責任ある鉱物調達

紛争鉱物対応方針

コンゴ民主共和国(DRC)または隣接国のような紛争地域、高リスク地域におけるスズ、タンタル、タングステン、金(あわせて3TG)、およびコバルトの採掘や取引から得られる利益は、武装勢力や反政府勢力の資金源となっています。そのような地域の鉱物を使用することは、紛争や人権侵害、環境破壊の助長につながる潜在的な可能性があります。鉱物採掘は社会および環境リスクを有するものとして、集約型産業であるべきであり、管理されるべきものと考えています。
エプソンは、人権侵害、環境破壊に一切関わらないことを企業方針としています。紛争地域、高リスク地域からの鉱物の調達において、いかなる人権侵害も容認しません。また、人権侵害を行う相手先とのビジネス関係の構築や、社会経済や環境の悪化につながる行為に加担いたしません。

責任ある鉱物調達が、解決すべき社会課題であるとの経営認識のもとに、エプソンは企業行動原則において「責任ある鉱物調達」への取り組みを謳い、また、Responsible Business Alliance (RBA)およびResponsible Mineral Initiative (RMI)が掲げるミッションや取り組みを支持し、加盟しています。さらに、サプライヤーに対しても責任ある鉱物調達方針への支持とともに「エプソングループ サプライヤーガイドライン」と「エプソンサプライヤー行動規範」(RBA行動規範)遵守促進を要請しています。2020年および2021年、直接材サプライヤーから責任ある鉱物調達に関する遵守要請について同意書を提出していただきました。

企業行動原則

紛争鉱物調査プログラム

エプソンは、責任ある鉱物調達が、取り組むべき重要な社会課題であると認識しています。サプライチェーン全体で「責任ある鉱物調達」を確認するため、「企業行動原則」において調査体制の整備を謳い、さらに、「サステナビリティ重要テーマ」として取り組み内容を定めています。方針策定や結果については、取締役が参加する経営会議体の一つであるサステナビリティ戦略会議において審議・報告しています。
また、「エプソングループ紛争鉱物調査基準」を制定し、経済協力開発機構(OECD)発行の「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に準拠した調査プログラムを推進しています。Responsible Minerals Initiative(RMI)が提供するConflict Minerals Reporting Template (CMRT)とCobalt Reporting Template (CRT、2022年以降はExtended Mineral Reporting Template: EMRT)を用いて、紛争鉱物(スズ、タンタル、タングステン、金、コバルト)について、部品や材料のサプライヤーの協力のもとに上流となる製錬業者を特定しています。サプライチェーンに関する回答を得ることにより、原産国の確認も行っています。
エプソンでは、RMIのResponsible Minerals Assurance Program(RMAP)で認証された製錬業者(CFS)のみからの鉱物調達を実現するため、CFSを確認できない場合には、材料やサプライチェーンの変更をお願いするなどして、リスク低減に取り組んでいます。
また、世界中の生産拠点において、CSR調達サプライヤー説明会をはじめとして、サプライヤーと対話する機会を利用して、エプソンの方針への理解、調査精度向上への取り組み要請、紛争鉱物対応動向の共有を図っています。紛争鉱物対応方針で定める目標水準の達成に向け、サプライヤーとともに取り組んでいます。

エプソン製品に使用される鉱物の責任ある調達の実現のため、「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に従った5段階の枠組みに従い、以下の取り組みを行っています。
① 強固な企業管理システムを構築する(エプソンの取り組み:方針の設定、調査プログラム導入、サプライヤーとの契約締結、苦情処理メカニズムの構築)
② サプライチェーン内のリスクを特定、評価する(サプライヤー調査によるリスク特定と、リスク評価)
③ 特定されたリスクに対応するための戦略を立案し、実施する(リスク評価結果の経営報告、リスク管理計画・実施)
④ サプライチェーン内の特定ポイントにおいて、独立の第三者によるデュー・ディリジェンスの監査を実施する(RMIが実施するRMPAプロセスによる監査を支持)
⑤ サプライチェーンデュー・ディリジェンスに関して報告を行う(Webサイトおよび、統合レポートなどの媒体により開示)

調査結果

RMIが提供する帳票CMRT、CRTは、回答単位を①会社全体②製品別③指定対象から選択できるように設計されていますが、エプソン製品に使用される部品・材料に含まれる鉱物の製錬業者を確実に確認するため、サプライヤーに対して、納入製品を特定した回答をお願いしています。このように、調査することにより、リスク低減すべき対象を特定することが可能となり、実効性のあるデュー・ディリジェンスにつながるものと考えています。
2021年は、全ての事業において3TGおよびコバルトを調査対象とし、3TGは99%、コバルトは98%のサプライヤーから回答を提出していただきました。サプライヤーからの回答を分析した結果、製錬業者が特定できない場合、RMIから認定されていない製錬業者が含まれる場合、および、回答の対象部品に不足がある場合には、追加の調査もしくはサプライヤー変更などのリスク低減対応をお願いしました。

