マテリアリティと進捗
マテリアリティ
社会課題解決に向け、「循環型経済の牽引」「産業構造の革新」「生活の質向上」「社会的責任の遂行」をエプソンのマテリアリティとして取り組んでいます。

サステナビリティ重要テーマと2022年度の実績
サステナビリティ重要テーマ
2021年度、新たに特定した4つのマテリアリティを実効性を高めるため、12のサステナビリティ重要テーマを設定しました。これらのテーマを中期活動計画に反映し推進することを通じ、エプソンは社会課題の解決に取り組み、SDGs達成に貢献していきます。

サステナビリティ重要テーマKPIと2022年度の実績
ESGに関連する2つのマテリアリティ(「循環型経済の牽引」「社会的責任の遂行」)のサステナビリティ重要テーマにつき、2022年度のKPI実績を以下にまとめました。
更に、2023年度は残り2つのマテリアリティ(「産業構造の革新」「生活の質向上」)のサステナビリティ重要テーマKPIを設定しましたので、下表に追加掲載しました。
これまでも役員報酬の評価においては外部のサステナビリティ評価を反映し決定してきていますが、2022年度から一部のKPIを経営層の報酬評価の際の指標として組み込み、サステナビリティに関する経営責任を明確にしました。
1. マテリアリティ 循環型経済の牽引
サステナビリティ重要テーマ |
LTI連動*1 |
取り組みテーマ | 評価指標(KPI) | 2022年度 目標値 |
2022年度 実績 |
2023年度 KPI目標値 |
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脱炭素の取り組み | ● | 2050年「カーボンマイナス」に向けた、設備の省エネ、温室効果ガス除去、サプライヤーエンゲージメント、脱炭素ロジスティクス | Scope1,2GHG排出量(総量)削減率 | 2017年度比21%削減 | 2017年度比60%削減 |
2017年度比65%削減 (SBT:FY25目標 34%) |
● | Scope3 GHG排出量(事業利益原単位)削減率 | 2017年度比30%削減 | 2017年度比45%削減 |
2017年度比45%削減 (SBT:FY25目標 44%) |
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再生可能エネルギーの活用 | 再生可能エネルギー導入率 | 国内100%維持 | 国内100%維持 グローバルで79% |
グローバルで100% | ||
資源循環の取り組み | 2050年「地下資源*2消費ゼロ」に向けた
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循環資源利用率(22年度まで) サステナブル資源率*3(23年度から) |
20%以上 | 21% |
サステナブル資源率*3 27% (FY23より定義を明確化し運用開始する) |
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最終埋立率*4 | 1%以下 | 0.79% | 1%以下 | |||
お客様のもとでの環境負荷低減 | 環境負荷低減に資する商品・サービスによる削減貢献量の最大化*5 | 商品・サービスによる削減貢献量 | 前年以上 | 29.7万t-CO2e 前年度比107% |
新しい算定ロジックによる算出開始と目標値策定 | |
環境技術開発 | ドライファイバーテクノロジーを応用した再生材/天然素材による脱プラスチック・資源循環の実現
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開発プロセスの進捗状況 |
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実用化範囲拡大 | |
スクラップ金属の高付加価値リサイクル技術確立 | 開発プロセスの進捗状況 | リサイクル材料種拡大に向けた技術開発 | エプソンアトミックス粉末高機能化:高耐電圧絶縁膜の開発 | 金属粉末(造形材)の高付加価値化技術の実用化 |
*1 役員報酬連動指標
*2 原油、金属などの枯渇性資源
*3 原材料に対するサステナブル資源(再生可能資源+循環資源+低枯渇性資源)の比率
*4 資源投入量に対する生産系埋立量の比率
*5 商品・サービスが社会のGHG排出量の削減に資する量を定量化したもの
2. マテリアリティ 産業構造の革新
サステナビリティ重要テーマ | LTI連動*1 | 取り組みテーマ | 評価指標(KPI) | 2022年度 目標値 |
2022年度 実績 |
2023年度 KPI目標値 |
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デジタル化・自動化による生産性向上 | インクジェット技術と多様なソリューションにより、商業・産業印刷のデジタル化を主導し、環境負荷低減・生産性向上を実現する | 商業・産業向けのインクジェットプリンター対前年の平均売上伸長率 | - *6 | - *6 | 10% | |
