マテリアリティ
マテリアリティ
エプソンは、社会環境変化がもたらすリスクと機会を分析し、自社の技術や事業を通じて社会に価値を提供できる領域を特定しました。その結果として、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向けた重要課題として7つのマテリアリティを設定しています。これらのマテリアリティは、「価値創造」と「価値創造を支える基盤」の二層で構造化しています。
第一層の「価値創造」に関するマテリアリティは、エプソンが事業活動を通じて社会に提供する価値を示すものです。社会環境変化の分析を通じて、当社が持つ技術や事業の強みを活かしながら、社会課題の解決と企業価値向上の両立を図ることができる領域として、「エネルギー・資源の効率化」「テクノロジーの進化」「人手不足への対応」「学び・働き・暮らしの向上」の4つを特定しました。
第二層の「価値創造を支える基盤」に関するマテリアリティは、価値創造を持続的に実現するために必要な競争力の源泉と経営基盤を示すものです。
今回の長期ビジョン策定にあたり、持続的な価値創造を実現するためには、イノベーションを生み出す人的資本と、イノベーションを社会実装する知的資本が不可欠であり、これらを価値創造の源泉として位置付けています。
「人的資本」については、社会課題が複雑化し、事業環境の不確実性が高まる中で、構想力と実行力を兼ね備えた人材や、多様な専門性を持つ人材の育成・活用が価値創造の前提条件になるとの考えから設定しています。「知的資本」については、エプソンの競争力の源泉である「省・小・精」の技術・思想を深化させるとともに、その技術を社会実装につなげ、新たな価値や市場を創出していくことが持続的な成長に不可欠であるとの考えから設定しています。
また、地球環境への対応、サプライチェーンマネジメント、人権尊重への取り組みとそれらの実行を支える適切な資本配分を含むガバナンスなどからなる経営基盤は、価値創造と競争力の源泉を最大限に発揮し、持続的な成長を支える土台として位置付けています。
当社は、これらのマテリアリティを相互に連関させながら一体的に強化することで、社会価値と経済価値の同時創出を図り、中長期的な企業価値向上を目指します。
マテリアリティの特定プロセス
エプソンは、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の策定にあたり、社会環境変化や国際基準などの社会要請が当社およびステークホルダーに与える影響を分析しました。
具体的には、脱炭素化、エネルギーや資源の制約、AI・データ社会の進展、人手不足の深刻化、新興国の成長、地政学リスクや規制強化といった社会変化を踏まえ、事業機会とリスクの両面から重要課題を評価しました。その結果、当社が持つ技術や事業を通じて価値を創出できる領域として、「エネルギー・資源の効率化」「テクノロジーの進化」「人手不足への対応」「学び・働き・暮らしの向上」の4つを価値創造領域として特定しました。さらに、これらの価値創造を持続的に実現するための競争力の源泉として「人的資本」「知的資本」、そして全体を支える経営基盤として「責任ある経営と実行」を加え、7つのマテリアリティを特定しています。
価値創造プロセス
長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」のもと、エプソンは社会環境変化から生じる課題やニーズに対し、「省・小・精」の技術・思想を活かした価値創造を推進しています。7つのマテリアリティを起点として事業戦略と経営基盤を連動させることで、社会課題の解決と新たな価値創出を実現し、社会価値と経済価値の同時創出を通じて持続的な成長と企業価値向上を目指します。
マテリアリティに基づく価値創造と進捗管理
マテリアリティを起点とした価値創造を着実に実現するため、各マテリアリティに対して創出価値、取り組みテーマおよび評価指標を設定し、進捗を継続的に管理しています。今回の価値創造プロセスの見直しにあわせてKPI体系を再整理し、特に人的資本・知的資本については、事業成長や競争力向上との連動を強化しました。また、一部の指標は経営層の報酬評価にも組み込み、社会価値と経済価値の同時創出に向けた実効性の高いマネジメントを推進しています。
マテリアリティに基づく創出価値、取り組みテーマおよび評価指標
| マテリアリティ | 機会(○)リスク(●) | セグメント | 創出価値 | 主な取り組みテーマ | RS ※1 |
