マテリアリティ
経営理念・企業行動原則とサステナビリティ活動
エプソンは、経営理念を実現する行動原則を明確にして、グループ全体で共有するために、2005年に企業行動原則を制定しました。2021年には最新の社会の要請を反映して企業行動原則を改定しました。
経営理念の根底に流れる「信頼経営」の思想に基づき、企業行動原則にのっとってサステナビリティ活動を推進することで、社会課題の解決への貢献と企業の持続的成長を目指します。
エプソンが尊重するサステナビリティに関連する規範
エプソンが企業行動原則を制改定する上で、社会から求められている役割やその水準を確認するために、以下の規範を参照しています。エプソンは、事業活動を行うそれぞれの国・地域において法令を遵守することはもとより、これらの国際的な社会規範を尊重し、基本的な考え方を理解した上で行動するよう、企業行動原則に織り込んでいます。
- 国連グローバル・コンパクト10原則
- 持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)
- OECD多国籍企業行動指針
- 経団連企業行動憲章
- ILO中核的労働基準
- RBA行動規範
- ISO 26000
マテリアリティの特定
エプソンは、2021年、長期ビジョンEpson 25 Renewedの制定に伴い、ISO 26000などで定められた社会課題やメガトレンドを参考として、自社視点・社会視点による評価を行い、社会課題解決に向けエプソンが取り組むべき重要度の高い課題であるマテリアリティを特定しました。

マテリアリティ特定時に参照した重要な動向・フレームワークなど
- SDGs(持続可能な開発目標)
- TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
- 気候変動をはじめとした社会・経済分野のマクロトレンド(欧州グリーンディール政策、パリ協定など)
- グローバル JAPAN(2050シミュレーションと総合戦略)
- GRIスタンダード
- SASBスタンダード
- ISO 26000
- SRI(社会的責任投資)調査項目
- RBA(Responsible Business Alliance)行動規範
サステナビリティ重要テーマ
2021年度、新たに特定した4つのマテリアリティを実効性のあるものにするため、12のサステナビリティ重要テーマを設定しました。これらのテーマを中期活動計画に反映し推進することを通じ、エプソンは社会課題の解決に取り組み、SDGs達成に貢献していきます。

サステナビリティ重要テーマKPIと2021年度の実績
12のサステナビリティ重要テーマのうち、まずは企業の持続性に重点を置きESGに関連する2つのマテリアリティ(「循環型経済の牽引」「社会的責任の遂行」)の取り組みテーマ、評価指標(KPI)、2021年度の実績を報告いたします。「産業構造の革新」「生活の質向上」におけるKPIについては、2023年度以降に開示を行う予定です。
1. マテリアリティ 循環型経済の牽引
サステナビリティ重要テーマ | 取り組みテーマ | 評価指標(KPI) | 2021年度目標値 | 2021年度実績 | 2022年度目標値 | 関連するSDGs |
---|---|---|---|---|---|---|
脱炭素の取り組み | 2050年「カーボンマイナス」に向けた、設備の省エネ、温室効果ガス除去、サプライヤーエンゲージメント、脱炭素ロジスティクス | Scope1,2 GHG排出量(総量)削減率 | 2017年度比17%削減 | 2017年度比41%削減 | 2017年度比21%削減 | 1, 2, 7, 8, 9, 12, 13, 14, 17 |
Scope3 GHG排出量(事業利益原単位)削減率 | 2017年度比22%削減 | 2017年度比38%削減 | 2017年度比30%削減 | |||
RE100達成に向けた再生可能エネルギーの活用 | 再生可能エネルギー導入率 | 国内100% | 国内100%達成(2021年11月から) | 国内100%維持 | ||
資源循環の取り組み | 2050年「地下資源*1消費ゼロ」に向けた
|
循環資源利用率 | 20% | 20% 大容量インクタンク搭載プリンターで再生プラスチック使用開始 |
20%以上 | 2, 6, 7, 8, 9, 11, 12, 13, 14, 15, 17 |
最終埋立率*2 | 1%以下 | 0.90% グループ内での金属リサイクル拡大 |
1%以下 | |||
お客様のもとでの環境負荷低減 | 環境負荷低減に資する商品・サービスによる削減貢献量の最大化*3 | 商品・サービスによる削減貢献量 | 前年以上 | 27.6万t-CO2e 前年度比107% |
前年以上 | 3, 6, 7, 8, 9, 11, 12, 13, 14, 15, 17 |
環境技術開発 | ドライファイバーテクノロジーを応用した再生材/天然素材による脱プラスチック・資源循環の実現
|
開発プロセスの進捗状況 | 素材開発・試作検証 | 素材候補を選定し試作 | 梱包材:自社製品による実用化検証 外装材:実用化に向けた技術実証開始 |
2, 3, 7, 8, 9, 11, 12, 13, 14, 15, 17 |
スクラップ金属の高付加価値リサイクル技術確立 | 開発プロセスの進捗状況 | 廃ウエハー再利用の開始 | 廃ウエハー再利用の開始 | リサイクル材料種拡大に向けた技術開発 |
*1 原油、金属などの枯渇性資源
*2 資源投入量に対する生産系埋立量の比率
*3 商品・サービスが社会のGHG排出量の削減に資する量を定量化したもの
