ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

推進の目的
エプソンにとって、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)は、パーパスを実現するために大変重要な要素であると考えています。
多様な人材が世界中のエプソンに集まり、公平な環境で、一切の偏見なく、すべての社員が互いの個性を当たり前に尊重し合い、全社員が楽しく働きながら、社会の一員として責任を持ち、会社とともに成長そして挑戦することによって、イノベーションを起こし続けることをDE&I推進の目的としています。
経営者メッセージ
エプソンのお客様は、世界各地でエプソンの製品やサービスを利用してくださる人々です。ひとりでも多くの人々の生活を豊かにするために、多様なお客様を理解し、その人々に驚きや感動を与える新たな価値を届けたいと願っています。そのためには、わたしたち自身が多様でなければなりません。そしてそれらの違いを認め受け入れられる環境が無ければ、その多様性を活かすことも出来ません。10年後、さらにその先も、より柔軟にそして持続的に成長する企業であり続けるため、国を超え、地域を超えて、全社員が楽しく事業活動に参画し、対等に議論が出来る企業文化を創り上げていきます。会社が社会的使命を果たすためには、自由闊達な職場こそすべての根幹です。自由闊達な職場をつくるための基礎は、まさにダイバーシティ、エクイティ、そしてインクルージョンの心からの尊重と絶え間ない実践です。
エプソンは、マネジメントのリーダーシップの下、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンへの取り組みを推進しています。
コミットメント
ダイバーシティの推進を重要な経営課題のひとつと捉え、経営層や管理職を中心とした意識改革、ジェンダーギャップを含む様々な格差や差別の解消、経営に多様な意見を取り入れるしくみづくり、働き方の選択肢拡充などを通して、多様な人材が能力を最大限発揮できる企業文化の早期醸成に取り組みます。それらの活動を通じ、社員の意識の中にどのようなマジョリティもマイノリティも存在させない会社となることを目指していきます。そして、グループの社員全員が、様々な価値観や考え方、前例にとらわれない発想こそを大切にする企業に変革していきたいと思います。
代表取締役社長 小川 恭範
DE&Iの促進
当社は、男女の雇用機会均等施策に早くから取り組んでいます。1983年には男女の賃金格差を完全に廃止し、男女の格差なく働くことができ、家庭と仕事の両立ができる環境を目指し、休職、短時間勤務制度の整備やベビーシッター費用への補助等、様々な取り組みを進めてきました。その結果、管理職の女性比率、リーダークラスの社員の女性比率は向上しています。しかし、国内ではまだ意思決定を行う地位への任用において男女差があり、当社はこれを課題と認識し改善を続けています。そしてすべての社員がジェンダーを始め、いかなる属性にも関係なく活躍できる会社になるための取り組みを進めています。
目指す姿
性別を含むあらゆる属性に関わらず、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、管理職や経営層の女性比率が従業員の女性比率と同等になることが目指す姿です。
DE&I推進体制
女性がただ「働き続ける」から一歩進んでキャリア形成を希望する社員が男女関係なく活躍できる風土を作るため、2016年~2020年9月まで人事部内に女性活躍推進プロジェクトを設置して推進してきました。女性活躍だけでなく、ダイバーシティ全般の改革を進めるため、2020年10月に女性活躍推進プロジェクトを発展的に解消し、社長直轄のダイバーシティ推進プロジェクトを立ち上げました。2023年4月に、人的資本・健康経営本部の中にDE&I戦略推進部を設け、ダイバーシティ推進プロジェクトの機能を移管し、活動範囲をさらに拡充しています。
ジェンダーギャップ解消の取り組み
女性活躍推進法行動計画の改定(2023年度から2025年度の3年計画)
・2026年3月までに女性管理職比率8%、女性リーダー級(係長相当)10%をめざします。
・新卒採用のうち女性比率25%以上を目標とし、採用活動を行います。
・年間の有給休暇取得日数(積み立て年休含む)20日をめざします。
