マテリアリティと進捗
マテリアリティ
エプソンの企業経営の根幹を成すマテリアリティは社会課題をベースに特定されており、エプソンの行う企業活動は、社会課題解決そのものと考えています。社会課題解決に向け、「循環型経済の牽引」「産業構造の革新」「生活の質向上」「社会的責任の遂行」をマテリアリティとして取り組んでいます。
- 循環型経済の牽引
電力やエネルギー、水などの資源の有効利用や地下資源の使用削減などによって、資源を循環し、気候変動を抑制することで、持続的な経済活動を牽引する取り組みです。 - 産業構造の革新
従来のプロセスを変えることで、社会課題の解決につなげる取り組みです。例えば、ものづくりのプロセスをアナログ手法からデジタルに転換することによって、環境汚染や労働問題などの改善につなげることを意図しています。 - 生活の質向上
人々が健やかに暮らせるような健康面での貢献や、人の成長、成熟に関わる教育面での貢献です。エプソンが提供する商品やサービスを通じて、多様なライフスタイルを選択することを可能とし、健やかで、彩りのある暮らしにつながる取り組みを進めていきます。 - 社会的責任の遂行
エプソンが、持続可能でこころ豊かな社会を実現するために必要な企業責任を果たすことを示しています。多様なステークホルダーとの対話、調達部材やサプライヤーに関する環境・社会的側面での責任、人権の尊重とダイバーシティの推進、事業継続に関する対応力など、社会から期待される企業のあるべき姿の実現に資する取り組みです。
マテリアリティの特定
エプソンは、SDGs、ISO 26000などで示された社会課題やメガトレンドを分析するとともに、社会インパクトにつながる自社の強みを検討し、社会課題解決に向けエプソンが取り組むべき重要度の高い課題である4つのマテリアリティを特定しました。
マテリアリティ特定時に参照した重要な動向・フレームワークなど
- SDGs(持続可能な開発目標)
- TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
- 気候変動をはじめとした社会・経済分野のマクロトレンド(欧州グリーンディール政策、パリ協定など)
- グローバル JAPAN(2050シミュレーションと総合戦略)
- GRIスタンダード
- SASBスタンダード
- ISO 26000
- SRI(社会的責任投資)調査項目
- RBA(Responsible Business Alliance)行動規範
サステナビリティ重要テーマと2023年度の実績
サステナビリティ重要テーマ
マテリアリティの実効性を高めるため12のサステナビリティ重要テーマに展開し、社会課題解決にどのような貢献をするかを念頭に具体的なKPI (推進目標・指標)を設定した上で確実な推進に取り組んでいます。
サステナビリティ重要テーマKPIと2023年度の実績
サステナビリティ重要テーマにつき、2023年度のKPI実績を以下にまとめました。2022年度から一部のKPIを経営層の報酬評価の際の指標として組み込み、サステナビリティに関する経営責任を明確にしています。
1. マテリアリティ 循環型経済の牽引
サステナビリティ重要テーマ | RS 指標*1 |
取り組みテーマ | 評価指標(KPI) | 2023年度 目標値 |
2023年度 実績 |
2024年度 目標値 |
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脱炭素の取り組み | ● | 2050年「カーボンマイナス」に向けた、設備の省エネ、温室効果ガス除去、サプライヤーエンゲージメント、脱炭素ロジスティクス | Scope1,2GHG排出量(総量)削減率 | 2017年度比65%削減(SBT:FY25目標34%) | 2017年度比80%削減 | 2017年度比80%削減(SBT:FY25目標34%) |
● | Scope3 GHG排出量(事業利益原単位)削減率 | 2017年度比45%削減(SBT:FY25目標44%) | 2017年度比17%削減 | 2017年度比35%削減(SBT:FY25目標44%) | ||
再生可能エネルギーの活用 | 再生可能エネルギー導入率 | グローバルで100% | グローバル導入率100% | グローバルで100%を維持 | ||
資源循環の取り組み | 2050年「地下資源*2消費ゼロ」に向けた
|
サステナブル資源率*3 | 27% | 32% | 35% | |
最終埋立率*4 | 1%以下 | 0.6% | 1%以下 | |||
お客様のもとでの環境負荷低減 | 環境負荷低減に資する商品・サービスによる削減貢献量の最大化*5 | 商品・サービスによる削減貢献量 | 新しい算定ロジックによる算出開始と目標値策定 | 新しい算定ロジックにより、A3カラーインクジェットプリンターの削減貢献量を算定開始 FY23実績:15.1千t-COe*6 |
前年以上 | |
環境技術開発 | ドライファイバーテクノロジーを応用した再生材/天然素材による脱プラスチック・資源循環の実現
|