2. マテリアリティ 社会的責任の遂行
サステナビリティ重要テーマ | 取り組みテーマ | 評価指標(KPI) | 2021年度目標値 | 2021年度実績 | 2022年度目標値 | 関連するSDGs |
---|---|---|---|---|---|---|
ステークホルダーエンゲージメントの向上 | ステークホルダーとの対話強化よるニーズ・社会要請への対応 | 社会支援活動 支援金額 | 社会支援活動目標の設定 | 2022-2025年度目標値の決定(売上収益の0.1%以上) | 売上の0.1%以上 | 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17 |
株主・投資家との対話回数ならびに経営への意見反映 | 株主・投資家との対話回数200回以上 | 239回 | 株主・投資家との対話回数200回以上 | |||
外部評価機関の評価指数 | 高評価*4を得る | 高評価を獲得 | 高評価を得る | |||
責任あるサプライチェーンの実現 | サプライチェーンBCM強化 | サプライチェーン途絶・停滞によるお客様への影響(2024年度販売影響なし) | 調達・製造・物流の停止・混乱をできるだけ抑え、販売影響を発生させない | COVID-19影響による部品調達難・物流機能停滞により販売影響が発生 | 販売影響 対2021年度半減 |
1, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17 |
責任あるサプライチェーンの実現 | サプライヤーにおけるCSRリスクレベル | 主要サプライヤー(直接材)のCSRリスクランク:ハイリスク0% | 主要サプライヤー(直接材)のCSRリスクランク:ハイリスク0% | 主要サプライヤー(直接材)のCSRリスクランク:ハイリスク0%、ミドルリスク6%以下 | ||
責任ある鉱物調達の実現 | 製品のコンフリクトフリー(CF)率 | - | - | CF戦略製品のCF情報リリース | ||
調査回答率*5 | 調査回答率 100% | 3TG*6調査回答率 99% | 調査回答率 100% | |||
人権の尊重とダイバーシティの推進 | 自由闊達で風通しのよい組織風土づくり | 組織風土アセスメント「チームで働く力」スコア | 5段階評価で3.7 | 3.68 | アセスメント方法変更*7によりKPI再設定 | 1, 4, 5, 8, 10, 12 |
こころの健康診断「総合健康リスク」 ハイリスク職場数 | ハイリスク職場なし | 全職場数の2.7% | アセスメント方法変更*7の検討とKPI再設定 | |||
ハラスメント防止施策の実施(教育・研修、事案共有、任用プロセスなど)、事案の本社報告の徹底 | 教育・研修、事案共有、任用プロセスにおけるチェック | 教育・研修、事案共有、任用プロセスにおけるチェックを計画通り実施 | 管理職向け/一般者向けの新たな研修の企画・実施 | |||
重要事案の本社報告漏れ0件 | 重要事案の本社報告漏れ0件 | ハラスメント相談の一次窓口強化と受付後のプロセスへの連携強化 | ||||
新「人権方針」のグループ内浸透による人権の尊重 | 人権尊重のコミットメント、人権デューデリジェンス(DD)、救済メカニズムの定着・改善 | 人権方針の改定 | 2022年4月1日付で人権方針の改定完了 | 人権方針の周知と、人権DD、救済メカニズムの現状と改善点の把握 | ||
ダイバーシティを尊重した人材の活用 | 管理職女性比率(当社) | 管理職女性比率3.6% | 管理職女性比率4.1%(22/4/1時点)、3.7%(22/3/31時点) | 管理職女性比率5% | ||
女性執行役員数2025年度までに1名以上(国内) | 内部育成の充実 | ダイバーシティマネジメント研修を必須化、選抜研修女性受講促進 | 社内外研修女性受講促進 | |||
ガバナンスの強化 | コンプライアンス経営の基盤強化 | 重大なコンプライアンス違反事案*8の発生件数 | 重大なコンプライアンス事案の発生なし | 重大なコンプライアンス事案の発生なし | 重大なコンプライアンス事案の発生なし | 16 |
グループコンプライアンスレベルの引き上げ | グループ社員全員*9へのコンプライアンス教育(e-ラーニング)実施率 | グループ全社での実施率100% | グループ全社での実施率100% | グループ全社での実施率100% | ||
透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を実現するガバナンス体制の維持・強化 | 取締役会の社外取締役比率 | 取締役会の社外取締役比率1/3以上を維持 | 取締役会の社外取締役比率50% | 取締役会の社外取締役比率1/3以上を維持 | ||
選考/報酬審議会の社外取締役比率 | 選考/報酬審議会の社外取締役比率70%以上を維持 | 選考/報酬審議会の社外取締役比率83% | 選考/報酬審議会の社外取締役比率80%以上を維持 | |||
情報セキュリティーの強化 | 重大な情報セキュリティーインシデント発生件数 | 0件 | 0件 | 0件 |
*4 Sustainalytics:Low、FTSE:4点以上、東洋経済新報社「CSR企業ランキング」トップ50以上
*5 調査の網羅率を示す
*6 スズ(Tin)、タンタル(Tantalum)、タングステン(Tungsten)、金(Gold)の頭文字をとった紛争鉱物の略称
*7 高いワークエンゲージメントを実現できている状態を目指すための変更
*8 適時開示事由に該当するような違反事案
*9 対象:当社および国内・海外子会社