・育児休業取得率について男女とも100%をめざします。
その他、これまで通り女性が長期的にキャリアを形成できるように、対話会の実施、管理職研修、女性向けキャリア研修などの施策を継続し、昨年度実施した在宅勤務の拡大、コアタイムのないフレックス時間の導入などの柔軟な働きかたについてもさらに検討を継続します。
取り組み概要
課題 | 対策の方向性 | 具体的な施策(主なもの) |
---|---|---|
Ⅰ.意識のバイアス (本人・上司・組織) |
<教育> ・意識改革の教育 全社員向けの教育、女性本人を対象とした教育、管理職を対象にした教育をそれぞれ実施 |
・経営トップによるメッセージ発信 ・ダイバーシティ・マネジメント研修 (管理職必修) ・ダイバーシティ&インクルージョン研修 ・女性のためのキャリアアップ応援施策(キャリア自律研修、昇格試験対策研修など) ・DE&Iフェアの開催 ・DE&Iスペシャルウェブサイトによる社内/社外への情報発信 |
Ⅱ.働きかたの多様化 (組織・上司) |
<制度> ・時間制約への対応 ・働く場所・時間の柔軟化 ・育児・介護・治療と仕事の両立支援の拡充 ・男性育休取得促進 <働きかた> ・管理職の仕事の仕方の変革 ・働きかたに対する意識の変革 |
・時間制約が不利にならない評価制度 ・在宅勤務制度の拡充、コアタイムのないフレックス制度の開始、時間単位の年休 ・両立支援に関するeラーニング ・両親学級の開催 ・ベビーシッター補助 ・介護離職防止セミナー |
Ⅲ.成長機会の提供不足 (上司:キャリアモデルの不在) (本人:ロールモデルの不在) |
<制度> ・評価制度 <育成> ・事業部長のリーダーシップによる成長機会の提供 |
・昇格試験制度運用変更 ・管理職人材候補の選抜研修 |
Ⅳ.その他 |
・女性向け相談窓口 ・不妊治療 ・待機児童対策 ・採用 ・定着促進 ・ネットワーク作り |
具体的な取り組み
<管理職、一般社員の意識改革>
経営トップによるメッセージ発信
エプソンでは、年2回の方針大会にて、グループ全社員に向けダイバーシティの重要性を示しています。また、経営トップが積極的に女性社員との対話会を実施し、社内イントラネット上で社長からダイバーシティや女性活躍推進に関する方針や考えを発信しています。
ダイバーシティ&インクルージョン研修
ダイバーシティの重要性を理解するとともに、それを阻害する大きな要因の一つとなっている「アンコンシャスバイアス」について学ぶeラーニングを2020年度、ダイバーシティ&インクルージョン基礎を学ぶeラーニングを2021年度にそれぞれ、セイコーエプソンおよび国内関係会社の社員を対象に実施しました。
(2022年7月末時点、アンコンシャスバイアスは国内グループ全体での受講者数18,680人 受講率95%、ダイバーシティ&インクルージョン基礎は国内グループ全体で受講者数17,790人 受講率91%)
また、DE&I基礎研修をグループ企業でも開始しました。
ダイバーシティ・マネジメント研修
管理職の意識改革、ダイバーシティおよびインクルージョンの重要性の理解、心理的安全性の確保などを目的とした、グループの全管理職への研修の実施を開始しました(ダイバーシティ・マネジメント研修の受講者は国内グループ全体で1,198名、95%の受講完了)。さらに、これから新規に管理職に任命される社員のための新任管理職研修にも同様の内容を盛り込んでいきます。
女性のためのキャリアアップ支援研修
複数回にわたるキャリア自律研修によりキャリア構築の考え方や、ビジネススキルの習得をサポート、また社内の昇格制度に合わせた試験や面接に対する事前準備の支援を提供しています。
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンフェアの開催
多くの社員にDE&Iの重要性が浸透するように、トップによる基調講演、外部から招いた著名人による講演会、座談会などを実施しています。また、子育ての情報についての共有や、LGBTQの理解増進などの各種イベントを実施しています。
DE&I特設ウェブページによる情報発信
トップのDE&Iに関するメッセージや、DE&Iが企業にとってより重要な理由などを社員にさらに浸透させることと、企業としての取り組みを外部へ発信するための特設ウェブページを公開しています。社長とDE&I専門家との対談、上記のフェアの模様などを掲載しています。