開発プロセスの進捗状況 | 実用化範囲拡大 | 梱包材:活用拡大に向けた開発(コットン端材) 外装材:複合プラスチックの素材開発(素材性能向上) |
実用化範囲拡大 | |
スクラップ金属の高付加価値リサイクル技術確立 | 開発プロセスの進捗状況 | 金属粉末(造形材)の高付加価値化技術の実用化 | 造形材としての要素技術開発を完了しPoC*7推進中 | 金属粉末(磁性粉体)の高付加価値化技術の実用化 |
*1 役員報酬[譲渡制限付株式報酬(Restricted Stock)]評価指標
*2 原油、金属などの枯渇性資源
*3 原材料に対するサステナブル資源(再生可能資源+循環資源+低枯渇性資源)の比率
*4 資源投入量に対する生産系埋立量の比率
*5 商品・サービスが社会のGHG排出量の削減に資する量を定量化したもの
*6 みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社の算出方法確認のもと、世界市場の主要なレーザープリンターの公開されている生涯CO2排出量の加重平均と、自社A3カラーインクジェットプリンターの生涯CO2排出量との差分に、自社A3カラーインクジェットプリンターの当該年度の販売台数を乗じた値
*7 PoC(Proof of Concept、概念実証)新しい技術などの実現可能性や実際の効果などを検証するプロセス
2. マテリアリティ 産業構造の革新
サステナビリティ重要テーマ | RS指標*1 | 取り組みテーマ | 評価指標(KPI) | 2023年度 目標値 |
2023年度 実績 |
2024年度 目標値 |
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デジタル化・自動化による生産性向上 | インクジェット技術と多様なソリューションにより、商業・産業印刷のデジタル化を主導し、環境負荷低減・生産性向上を実現する | 商業・産業向けのインクジェットプリンター対前年の平均売上伸長率 | 10% | 1% | 3% | |
労働環境・教育環境の改善 | インクジェット技術とオープンなソリューションにより、環境負荷低減・生産性向上を実現し、在宅学習や分散オフィスの印刷の進化を主導する | SOHO・ホーム向け大容量インクジェットプリンター対前年の平均売上伸長率 | 5% | △9% | 5% | |
ロボットを用いた自動化による労働力不足の解消 | 労働力不足解消数*8 | 28千人 | 25千人 | 29千人 | ||
臨場感と情報量を両立し、リアルとリモートを組み合わせた境界のない公平・自然で快適なコミュニケーション環境を提供する | 共創・協業案件数 または パートナー数 | パートナー:2社 | パートナー:2社 | 導入企業/パートナー:継続+新規開拓 | ||
大画面コミュニケーションをコンパクトに実現するスマート型の携行型ディスプレイにより均質な学びの機会を創出し、地域や社会情勢の違いによる学びの格差を緩和する | 共創・協業による現地実証プログラム数 | 20件 | 29件 | 累計40件 | ||
一般教育、社会課題啓発での実証国数 | ー | 実証国選定 | 実証国:2か国 |
*1 役員報酬[譲渡制限付株式報酬(Restricted Stock)]評価指標
*8 エプソン社内プロジェクトの効果ベースで換算
3. マテリアリティ 生活の質向上
サステナビリティ重要テーマ | RS指標*1 | 取り組みテーマ | 評価指標(KPI) | 2023年度 目標値 |
2023年度 実績 |
2024年度 目標値 |
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多様なライフスタイルの提案 | 独創のセンシング技術とアルゴリズムにより、パーソナライズされた価値をビジュアルで分かりやすく提供することで、生活習慣病予防やスポーツ上達支援によって人々の多様なライフスタイルを彩る | 売上に占める支援サービスのデータビジネス比率*9収益比率 |
20% | 22% | 28% | |
豊かで彩のある暮らしの実現 | 「省・小・精の技術」と匠の技能で、魅力ある上質な商品を提供し、お客様の多様なライフスタイルを彩る | 魅力ある上質な商品の対前年売上伸長率 | 4% | 4% | 12% |
*1 役員報酬[譲渡制限付株式報酬(Restricted Stock)]評価指標
*9 データをアルゴリズム変換し価値提供を行うビジネスモデル
4. マテリアリティ 社会的責任の遂行
サステナビリティ重要テーマ | RS指標*1 | 取り組みテーマ | 評価指標(KPI) | 2023度 目標値 |
2023度 実績 |
2024度 目標値 |
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ステークホルダーエンゲージメントの向上 | ステークホルダーとの対話強化よるニーズ・社会要請への対応 | 社会支援活動 支援金額 | 売上の0.1%以上 | 売上収益の0.1% | 売上の0.1%以上 | |