インクジェット技術とオープンなソリューションにより、環境負荷低減・生産性向上を実現し、在宅学習や分散オフィスの印刷の進化を主導する | SOHO・ホーム向け大容量インクジェットプリンター対前年の平均売上伸長率 | - *6 | - *6 | 5% | ||
ロボットを用いた自動化による労働力不足の解消 | 労働力不足解消数*7 | - *6 | - *6 | 28千人 | ||
臨場感と情報量を両立し、リアルとリモートを組み合わせた境界のない公平・自然で快適なコミュニケーション環境を提供する | 共創・協業案件数 または パートナー数 | - *6 | - *6 | 共創・協業案件:1件 | ||
大画面コミュニケーションをコンパクトに実現するスマート型の携行型ディスプレイにより均質な学びの機会を創出し、地域や社会情勢の違いによる学びの格差を緩和する | 共創・協業による現地実証プログラム数 | - *6 | - *6 | 価値実証件数:20件 |
*1 役員報酬連動指標
*6 「産業構造の革新」「生活の質向上」マテリアリティの指標と目標は2023年度から適用
*7 エプソン社内プロジェクトの効果ベースで換算
3. マテリアリティ 生活の質向上
サステナビリティ重要テーマ | LTI連動*1 | 取り組みテーマ | 評価指標(KPI) | 2022年度 目標値 |
2022年度 実績 |
2023年度 KPI目標値 |
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多様なライフスタイルの提案 | 独創のセンシング技術とアルゴリズムにより、パーソナライズされた価値をビジュアルで分かりやすく提供することで、生活習慣病予防やスポーツ上達支援によって人々の多様なライフスタイルを彩る | 売上に占める支援サービスのデータビジネス比率*8収益比率 | - *6 | - *6 | 30% | |
豊かで彩のある暮らしの実現 | 「省・小・精の技術」と匠の技能で、魅力ある上質な商品を提供し、お客様の多様なライフスタイルを彩る | 魅力ある上質な商品の対前年売上伸長率 | - *6 | - *6 | 4% |
*1 役員報酬連動指標
*6 「産業構造の革新」「生活の質向上」マテリアリティの指標と目標は2023年度から適用
*8 データをアルゴリズム変換し価値提供を行うビジネスモデル
4. マテリアリティ 社会的責任の遂行
サステナビリティ重要テーマ | LTI連動*1 | 取り組みテーマ | 評価指標(KPI) | 2022年度 目標値 |
2022年度 実績 |
2023年度 KPI目標値 |
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ステークホルダーエンゲージメントの向上 | ステークホルダーとの対話強化よるニーズ・社会要請への対応 | 社会支援活動 支援金額 | 売上の0.1%以上 | 社会貢献費用:約13億円 売上収益の0.1% |
売上の0.1%以上 | |
株主・投資家との対話回数ならびに経営への意見反映 | 株主・投資家との対話回数200回以上 | 株主・投資家との対話回数269回 対話結果をサステナビリティ戦略会議・取締役会で報告・提言 |
200回以上 | |||
外部評価機関の評価指数 | 高評価*9を得る | 高評価を獲得 | 高評価を得る | |||
責任あるサプライチェーンの実現 | サプライチェーンBCM強化 | サプライチェーン途絶・停滞によるお客様への影響(2024年度販売影響なし) | 販売影響 対2021年度半減 |
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サプライチェーン途絶による販売影響を限りなくゼロとする | |
● | 責任あるサプライチェーンの実現 | サプライヤーにおけるCSRリスクレベル | 主要サプライヤー(直接材)のCSRリスクランク:ハイリスク0%、ミドルリスク6%以下 | 主要サプライヤー(直接材)のCSRリスクランク:ハイリスク:0%、ミドルリスク:9% | 主要サプライヤー(直接)のCSRリスクランク:ハイリスク0%、ミドルリスク4%以下 主要サプライヤー(間接材):ハイリスク0% |
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責任ある鉱物調達の実現 | 製品のコンフリクトフリー(CF)率 | CF戦略製品のCF情報リリース | CF戦略製品のスメルター(精錬業者)確認 | CF戦略製品のCF情報リリース | ||
調査回答率*10 | 調査回答回収率100% | 調査回答回収率99.6% | 調査回答回収率100% | |||