<働きかたの多様化>
時間制約が不利にならない評価制度
ライフイベント等により、働きかたに時間制約がある場合でも昇進・昇格に影響することがないように、フルタイム勤務者も短時間勤務制度利用者も評価基準は同一としています。そして、それぞれが勤務時間でできる範囲の目標を設定し、達成度合いを評価することとしています。
育児介護期の在宅勤務導入
時間制約がある社員に就業の機会を増やすため、育児介護期の在宅勤務を2018年度から実施しています。2020年からは全社員を対象に在宅勤務制度を拡大しました。育児介護期は時間単位、1日単位など柔軟な運用が可能となっています。参観日のケースでは必要な時間だけ中断し行事に参加することができるようになり、急な子どもの病気時には、子どもが寝ている時間に最低限の業務が実施できるようになるなど、今までは年休取得が必要な場合でも休務とせず業務時間にあてることが可能となりました。また、自宅以外の認定場所での実施が可能となっており、より柔軟性のある働きかたが可能です。
男性の育児参画
女性が活躍するためには、家事・育児をパートナーと共同で行うことが必要です。2014年3月に男性向けの育児休業ガイドブックを作成し、社内イントラネットに公開していることに加え、近年は育児に積極的にかかわりたい男性も増えてきているため、男性育児休職取得者による対話会を実施し、社内イントラネットで紹介、更に管理職必修のダイバーシティ・マネジメント研修でも重要項目として取り上げ、男性の育児参画を促進しています。
2022年度には取得100%を目標とした結果、97.2%とほぼ目標達成いたしました。まだ取得日数としては短いため、さらに活動を継続しています。
ベビーシッター補助
2005年10月から、ベビーシッターサービス利用について、一定の会社補助を行っており、段階的に補助額を引き上げ、現在は月16時間分まで全額会社で補助しています。
介護離職防止セミナー
社員が介護に関する社内外の制度を理解し、急な介護リスクに備えられるようにすることを目的に、社外専門家による介護離職防止セミナーを実施しています。
また、介護にかかる費用負担に備えるため、福利厚生制度の一環として団体介護保険を導入しました。あわせて、介護費用に関するセミナーを実施し、社員が安心して働くことができる環境づくりに取り組んでいます。
働きかたの検討
健やか休暇の取得事由を拡大し、慣らし保育や学級閉鎖に対応できるようにしました。
さらに、育児介護等、時間に制約のある社員が活躍できるよう、多様な働きかたができる職場環境づくりに向け、労使委員会の働きかた分科会で検討を続けています。
<成長機会の提供不足>
昇格試験制度
従来の制度では、昇格試験の受験資格を得るために、論文試験と筆記試験を同じ年に一度に受験し合格する必要があり、筆記・論文の準備に相応の時間を要することから、時間に制約のある社員には挑戦が難しいという課題がありました。また受験資格に3年の有効期限があり、育休で長期間休務した場合に受験資格が失効してしまうという課題もありました。
この課題を解消し、制約のある社員が昇格試験に挑戦しやすい環境をつくるため、受験資格の有効期限を廃止し、各試験項目に複数年かけて合格した場合にも受験資格を付与する制度へ、2018年4月より変更しています。また、2020年10月より、論文執筆を人材育成の機会と位置づけ、論文執筆・筆記試験を就業時間内で実施するなどの運用変更を行い、これまで以上に時間制約がある社員が上位資格等級へ挑戦しやすくしています。
<その他>
女性向け相談窓口
将来のキャリアパスを描けないなど、今後のキャリアに悩む女性が、活躍する先輩女性に1対1で相談できる環境を作り、エプソンでのキャリアを前向きに考えられるようにキャリア相談窓口を設置し、対応しています。また、女性の健康相談についても、産業医・助産師資格を持つ看護職が対応しています。
不妊治療
不妊治療のために健やか休暇を取得できるようにしました。また、2023年9月より、不妊治療を実施する社員に対する支援制度を新たに設けます。
待機児童対策
近年、首都圏のみならず、主要事業所がある長野県内でも待機児童が発生しています。そのため、社員が住む地域にある企業主導型保育園との提携を進めています。(2023年7月時点 7園)
採用・定着促進~入社3年目面談
