労働安全衛生
労働安全衛生の考え方
エプソンは、「安全・健康・コンプライアンスは業績に優先する」を念頭に、安全衛生環境の維持向上と心身の健康保持増進が企業体質の根幹を成すものと考え、グループ全ての働く人が安心して活き活きと働けるよう、全世界で労働安全衛生活動を行っています。
エプソンは「安全」「健康」「防火・防災」「施設」を4本柱とした、 「労働安全衛生基本方針」を制定し、役員・従業員・協働者を対象に労働安全衛生活動を周知しています。
エプソングループ労働安全衛生基本方針

コミットメント
エプソンは、グループの労働安全衛生活動を国際規格であるISO45001に基づく活動に進化させ、職場の安全衛生環境のさらなる向上を実現していきます。安心・安全・健康は、会社の命であることを肝に銘じ、各国・地域の法令や社内規程を遵守するとともに、こころとからだの健康維持・増進に努め、全員一丸となって「重大労働災害・事故ゼロ」「業務上疾病ゼロ」を達成し、「持続可能でこころ豊かな社会の実現」に向けた基盤づくりをしていきます。
人的資本・健康経営 副本部長
統括安全衛生管理者 窪田 美彦
労働災害の発生状況
2023年度は重大労働災害*1が0件でした。活動により激突・激突されは12件が3件へ減少しましたが、転倒は18件から21件へ、動作の反動、無理な動作は3件から10件へ増加しました。2022年度から製造に加えて販社を含めた指標管理にあらため、労働安全衛生活動を強化しましたが、販社における労働災害は、倉庫作業による腰痛、オフィスでの転倒など、増加傾向を示しています。販社を含めた全推進体を対象とした労働安全衛生の会議を通じて、再発防止活動を継続して展開しています。
火災に繋がる、発火・発煙は3件から5件に増加しています。要因となっている購入備品(扇風機、食器乾燥機など)の管理を強化していきます。
労働災害度数率・強度率*2は昨年から微増となっていますが、全国平均を下回る水準で推移しています。
*1 死亡・後遺障害およびこれに準ずる災害
*2 労働災害に関する指標で、厚生労働省の計算式に準じて、算出
労働災害度数率推移 労働災害強度率推移
労働損失日数は、以下の基準により算出しています。
・死亡 :7,500日
・永久全労働不能 :身体障害等級1~3級の日数(7,500日)
・永久一部労働不能:身体障害等級4~14級に応じて、50~5,500日
・一時労働不能 :所定休日も含めた暦日数の延べ休業日数に300/365を乗じた日数
2023年度労働災害 型別の件数
(単位:件)
転倒 | 動作の反動、
無理な動作 |
発火、発煙 | 激突、激突され | 切れ | その他 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
21 | 10 | 5 | 3 | 2 | 7 | 48 |
* 件数の定義: 休業1日以上
安全管理の取り組み
2023年度の活動目標は以下の通りでした。その結果を振り返り、2024年度の活動目標は以下の通り設定しています。
指標 | 2023年度目標 | 2023年度実績 | 2024年度目標 |
---|---|---|---|
重大労働災害・事故件数 | ゼロ | ゼロ | ゼロ |
労働災害度数率 | 0.30以下 | 0.32 | 0.30以下 |
労働災害強度率 | 0.006以下 | 0.007 | 0.006以下 |
2024年度に向けての施策
2023年度の事故労災を分析し、2024年度は以下の活動を重点的に取り組み、再発・未然防止を図っていきます。
- 転倒: 階段や段差等の環境整備に加えて、身体機能の低下防止に向けた体力づくりによる転倒災害の撲滅を推進する。
- 動作の反動・無理な動作: 運搬作業、継続作業で発生している腰痛等に対して、現場視察と合わせて身体負荷のリスク抽出を強化し安全活動を推進する。
- 発火・発煙: 一般的な家電製品からの発煙事例を受けて、購入前の仕様確認と日常点検を強化する。
研究開発段階を含めて、新たに機械・装置を導入する場合は、グループのリスク評価基準に従って、リスクの特定・評価を行い、その結果に基づいて、安全対策を実施しています。
「ISO45001」認証の取得状況
エプソンは、社員を労働安全衛生上のリスクから守るために、労働安全衛生マネジメントシステムの国際標準規格「ISO45001」認証を製造拠点中心に3カ年で計画的に取得していきます。2023年度までに、海外製造全14拠点、国内製造14拠点のうち12拠点で取得し、合計26拠点(対象28拠点)で92.9%になります。2024年度中に全拠点取得します。
グローバルな労働安全衛生活動の情報共有
エプソンは、国内外の生産拠点において、経営層と実務者層、労使間、それぞれの階層で情報共有する会議を定期的に開催し、労働安全衛生活動のレベルアップを図っています。
経営層では、半期ごとに、国内拠点・海外拠点に分け、各事業所・関係会社の安全衛生活動のトップである事業部長・関係会社社長クラスを集め、担当役員参加の「総括安全衛生管理者会議」を開催し、労働安全衛生活動の現状・課題を共有し、レベルアップを図っています。
労使間では月例の安全衛生委員会を開催しています。労働者側からの意見を反映して現場の安全衛生の向上に取り組んでいます。

「安全ニュース」を用いた社内啓発
エプソンは、グループ内で発生した全ての労働災害と事故について分析を行い、発生原因を究明し再発防止策を立案します。また、労働災害と事故について、原因・対策・再発防止の水平展開事項までを「安全ニュース」としてまとめあげ、社内イントラネットを活用し全社員に周知徹底を図っています。
