コーポレートガバナンス

当社は、「経営理念・EXCEED YOUR VISION」を礎として当社の価値観・行動様式を定めた「エプソンウェイ」に基づき、社会における存在意義・志を示した「パーパス」を実現し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るため、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を実現するコーポレートガバナンスの充実・強化に継続的に取り組んでいます。
引き続き、監査等委員会設置会社のもと、取締役会の監督機能のさらなる向上、審議の一層の充実および経営の意思決定の迅速化を図り、コーポレートガバナンスの実効性をより一層高めていきます。

コーポレートガバナンス基本方針(PDF,444KB)

内部統制システムの基本方針(PDF,243KB)

コーポレートガバナンスに関する報告書(2023年9月1日発行 PDF,594KB)

基本的な考え方

当社のコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方は、次の通りです。

  • 株主の権利を尊重し、平等性を確保する
  • 株主、お客様、地域社会、ビジネスパートナー、従業員を含むさまざまなステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーと適切に協働する
  • 会社情報を適切に開示し、透明性を確保する
  • 取締役、執行役員および監査等特命役員は、その受託者責任を認識し、求められる役割・責務を果たす
  • 株主との間で建設的な対話を行う

コーポレートガバナンスの体制

当社は機関設計として監査等委員会設置会社を採用し、取締役会、監査等委員会および会計監査人を設置しています。また、役員の指名・報酬などに係る任意の審議会を設置しています。
これは、経営の監督・監視機能の強化を図るとともに、取締役会における審議の一層の充実および経営陣による迅速な意思決定ができる体制を構築することにより、コーポレートガバナンスの実効性をより一層高めることを目的としています。
主な経営会議体およびその設置目的は、以下の通りです。

取締役会

取締役会は、株主からの委託を受け、効率的かつ実効的なコーポレートガバナンスを実現し、それを通じて、当社が社会的使命を果たし持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ることについて責任を負っています。取締役会は、当該責任を果たすため、経営全般に対する監督機能を発揮して経営の公正性・透明性を確保するとともに、経営計画および事業計画の策定ならびに一定金額以上の投資案件をはじめとする重要な業務執行の決定などを通じて、意思決定を行っています。
取締役会は、定款、および取締役会の決議により定めた規則に従い運営しています。取締役会は、社外取締役6名を含む10名の取締役*1で構成し、原則として毎月1回および必要に応じ随時開催しています。なお、取締役会の議長については、非業務執行取締役である取締役会長が務めています。取締役会では、経営の基本方針、重要な業務執行に関わる事項など社内規程に定めた取締役会が決定すべき事項について意思決定を行い、取締役会が決定すべき事項以外の業務の執行およびその決定については、業務執行側へ委任を行い、それらの職務執行状況を監督します。当社は、監査等委員会設置会社のもと、経営判断の迅速化を図り、事業推進における機動性を高めるため、一定金額以下の設備投資の決定などを中心に取締役会から業務執行側への委任範囲を拡大しています。
2022年度は13回、2023年4月から2023年6月の定時株主総会までの期間は3回開催され、パーパスの制定および理念構造の見直し、各事業の執行状況および中期戦略審議状況の報告を受けEpson 25 Renewedの達成に向けた今後の戦略等について審議を行いました。なお、各取締役の出席率は100%となっております。また、社外取締役の構成比率を3分の1以上とすることを原則とする旨をコーポレートガバナンス基本方針に定めています。
*1 2023年6月末時点

監査等委員会

監査等委員会は、株主からの委託を受け、独立した客観的な立場において、取締役の職務の執行を監査・監督し、当社の健全で持続的な成長を確保する責任を負っています。また、監査等委員会は、内部統制システムの有効性を確認し、内部監査部門等および会計監査人と連携して監査を実施しています。そして、外部会計監査人の選任等にあたっては基本方針を定め、一定の基準に基づき外部会計監査人の独立性と監査品質等を評価するとともに、当該方針に基づき会計監査人の選任等に関する株主総会へ提出する議案の内容を決定します。さらに、監査等委員でない取締役の選任・解任・辞任および報酬等に関して検討し、株主総会における意見表明の内容を決定します。
監査等委員会は、監査等委員会の決議により定めた規則に従い運営しており、社外取締役である監査等委員3名を含む監査等委員4名*2で構成し、委員長は常勤の監査等委員が務め、原則として毎月1回および必要に応じて随時開催します。
*2 2023年6月末時点