若年層の“早期戦力化”と“定着化”を目的に、新卒入社後3年目を対象に人事部による面談を実施しています。仕事や職場環境、自己のキャリア形成についての悩みを聞き、職場も含めたフォローをすることで、定着に一定の成果が見られています。
ネットワーク作り~経営層と女性社員との対話会
女性管理職、管理職候補、30歳前後など同じような悩みを持つ社員のネットワーク形成と、相談し合える環境づくりのため、経営と女性社員との対話会を継続開催しています。2021年度は社長による対話会も6回(合計31名)開催し、また社外取締役との対話会も実施しました。経営層も対話会に出席することで、現場の声が経営層に届きやすくなり、育児期の在宅勤務や、臨時の託児スペースなど、対話会の中で社員のニーズとして話が出た内容が、実際にトライアルや制度化に結び付いています。
また、対話会を通じて知り合った女性社員同士で悩みを打ち明けあい、異なる事業の女性社員がキャリア形成や、仕事と家庭の両立支援について連絡を取り合い、拠点や事業単位での対話会を開催する等、女性社員のネットワークが広がっています。
社外からの評価
ジェンダーギャップ解消に向けた今後の取り組み
当社は、今後もさらに女性活躍をはじめとする、多様な人材の活躍の可能性を広げる活動を積極的に展開します。
ジェンダーギャップ解消の進捗状況(2023年3月時点)
女性従業員比率・女性管理職比率
グループ計 | 日本国内計 | 海外計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
正規従業員の割合 | 53.8% | 46.2% | 80.6% | 19.4% | 44.2% | 55.8% |
管理職の割合 | 83.0% | 17.0% | 95.1% | 4.9% | 72.3% | 27.7% |
* 管理職は部長・課長
グローバル人材の活躍
エプソンは、時代によって、地域によって、さまざまに異なるお客様のニーズを的確に把握し、誰よりも早く、柔軟に対応するために、世界各国・地域に拠点を展開しています。現在エプソングループでは約80,000人の社員が働いています。
お客様に価値ある製品をお届けするためには、グローバルに展開しているバリューチェーン全体が効果的・効率的に運営されることが必要であり、各機能について幅広い知識と経験を持ち、相互に「すり合わせ」ができるグローバル人材が必要です。世界各地で、共通の価値観を持ち、現場で的確・迅速な意思決定ができるリーダー人材を育成するため、海外現地法人の経営リーダー層の養成を目的としたセミナーを毎年開催しているほか、地域を超えた人材交流を進めています。また、海外人材についても国内と同様に、現地のトップマネジメント・人事部門と連携して役割や要件定義を行い、重要ポジション・重要人材についての後継計画・育成計画を策定しています。このような活動を基盤として、最適機能配置に関する社内議論を継続して行い、グローバル視点での最適なフォーメーションの構築に取り組んでいます。

グローバル・タレント・マネジメント
エプソンは、海外人材の登用・活用にも積極的に取り組んでいます。国内と同じ役割評価ツールにより、海外現地法人における各ポジションの役割の大きさ・重さを測り、重要なポジションを特定してその役割や要件を明らかにするとともに、それに対して年齢・性別・国籍などに関わりなく最適な人材を選任できるよう、その候補層に属するすべての人材に関して基礎情報や能力、360度評価などによる情報を収集しています。そして、これらの情報を活用して国内と同様に「人材レビュー」を行い、要員状況の確認や後継計画の検討等を現地と行っています。
これらの活動の結果、現在、海外の現地法人のうち、米国地域統括会社においては現地人材がCEOを務め、北・中・南米の傘下現地法人の経営管理や当該地域の事業オペレーションについて全面的な責任を負っています。また、東南アジアの地域統括会社についても現地人材が代表者に就任し、地域の販売オペレーションを担っています。欧州では、地域統括会社の傘下法人は全て現地人材が責任者を務めており、世界各地のいくつかの販売法人、製造法人の責任者にも現地人材の登用が進んでいます。現在、海外現地法人の取締役に占める外国人の割合は35%、CEOポジションに占める外国人の割合は65%、また、管理職において現地採用者が占める割合は90%となっています。
グローバルな人材育成への取り組み
グローバル・インキュベーション・セミナー(GIS)
