環境技術開発

目指す姿

社会課題を起点とした環境技術開発により循環型経済を牽引する

「Epson 25 Renewed」では、社会課題に照らし、4つのマテリアリティを定義しています。なかでも「循環型経済の牽引」においては、材料開発を中心に、地下資源に頼らない資源循環やカーボンマイナスを実現する技術開発に注力しています。このようなマテリアリティ達成に向けた環境技術の貢献とあわせて、積極的にパートナーとの共創も進めながら環境負荷低減に貢献する新たなソリューション開発を行うことで、新たなビジネス創出も同時に目指していきます。
例えば、ドライファイバーテクノロジー(DFT)や金属粉末制御技術などの材料技術により、廃材やリサイクル材から新たな製品を生み出すことで、地下資源から地上資源由来材料への置き換えを実現します。
また、カーボンマイナスの実現に向け、どうしても排出が避けられないGHG残余排出量への対応に向けて、CO2吸収技術を開発しています。

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ドライファイバーテクノロジー(DFT)

古紙や衣類繊維のリサイクルによる資源循環の実現

乾式オフィス製紙機「PaperLab」に搭載されている繊維化技術「ドライファイバーテクノロジー」を進化させ、古紙を原料とした吸音材・緩衝材へ社内活用を拡げながら、衣類の縫製端材(コットン)を用いた社内応用も実現しています。
また、伸縮性混紡素材や強撚糸素材の解繊技術の確立を目指し、香港繊維アパレル研究開発センター(HKRITA)と共同開発契約を締結しています。これにより、工場の端材・売れ残った衣料品・不要となった衣類の中で、従来は再繊維化が困難だった機能性衣類やシーツ、ワイシャツなどから新たな再生繊維を取り出すことが可能になります。

ドライファイバーテクノロジーで解繊した繊維を50%使用したコットンの糸(試作)

循環型経済を牽引する複合プラスチックの社会実装を加速(東北大学との共創)

循環型経済の確立に向け、活用が進むバイオプラスチックや再生プラスチックですが、バージンプラスチックと比較して機械的強度や耐久性が低いことから、使用範囲が一部に留まっているのが現状です。
エプソンは、東北大学と2006年より包括連携協定を締結し、組織的な産学連携による研究開発や人材育成を行ってきており、その中でドライファイバーテクノロジーを活用した繊維複合型プラスチック材料の共同研究を進めてきました。2023年8月には、「サスティナブル材料共創研究所」を設置し、循環型経済の牽引を実現するサスティナブル材料として、セルロース繊維複合型のバイオプラスチックや再生プラスチックの基盤技術構築の研究開発、および社会実装の加速化を図ります。

内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)*1第3期の課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」へ、解繊したセルロースを使った複合プラスチックの開発が採択されました。(2023年7月)
*1 内閣総合科学技術・イノベーション会議が司令塔となり、省府の枠や旧来の分野を超えて、科学技術イノベーション実現を目指す国家プロジェクト

関連情報

CO2吸収技術

エプソンが「環境ビジョン2050」で掲げる、2050年のカーボンマイナス実現に向け、自社のCO2残余排出量を相殺できるCO2吸収技術の確立を目指します。

エプソン独自技術を応用したCO2分離膜技術

インクジェットヘッド等の薄膜技術を応用し、CO2を優先的に透過する分離膜を開発しています。今後は小型・低エネルギーなシステムで、高効率なCO2回収を目指します。

バイオ技術を活用したCO2吸収技術

微細藻類によるCO2吸収技術の開発に取り組んでいます。現在CCS*2には炭酸カルシウムを合成する円石藻に着目し、培養条件の最適化とさまざまな育種技術の活用によって、ラボ内では森林*3と比較し70倍のCO2固定量まで高めることに成功しています。また、CCU*4には緑藻を用いた技術開発に取り組んでいます。今後は、より効率的にCO2を固定化させ、 CO2の資源化まで目指します。


*2 CCS (Carbon dioxide Capture and Storage): 発電所や工場などから排出されたCO2のみを他の気体から分離・回収し、地中などに貯留する技術
*3 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所データ
*4 CCU (Carbon dioxide Capture and Utilization):分離・回収したCO2を、農業などに直接利用、または燃料などに変換して活用するプロセス較

金属粉末製造技術

独自の金属粉末製造技術で金属資源をグループで循環利用

エプソンアトミックス株式会社は、金属溶解とアトマイズ粉末製造技術による金属粉末商品事業を展開しています。2020年2月には、エプソンの半導体事業においてIC製造で使用されたシリコンウエハーを金属粉末原料として再利用する取り組みを始めました。これにより、エプソンの廃棄物削減および、バージンシリコンの使用削減による地下資源利用減・CO2削減を実現します。2021年度までに8.5トンのシリコンウエハーをリサイクルしました。今後さらに、他の活用候補材について高機能金属粉末へのアップサイクルを継続的に探索していきます。

粒径10μm以下の超微細粉末

不要な金属を原料として資源化する金属精錬工場を建設開始

エプソンアトミックスは、金属の資源循環を実現する金属粉末製造を確立するために、グループや市中などにおいて不要となった金属を、金属粉末製品の原料として再生する新工場を建設しており、2025年6月の稼働を目指しています。

関連情報

不要な金属を、原材料として資源化する新工場を建設

MIM(金属射出成形)技術