評価指標 | Phase1目標 ※2 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| エネルギー・資源の効率化を支える | ○省エネルギー・省資源ニーズ拡大に伴い、高効率製品・ソリューション市場が拡大 ○資源循環対応や再資源化関連領域における事業機会が拡大 ●エネルギー価格・資源価格の上昇や供給不安定化により、調達・製造コストが増加、供給途絶 ●環境規制強化や循環性要求の高まりへの対応遅れにより、競争力低下や取引制約が発生 |
プレシジョンイノベーション | 精密製造・制御技術を基盤に、製造プロセスの低エネルギー化・高効率化とデバイス性能の高度化を両立し、限られたエネルギー・資源の制約下においても産業とデータ社会の持続的な進化を支える |
・インクジェットソリューションズ:インクジェット技術とエンジニアリングを強化し、共創・外部連携を通じて用途・市場を拡大し、ものづくり変革を推進 ・マイクロデバイス:水晶・半導体技術を融合し、高精度・低消費電力デバイスを通じてデジタル社会の進化を支援 ・エプソンアトミックス:高機能材料の高付加価値化と生産能力強化を通じて、資源循環・高機能化ニーズへの対応を拡大 |
売上収益(億円) CAGR(%) |
売上収益 2,100億円 CAGR 8% |
|
| 精密技術でテクノロジーの進化を支える | ○高精度・低消費電力・高信頼性技術に対する需要拡大により、高付加価値領域での事業機会が拡大 ○AI・データ活用・デジタル機器向け部材・デバイス需要の増加 ●AI・半導体・通信分野の開発競争激化により投資負担が増大 ●技術要求高度化や開発スピード加速への対応不足により、顧客対応遅延や市場競争力低下が発生 |
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| 生産性と信頼性で人手不足に応える | ○自動化・省人化・工程最適化ニーズ拡大により、生産関連ソリューション市場が拡大 ○高品質・高効率な生産や生産プロセス全体の最適化への需要が増加 ●労働人口減少に伴う人材確保難や人件費上昇により、生産体制維持や安定供給が困難化 ●熟練技能継承不足により、生産性・品質維持が困難化 |
インダストリアル&ロボティクス | 自動化・プロセス最適化を通じて、生産現場における人手不足と品質維持の課題を同時に解決し、労働制約下でも持続的に成長できる産業基盤の構築に貢献する |
・商業・産業プリンティング:高生産機ラインアップとデジタル印刷ソリューションを強化し、生産性向上と工程最適化を推進 ・ロボティクス:高可搬・人協働ロボット等のラインアップを拡充し、自動化・省人化による生産現場改革を推進 |
売上収益(億円) CAGR(%) |
売上収益 3,300億円 CAGR 4% |
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| 学び・働き・暮らしを支える | ○環境意識の高まり・エネルギー価格高騰・新興国での電力不安定などでの環境負荷低減や、人件費高騰による業務効率化などに資する製品・サービスの需要増 ○新興国での経済成長による中間層拡大、デジタル化の進展、働き方や学び方の多様化などによる、教育・体験・コミュニケーション高度化の需要が増加 ●教育・業務領域における、デジタル化の進展・代替技術の台頭によって、市場競争力が低下し販売機会を喪失 ●働き方変化や顧客ニーズ多様化への対応不足により、顧客接点・市場機会が縮小 |
オフィス・ホームプリンティング | 情報アクセスと業務効率の向上を通じて、教育や働き方の質を高めるとともに、新興国の成長機会と先進国の生産性向上の双方に貢献する |
・オフィス・ホームプリンティング:新興市場での販売・顧客接点を拡大するとともに、リカーリングモデル強化により収益基盤を進化 ・ビジュアル&ライフスタイル:ビジュアルコミュニケーションとサービスモデルを強化し、体験価値向上と安定収益化を推進 |
売上収益(億円) ROIC(%) |
売上収益 7,000億円 ROIC+1pt (FY25比) |
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| ビジュアル&ライフスタイル | 売上収益 2,600億円 ROIC+4pt (FY25比) |
| マテリアリティ | 機会(○)リスク(●) | 創出価値 | 主な取り組みテーマ | RS ※1 |