人権の尊重とダイバーシティの推進 | 自由闊達で風通しのよい組織風土づくり | 組織風土アセスメント「チームで働く力」スコア | モチベーションクラウド導入によるアセスメント方法変更によりKPI再設定 |
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モチベーションクラウド
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こころの健康診断「総合健康リスク」 ハイリスク職場数*11 | 「総合健康リスク」 ハイリスク職場数ゼロに向けて前年実績減 | 2021年度よりハイリスク職場数減を達成 | 2022年度より減 | |||
ハラスメント防止施策の実施(教育・研修、事案共有、任用プロセス等)、事案の本社報告の徹底 | 管理職向け/一般者向けの新たな研修の企画・実施 | 社会動向、制裁事案等を踏まえた研修コンテンツの改訂 |
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ハラスメント相談の一次窓口強化と受付後のプロセスへの連携強化 |
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新「人権方針」のグループ内浸透による人権の尊重 | 人権尊重のコミットメント、人権デューデリジェンス(DD)・救済メカニズムの定着・改善 | 人権方針の周知と、人権DD・救済メカニズムの現状と改善点の把握 | 研修立ち上げによる人権方針の周知と、人権DD・救済メカニズムの現状と改善点の把握 | 人権尊重のためのPDCAサイクルの定着・改善
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● | ダイバーシティを尊重した人材の活用 | 管理職女性比率(当社) | 管理職女性比率5% | 女性管理職比率4.1% |
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女性執行役員数2025年度までに1名以上(国内) | 社内外研修女性受講促進 | 社外研修 課長2名受講 | ||||
ガバナンスの強化 | ● | コンプライアンス経営の基盤強化 | 重大なコンプライアンス違反事案*12の発生件数 | 重大なコンプライアンス事案の発生なし | 重大なコンプライアンス事案の発生なし | 重大なコンプライアンス事案の発生件数ゼロ |
グループコンプライアンスレベルの引き上げ | グループ社員全員*13へのコンプライアンス教育(e-ラーニング)実施率 | グループ全社での実施率100% | コンプライアンス月間eラーニング 国内:99.0% 海外:98.5% |
グループ全社での実施率100% | ||
透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を実現するガバナンス体制の維持・強化 | 取締役会の社外取締役比率 | 取締役会の社外取締役比率1/3以上を維持 | 取締役会の社外取締役比率1/3以上を維持 | 取締役会の社外取締役比率1/3以上を維持 | ||
選考/報酬審議会の社外取締役比率 | 選考/報酬審議会の社外取締役比率80%以上を維持 | 選考/報酬審議会の社外取締役比率80%以上を維持 | 選考/報酬審議会の社外取締役比率80%以上を維持 | |||
情報セキュリティーの強化 | 重大な情報セキュリティーインシデント発生件数 | 0件 | 2件 | 0件 |
*1 役員報酬連動指標
*9 Sustainalytics:Low、FTSE:4点以上、東洋経済新報社「CSR企業ランキング」トップ50以上
*10 調査依頼サプライヤーに対する回答提出サプライヤーの率
*11 目標値管理は、回答者10以上の職場を対象とする
*12 重大なコンプライアンス違反事案:適時開示事由に該当するような違反事案
*13 対象:当社及び国内・海外子会社
マテリアリティの特定
エプソンは、2021年、長期ビジョンEpson 25 Renewedの制定に伴い、SDGs、ISO 26000などで定められた社会課題やメガトレンドを参考として、自社視点・社会視点による評価を行い、社会課題解決に向けエプソンが取り組むべき重要度の高いテーマとして4つの重要課題(マテリアリティ)を特定しました。

マテリアリティ特定時に参照した重要な動向・フレームワークなど
- SDGs(持続可能な開発目標)
- TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
- 気候変動をはじめとした社会・経済分野のマクロトレンド(欧州グリーンディール政策、パリ協定など)
- グローバル JAPAN(2050シミュレーションと総合戦略)
- GRIスタンダード
- SASBスタンダード
- ISO 26000
- SRI(社会的責任投資)調査項目
- RBA(Responsible Business Alliance)行動規範