グローバル・インキュベーション・セミナー(GIS)は、世界各国・ 地域の現地法人における次世代リーダー層を対象に、エプソンのパーパスや価値創造ストーリーを共有し、自組織の役割、取り組む課題を考える力を養う研修プログラムです。経営層を対象としたグローバル・エグゼクティブ・セミナー(GES)と共に、世界各地で事業を支えるリーダー層の育成を続けており、1999年以来受講者は合わせて400人を超え、現在海外現地法人で代表者を務める現地人材8名のうち7人がこれらのセミナーの受講者です。(2023年8月現在)
2019年度から2021年度はCOVID-19のため開催を中止しましたが、2022年度は2月末から3月末にかけてオンラインで再開し、世界14カ国から39名の受講者が参加しました。受講者は研修で学んだパーパスについて、研修期間中にそれぞれの職場にてワークショップを実施し、個人や職場のパーパスについての意見交換会を行いました。研修の終盤には、経営層との直接的なコミュニケーションを通して長期ビジョンや事業戦略に関する理解を深め、地域・機能・事業の異なる受講者それぞれの課題や取り組みを相互に共有しました。また、受講者自身がどのようにエプソンの価値を生み出すかを考え、行動計画を経営層へ宣言しました。
今後もこうした研修を継続的に実施することで、世界各国・地域の多様な人材がさらに能力を伸ばし、次世代のエプソンを支える原動力になることを目指します。

GIS参加者のコメント
GISに参加できたことを大変嬉しく思っています。この研修に参加できたことは、一生に一度の経験であると胸を張って言えます。研修を通して、環境を大切にする、顧客満足を追求するというエプソンのパーパスや思いについて深く理解することができ、自らの考え方や視点を変えながら、組織の新しい目標を作るきっかけとなりました。GISに参加したことで、今まで以上に情熱と意欲をもって、エプソンでのキャリアを歩んでいきたいと思いました。

Epson Precision (Philippens) Inc.
Printer Warehouse Innovation,
Department Manager
Maria Louisa Silang
グローバル・エグゼクティブ・セミナー(GES)
2017年度には、各現地法人における経営層の一層の充実・強化を図るため、「グローバル・エグゼクティブ・セミナー(GES)」を立ち上げました。 将来の見通しの立ちにくい経営環境の中で、エプソン全体でいかにして中長期の事業目標を実現していくか、各社および自身が果たすべき役割は何か、どう変革を進めていくかなど、戦略や課題を考え、リーダーシップを発揮できる経営層を育てる研修です。本セミナーは3日間の集合研修(セッション1)を実施したのち、1年間の実践行動期間を経て、1年後に実践行動の成果を2日間の集合研修(セッション2)で報告する構成となっています。(新型コロナ禍のため、2020-21 セッション1から休止中)
こうしたグローバルな人材育成活動を通じて、世界各地で、より変化に強く、実行力の高い経営基盤を築き上げています。
海外からの実習生受け入れ
エプソンは、海外製造拠点から、3カ月から1年間の期間にわたって日本に技能実習生・研修生を積極的に受け入れ、現地では学ぶことのできない技能・技術の習得や、事業プロセスに関する理解を深めるための教育プログラムを実施しています。
1988年からこれまでに延べ1,800人余りを受け入れており、2020年度、2021年度は新型コロナ禍により中断をやむなくされましたが、2022年度は3年ぶりに8人を受け入れました。
写真は、技能実習生が自ら製作した金型で製造した部品の状態を検査している様子です。

障がい者の雇用推進と活躍支援
エプソンは、障がい者活躍を重要なDE&I課題の一つと位置づけ、2030年度実雇用率3%を目標に掲げ、障がい者一人ひとりの強味を活かし、会社とともに成長し成果創出に貢献できるよう、障がいのある当事者への配慮のみならず、上司や同僚に対する専門性を伴った支援により、職場のナチュラルサポートの実現、障がい者活躍の質の向上に取り組んでいます。また、40年のノウハウ、強味を持つ特例子会社における障がい者活躍機会の拡大も引き続き推進していきます。


エプソンミズべ株式会社