評価指標 | 2026年度目標 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 人的資本の進化 | ○専門人材の育成や雇用・AI/データ活用・リスキリング・グローバルでの最適人材配置により、生産性向上・イノベーション創出が加速し、事業成長とROIC達成に貢献 ○多様な人材の活躍促進と適切な評価・処遇を通じた社員エンゲージメントの向上による組織の総合力の最大化 ●リスキリングや人材育成遅れなどにより生産性・競争力が低下 ●経営層・管理層の人材および専門人材不足で戦略遅延・コスト増を招き成長機会を逸失 ●労働人口減少に伴う人材確保難や人件費上昇により、専門人材確保や組織能力強化が困難化 |
多様で高度な人材が成果にコミットし、能力を発揮することでイノベーション創出できるグローバルな人的基盤を実現する | ・グローバル組織・人材基盤の活用の高度化 |
・既存組織の枠組みを超えた人材活用の拡大 |
テーマ創出による役割拡大 | |
| ・ビジネスをけん引するリーダーシップの涵養 | ● |
・グループ重要ポジション(海外重要ポジションを含む)後継者準備率※3 |
100% | |||
| ・エンジニアリング人材の強化と活躍領域の拡大 | ・顧客課題解決に直接的に寄与できるエンジニアの育成推進 ・エンジニアリング(工学的課題解決)アプローチによる業務プロセスを浸透・徹底する基盤整備 |
・課題解決手法教育の再徹底 ・人事評価制度改定準備
|
||||
| ・組織の総合力最大化 | ● |
・管理職女性比率 |
6.7% | |||
|
・障がい者雇用率 |
2.6% ※4 | |||||
| 知的資本の創出 | ○技術深化と共創による社会実装を通じた新たな市場創出 ●技術開発遅延や差別化不足、知財流出・陳腐化により競争優位性・収益基盤が毀損 |
技術深化と社会実装を通じて、新たな価値や市場を創出し、競争優位と社会課題解決を両立する知的基盤を構築する | ・「省・小・精」の技術深化と研究開発の高度化 | ・事業成長ベクトルと一致した研究開発の実行 | 重点テーマの設定 | |
| ・事業戦略と連動した知的資本の活用 | ・事業および開発でのIPランドスケープ活用 | 重点テーマへの活用拡大 | ||||
| 責任ある経営と実行 | ●環境・人権・サプライチェーンなどESGに関する規制対応遅延や違反により、信用毀損・事業制約・コスト増加 ●地政学リスクや経済安全保障影響などによる資源調達制約や価格変動で供給不安定化・収益悪化 ●サイバー攻撃や情報漏えいが、事業継続・顧客信頼に影響 ○ROICを軸とした資本配分とESG対応の高度化により、収益改革と成長投資を両立し、企業価値を向上 ○サプライチェーン管理やリスクマネジメントの強化により、事業の安定性とレジリエンスが向上 |
資本効率と持続可能性を両立する責任ある経営を基盤に、社会的信頼を事業基盤の強化につなげ、企業価値を創出する |
・脱炭素の取り組み | ● |
・Scope1、2 GHG排出量(総量・FY17比)削減率 |
前年度以上 (FY25は82%) |
|
・Scope1、2、3 GHG排出量削減率 |
前年度以上 (FY25は35%) |
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| ・再生可能エネルギーの活用 |
・再生可能エネルギー導入率 |
グローバル導入率100%維持 | ||||
| ・サプライチェーンBCM強化 | ● |
・サプライチェーン途絶・停滞による販売影響の極小化に向けたBCM計画精度と有事における復旧対応 |
対前年度BCM計画改善 /有事での復旧計画の達成度 |
|||
| ・責任あるサプライチェーンの実現 |
・サプライヤーにおけるCSRリスクレベル |
ハイリスク 0% | ||||
| ・人権の尊重 |
・人権デューデリジェンスのスコープ拡充 |
人権リスクの特定・評価範囲の拡充 | ||||
| ・コンプライアンス経営の基盤強化 | ● |
・重大なコンプライアンス違反事案の発生件数 |
0件 | |||
| ・情報セキュリティーの強化 |
・重大な情報セキュリティーインシデント発生件数 |
0件 |
※1 経営層の報酬評価指標 ※2 2028年度までの中期目標 ※3(後継候補設定数/グループ重要ポジション数)にて計算 ※4 2026年6月時点
サステナビリティ重要テーマと2025年度の実績
2025年度を目標年度とする長期ビジョン「Epson 25 Renewed」におけるサステナビリティ重要テーマの2025年度実績