安全衛生教育を通した人材育成
エプソンは、社員の命を守る安全衛生教育を最も重要な教育の一つに位置付けています。その特徴は、社員の階層や役割に応じた教育カリキュラムが充実している点です。一般社員層にはリスクアセスメントや危険予知訓練などの実用技法、管理監督者層には職場を統率するスキルの習得にそれぞれ主眼を置いて、全社共通の教育カリキュラムを運用しています。
2023年度の教育実績として、国内ではeラーニングを活用した安全教育を計画し、97.97%(19,697人)が受講しました。また海外でも同様に実施し、27,336人が受講しました。
未受講者に対する受講促進の継続フォローを実施しています。
火事・自然災害への取り組み
エプソンでは、全社重要リスク制御計画に基づき、火災・震災・風水害などへの備えおよび発生時の人命救護・被害拡大防止・復旧の各対策について、定期的な見直しと継続的な訓練を実施し、実効性の検証とさらなる向上を図っています。
災害発生時の初動対応
災害発生時またはその恐れのある場合に、災害対策・措置を指揮するために、国内外のグループ各社・各事業所が主体となり防災本部を設置します。設置した場合、セイコーエプソン本社防災本部事務局に第一報として直ちに報告します。その際の報告事項は下記の通り定めています。
- 働く人の安否状況(本人)
- 建物・設備の被災状況
- 操業への影響
- その他防災本部長が報告の必要があると判断した情報
各被災状況の情報収集にあたっては、インフラ途断へのリスクを考慮した複数の手段にて国内外から報告が入る体制にしています。また、本社防災本部事務局ならびに国内全拠点の防災担当者をつなぐTeamsチャネルを設け、画像も含めた情報をスマホからタイムリーに共有できる仕組みを設けるなど、改善を重ねています。
従業員の安否確認にあたっては、昨今の自治体単位での局所災害にも活用できるよう、安否情報システムの権限を拠点担当者にも付与をして、全社レベルのみならず拠点単位で安否確認や情報連絡の発報ができる体制を整えています。
本社防災対策本部事務局は、各事業所の報告内容を確認し、被害が広範かつ大規模である場合、または各事業所から要請がある場合には、総合災害対策本部を設置します。同本部は各事業所の被災状況の把握の他、各防災本部に対する総合的指針を出し、復旧のための速やかな支援・処置を行います。また、復旧見込みをとりまとめ、社内外に告知します。各防災本部の初動対応が完了し次第、速やかにBCPに移行する仕組みとなっています。
災害への備え
火事については、国内外の拠点において自衛消防団が活動しており、有事の際は救護活動および諸施設、設備などの被害を最小限に食い止める役割を主導的に果たせるよう、定期的な訓練を重ねています。また、全ての従業員を対象に、初期消火対応に備えた消火器訓練を実施しています。
その他災害全般については、拠点ごとにハザードマップ等を元にリスクを抽出し、対応した訓練計画を策定しています。訓練は全社員を対象とし、職場単位での災害時のシミュレーションに従い、実際に避難や消火活動を行います。
体制面では、全社に発布する初動体制の整備指針について定期的に見直しを行っており、都度各社・事業所で落とし込みを行い、最適な体制を整えています。
感染症への備えはこちら
施設保安管理の取り組み
エプソンは、エプソングループ労働安全衛生基本方針に基づき、構内建物設備の不備による事故防止のための施設保安管理活動を行っています。
施設保安とは、建物および建物設備(電気設備、空調衛生設備、造排水設備、防災設備、通信設備、生産機械等へのガス・薬品等供給設備など)について、海外を含めたエプソングループ全てを対象とした安全管理のことです。建物および建物設備を健全に維持し、火災や地震での損傷が最小限となるよう計画・維持し、それにより社員および関係する人々の安全を確保することで、エプソンの企業活動を継続し、商品・サービスをお客様にオンタイムでお届けすることにも役立ちます。そのために、エプソンの施設保安活動ではさまざまな安全対策を講じています。
具体的には、建物および建物設備を新設・改修・撤去する場合、事前に安全審査を行い想定される不具合を洗い出し、設計に反映しています。また工事中の安全管理はもちろん、使用前の安全審査も実施し、設計通りに建物および建物設備ができているかを確認します。不具合があれば改善し、改善されないと使用できない仕組みとなっています。
安全審査を行う上で、関係法令を遵守することはもとより、エプソン独自の基準を定め、過去の事故や不具合事例の再発防止を行うことで、より安全な建物および建物設備の構築に努めています。
工事を実施・推進する上で、多くの場合、社外のお取引先様に協力をいただきます。委託においては、工事に関するルールの徹底、入出場管理、機密保持管理、作業上の安全指導など、安全管理の徹底を図っています。また、お取引先様を対象とした安全連絡会を実施することで意識の高揚も図っています。
社員に対し施設管理に必要な公的資格の取得促進および施設管理水準の維持向上を図るため、教育計画を作成し専門的な教育を継続的に行っています。特に電気安全に関しては、エプソングループ独自の電装技術員制度を制定・運用しています。国内外拠点の職場内で使用する機械について社員が保守保全を行う場合、電装技術員でなければ電気を取り扱うことができないなど、電気安全管理の維持向上に努めています。
以上の活動を行いながら今後も事故、労働災害ゼロを目指していきます。