エプソンミズベ(株)は、障がい者11人、健常者(スタッフ)4人の合計15人でセイコーエプソン(株)の特例子会社として1983年に操業を開始し、以降エプソングループおよび地域社会における障がい者雇用を着実に拡大してきました。
現在では「ダイバシティ&インクルージョンの実践を通じた“社会貢献”と“社員の幸せ”の実現」をパーパスに掲げ、〔尊重〕〔結束〕〔研鑽〕〔自律〕〔誠実〕を共通の価値観とし、6拠点157人(2023年6月1日現在)の障がいのある社員が、オフィス・製造・環境リサイクルなど幅広い分野で活躍しています。
とりわけ2008年から展開しているビルクリーニングは、エプソンミズベの中核業務として2023年3月現在62人の規模に成長・定着しています。また、2017年からはペーパーラボのアップサイクルモデルラインにおける障がい者雇用機会を拡大し、古紙分類・ペーパーラボオペレーション・DFPを活用した名刺・ノート作成など、環境負荷低減と障がい者雇用促進に取り組んでいます。
アビリンピック(全国障がい者技能競技大会)での活躍
エプソンミズベでは、職業能力の向上を目的にアビリンピックに積極的に参加しています。2022年度開催の全国アビリンピックでは製品パッキング競技に出場しました。出場を目指す選手の姿、アシストする職場の取り組みが働く障がい者の励みとなり職場の活力に繋がっています。

製品パッキング競技の様子
天皇皇后両陛下がオンラインでエプソンミズベをご視察
コロナ禍のなか、2020年12月17日、天皇皇后両陛下にエプソンミズベをオンラインでご視察いただきました。
両陛下はエプソンミズベの社員が業務に励む姿に大変高い関心を寄せられ、参加した社員ひとりひとりの気持ちに寄り添った温かいお言葉をいただきました。
最後に天皇陛下からは「障がいを持った方々とお話をしたのが嬉しく思います。」皇后陛下からは「生き生きとお仕事されている様子が聞けて良かったです。新型コロナウイルスで大変だと思いますが、お体に気を付けて。」とねぎらいの言葉をいただきました。
このご訪問は全国で働く障がい者の励みとなり、エプソンミズベの社員にとっては、心に刻まれる生涯忘れられない思い出となりました。

エプソンスワン株式会社
エプソンスワン(株)は、山形県酒田市にある東北エプソン(株)の特例子会社(山形県初認定、現在は、セイコーエプソン(株)の特例子会社)として設立され、2002年3月に操業を開始しました。東北エプソン(株)の構内に拠点を置き、23人(2023年6月1日現在)の障がいのある社員が、防じん衣クリーニング、東北エプソン(株)内のビルクリーニング業務、そして2020年10月から開始したペーパ―ラボ用原料作成業務(紙仕分け作業)を担当しています。
尚、防じん衣クリーニングは設立時からの事業であり、セイコーエプソン(株)の複数拠点、また地域企業の防じん衣を受け入れています。
また、エプソンスワンでは「就労支援」や「余暇支援」のほか人材育成にも注力しています。その一環としてアビリンピックビルクリーニング種目へ挑戦しており、2022年度は山形県大会で優勝、2021年度に続き2年連続で全国大会へ出場しました。また、エプソンスワン(株)のさまざまな情報を掲載した、スワン広報誌「スマイル」を社内ウェブや紙面にて定期的に発行し、社内外とのコミュニケーションを図っています。2022年度下期号で累計49号となりました。
社員構成・勤続年数・離職率
社員構成
社員男女比率 | 管理職男女比率 | 係長相当の男女比率*1 | |
---|---|---|---|
女性 | 17.0% | 4.1% | 7.1% |
男性 | 83.0% | 95.9% | 92.9% |
*社員構成データは、セイコーエプソン(株) 2023年3月31日時点
*1 シニアスタッフ
勤続年数
全体 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
19.0年 | 18.8年 | 19.9年 |
* 勤続年数データは、セイコーエプソン(株) 2023年3月31日時点
離職率
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|---|
総離職率 | 4.5% | 4.1% | 4.5% | 4.4% | 5.1% |
自主的離職率 | 1.8% | 1.5% | 1.4% | 1.5% | 2.2% |
* セイコーエプソン(株) 2023年3月20日時点