 1 | サプライチェーンCSRレベルの維持・向上 | SAQによるCSRリスクレベル 1) サプライヤーのCSRリスクレベル:直接材*1の主要サプライヤーのハイリスク*2 0%(0社) 2) サプライヤーのCSRリスクレベル:構内常駐のサービス業者および人材系エージェントのハイリスク*2 0%(0社) ※サプライヤーが受審したVAP監査におけるプライオリティ不適合の是正未完了:3社(3項目)*3 |
| 調査回答回収率:100% | ||
| 2 | 紛争鉱物調査の強化 | 1)調査回答回収率:CMRT99%、EMRT98%*4 2)サプライヤーへの製錬所・精製所情報の提供:毎月1回(12回/年) |
| 3 | サプライチェーンBCM*5 強化 | 1)サプライチェーン途絶による販売影響:ゼロ |
*1 直接材:製品組立に必要な原材料や部品、加工委託など
*2 ハイリスク:SAQにおいては60点未満、RBAのValidated Assessment Program(VAP監査)を含む監査による評価においてはプライオリティ(最優先)不適合が残存していること
*3 是正未完了:2024年、2025年にイニシャル監査を受審した拠点において、是正完了していないもの。(事例)A1外国籍移民労働者から就職手数料を徴収(台湾)、A3週84時間超の勤務がのべ2名(フィリピン)、B2複数の非常口ドアの形状が不適当(スライドドア等)(タイ)
*4 CMRT:Responsible Minerals Initiative (RMI)が提供するConflict Minerals Reporting Template、EMRT:Extended Minerals Reporting Template
*5 BCM:事業継続マネジメント(Business Continuity Management)
2026年度実施項目とKPI
サプライヤーにおけるCSRリスクレベル:ハイリスク0%(0社)
社外からの評価
サプライチェーンCSRは、ESG評価のS(Social)の一部として、多くの評価機関が評価対象としています。主な評価項目には、方針の策定、人権デューデリジェンスの実施、責任ある鉱物調達の推進などが含まれます。
エプソンのサプライチェーンCSRの取り組み・成果は、さまざまなESG評価機関から高い評価を得ています。
セイコーエプソンは、フランスに本社を置くEcoVadis社によるサステナビリティ(持続可能性)評価において、継続して高い評価を得て、メダル*1を獲得しています。2025年は、前年に引き続き「プラチナ」メダルを獲得しました。これは、2020年に新設された最上位のメダルであり、評価対象企業(世界で15万社超)のうち上位1%にのみ付与されるものです。同評価は、総合スコアのほか、環境、労働と人権、倫理、持続可能な資材調達の各分野にスコア付けがされます。サプライチェーンにおける人権や環境の取り組み、責任ある鉱物調達などを評価とする「持続可能な資材調達」において、高い評価を得ています。
*1 メダル:EcoVadisのサステナビリティ(持続可能性)評価において、上位35%に対して付与されます。上位1%はプラチナ、上位5%がゴールド、上位15%がシルバー、上位35%がブロンズ。