エプソンは、米国に上場しておりませんので、米国当局への報告義務はありませんが、特定できた製錬業者情報(名称、CIDコード、所在国)を公表しています。

3TG調査結果

  2019年度 2020年度 2021年度
合計 スズ タンタル タングステン
特定製錬所数*1 344 340 416 117 44 64 181
CFS認定製錬所数*2 268 242 239 56 39 43 106
調査票回収率 91% 97% 99% - - - -

*1 特定できた製錬所情報(名称・・所在国等)は、「セイコーエプソン サプライチェーン上のRMIによって認識されている製錬所/精製所」リストをご覧ください。
*2 Responsible Mineral Initiative(RMI)のResponsible Minerals Assurance Program(RMAP)によって認証された製錬所
* 製品ごとの詳細情報は、お取引のある販売会社の担当にご依頼ください。

コバルト調査結果

  2021年度
特定製錬所数 86
CFS認定製錬所数*1 23
調査票回収率 98%

*1 Responsible Mineral Initiative(RMI)のResponsible Minerals Assurance Program(RMAP)によって認証された製錬所
* 製品ごとの詳細情報は、お取引のある販売会社の担当にご依頼ください。

3TG調査結果(調達部品ベース)

21年度調査対象部品・材料約8万点に対して、3TGを含有するものが70%の約5万点あり、そのうち、57%に相当する部品について、RMIの認定を受けた製錬所のみを使用していることを確認できました。

サプライヤーへの情報提供・教育

エプソンは取り組むべき重要な社会課題として「責任ある鉱物調達」の実現を掲げておりますが、サプライヤーのご協力が不可欠のものであることから、サプライヤーへの情報・教育の提供に努めています。
年間を通じて、以下のツール・情報を提供することにより、サプライヤーにおいて常にアップデートされた最新情報を容易に利用していただけるようにしています。
・製錬所認証情報を確認するためのチェックツール(エクセル)
・製錬所の認証更新情報
また、調査回答を提出いただいたサプライヤーに対して、不備・不足など分析結果の詳細をフィードバックしています。これは、サプライヤーにおいて対応(デュー・ディリジェンス)いただきたい内容を明確にお伝えすることを目的としたものであり、調査票ごとにフィードバックシートを発行しています。
これに加えて、サプライヤーからの要望に応じて、調査の支援、調査票の解説などを個別に行っています。

第三者監査の受審

エプソンは、製造拠点において、RBAのVAP監査を受審しています。
2020-21年にVAP監査を受審した拠点全てにおいて、責任ある鉱物調達(D7)についてRBAが要求する基準に対して適合となっています。

法人名 所在国 主な製造製品
PT. Indonesia Epson Industry インドネシア プリンター製品
Epson Engineering (Shenzhen) Ltd. 中国 プリンター製品
プロジェクター製品
ロボット製品
Epson Precision (Philippines), Inc. フィリピン プリンター製品
プロジェクター製品
Epson Precision (Thailand) Ltd. タイ デバイス製品
Epson Precision Suzhou Co., Ltd. 中国 デバイス製品
Epson Precision Malaysia Sdn. Bhd. マレーシア デバイス製品

※RBAの行動規範D7:責任ある鉱物調達(概要)
自社が製造する製品に含まれるタンタル、錫、タングステン、および金の採掘源およびサプライチェーンにおいて、これらの鉱物が、経済協力開発機構(OECD)「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」、または同等のデュー・ディリジェンスフレームワークに沿った方法で入手されていることを合理的に保証するための方針を採用し、デュー・ディリジェンスを実施しなければならない

RBA監査の詳細はこちら

外部団体との連携

エプソンは、紛争鉱物の課題を解決するためには、自社の取り組みだけでなく、アライアンスの活動を支持し、積極的に活動に参加しています。そのため、以下のアライアンス・団体に加盟し、世界における紛争鉱物の課題解決への取り組みおよび、業界連携によるサプライチェーンの紛争鉱物調査活動の向上に取り組んでいます。

【グローバルに活動するイニチアチブ】
Responsible Minerals Initiatives(RMI)

【日本の業界団体】
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)「責任ある鉱物調達検討会」
(活動例)
・RMIへの参加
・各国・地域の規制状況の把握・共有
・サプライヤーへの教育・啓発
・RMI未認証製錬所への監査受審の働きかけ  など

鉱物リスクに関する通報

エプソンでは、経済協力開発機構(OECD)発行の「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に準拠し、鉱物リスクに関するサプライヤーからの連絡を受け付けています。

相談・通報していただく場合はこちら

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