株主・投資家との対話回数ならびに経営への意見反映 | 200回以上 | 240回 | 200回以上 | |||
外部評価機関の評価指数 | 高評価*10を得る | 高評価を獲得 | 高評価を得る | |||
責任あるサプライチェーンの実現 | サプライチェーンBCM強化 | サプライチェーン途絶・停滞によるお客様への影響(2024年度販売影響なし) | サプライチェーン途絶による販売影響を限りなくゼロとする | サプライチェーン起因による影響:ゼロ | 販売影響ゼロ | |
● | 責任あるサプライチェーンの実現 | サプライヤーにおけるCSRリスクレベル | [直接材]ハイリスク0%、ミドルリスク4%以下 [間接材]ハイリスク0% |
[直接材]ハイリスク0%、ミドルリスク4.2% [間接材]ハイリスク0% |
[直接材]ハイリスク0%、ミドルリスク2%以下 [間接材]ハイリスク0% |
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責任ある鉱物調達の実現 | 製品のコンフリクトフリー(CF)率 | CF戦略製品のCF情報リリース | CF情報の実績開示に向け準備 | 新製品のCF実現 | ||
調査回答率*11 | 100% | 100% | 100% | |||
人権の尊重とダイバーシティの推進 | 自由闊達で風通しのよい組織風土づくり | 組織風土アセスメント「チームで働く力」スコア | モチベーションクラウド
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モチベーションクラウド
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モチベーションクラウド
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こころの健康診断「総合健康リスク」 ハイリスク職場数*12 | ハイリスク職場数ゼロに向けて前年より減 | 2022年度よりハイリスク職場数が増 | 2023年度より減 | |||
ハラスメント防止施策の実施(教育・研修、事案共有、任用プロセス等)、事案の本社報告の徹底 |
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計画した研修については、コンテンツの刷新含めて計画通り進行 |
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相談窓口外部委託化の選定完了、運用準備 |
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新「人権方針」のグループ内浸透による人権の尊重 |
人権尊重のコミットメント、人権デューデリジェンス(DD)・救済メカニズムの定着・改善 |
人権尊重のためのPDCAサイクルの定着・改善
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⟨PDCAサイクル⟩
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人権尊重のためのPDCAサイクルの定着・改善
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● | ダイバーシティを尊重した人材の活用 | 管理職女性比率(当社) |
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女性執行役員数2025年度までに1名以上(国内) | ー | ー | ー | |||
ガバナンスの強化 | ● | コンプライアンス経営の基盤強化 | 重大なコンプライアンス違反事案*14の発生件数 | 0件 | 0件 | 0件 |
グループコンプライアンスレベルの引き上げ | グループ社員全員へのコンプライアンス教育(e-ラーニング)実施率 | グループ全社での実施率100% | グループ全社での実施率100% | グループ全社での実施率100% | ||
透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を実現するガバナンス体制の維持・強化 |
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重大な情報セキュリティーインシデント発生件数 | 0件 | 0件 | 0件 |
*1 役員報酬[譲渡制限付株式報酬(Restricted Stock)]評価指標
*10 Sustainalytics:Low、FTSE:4点以上、東洋経済新報社「CSR企業ランキング」トップ50以上
*11 調査依頼サプライヤーに対する回答提出サプライヤーの率
*12 目標値管理は、回答者10以上の職場を対象とする
*13 JaCER:ビジネスと人権対話救済機構
*14 重大なコンプライアンス違反事案:適時開示事由に該当するような違反事案