コンプライアンス委員会

コンプライアンス委員会は、コンプライアンス活動が業務執行ラインにおいて適切に執行されることを監督するために、コンプライアンス活動の重要事項について報告を受け審議し、その結果を取締役会へ報告・意見具申することを機能としています。
コンプライアンス委員会は、取締役会の決議により定めた規則に従い運営しており、取締役会の諮問機関として社外取締役および監査等委員である取締役から構成し、委員長は常勤監査等委員が務め、半期ごとおよび必要に応じて随時開催します。また、会計監査人および内部監査統括部門の長はオブザーバーとして出席しています。
なお、取締役会において、コンプライアンス担当役員(CCO)を選任し、コンプライアンスにおける業務執行全般を監督・監視する体制とし、CCOは、コンプライアンス委員会に対して、コンプライアンスにおける業務執行の状況を定期的に報告します。

取締役選考審議会・取締役報酬審議会

当社は、任意の審議機関として取締役、執行役員および監査等特命役員の選考および報酬に関して、その透明性および客観性を確保することを目的として、社外取締役を委員長とし、委員の過半数を社外取締役で構成する取締役選考審議会および取締役報酬審議会をそれぞれ設置しています。なお、当該審議会は人事部門が事務局を担当しています。また、取締役選考審議会および取締役報酬審議会は、それぞれ取締役会の決議により定めた規則に従い運営しています。
各審議会の概要は、以下の通りです。

〔構成〕
取締役選考審議会および取締役報酬審議会は、いずれの審議会とも、すべての社外取締役全員および代表取締役社長により構成され、委員長は社外取締役の中から互選により選任する運用としています。なお、常勤の監査等委員である取締役はオブザーバーとして出席することが可能となっています。
現在*3の構成員は以下のとおりです。
委員長:社外取締役 白井芳夫
委 員:社外取締役 松永真理、嶋本正、山内雅喜、村越進、大塚美智子、代表取締役社長 小川恭範
*3 2023年6月末時点

〔取締役選考審議会の役割・権限・活動状況〕
取締役選考審議会は、当社の役員(取締役・執行役員・監査等特命役員)候補者の選考および役員の解任について、透明性および客観性が確保されたプロセスを経て公正に審議するほか、代表取締役社長の作成する役員の後継者育成の状況・課題および代表取締役社長の承継プランを評価・監督することを目的に設置されています。
取締役選考審議会は、2022年度に13回、2023年4月から2023年6月の定時株主総会までの期間に4回開催され、代表取締役社長の後継者計画、役員(取締役・執行役員・監査等特命役員)の選考方針および候補者案、社外取締役候補者の検討、執行役員制度の改定、スキルマトリックスの見直し等について審議を行いました。

〔取締役報酬審議会の役割・権限・活動状況〕
取締役報酬審議会は、当社の役員(取締役・執行役員・監査等特命役員)の報酬体系・内規などにかかわる立案と検討、および役員の個別報酬額について、透明性および客観性が確保されたプロセスを経て公正に審査することを目的に設置されています。また、取締役報酬審議会は、取締役会の委任を受けて、監査等委員でない取締役の個別報酬額の決定などを行うこととされています。
取締役報酬審議会は、2022年度に7回、2023年4月から2023年6月の定時株主総会までの期間に3回開催され、基本報酬の個別報酬額、賞与の支給係数および個別報酬額、譲渡制限付株式報酬制度における割当株式数および金銭報酬債権額、会社補償制度、役員等賠償責任保険の更改等について審議を行いました。

〔各委員の出席状況〕
2022年度および2023年4月から2023年6月の定時株主総会までの期間における取締役選考審議会および取締役報酬審議会の各委員の出席率は100%となっています。

経営会議

経営会議は、業務執行側の多様な意見を踏まえた適切な意思決定を行うことを目的とした代表取締役社長の諮問機関です。エプソングループ全体に関わる重要経営テーマおよび取締役会上程事項などに関し、取締役および各事業・本部長等が十分に審議を尽くす場として設置し、おおむね毎週開催しています。なお、経営会議には社外取締役の出席が可能となっていますが、出席できない場合でも、審議資料の提供や審議内容の補足説明を行っています。また、常勤の監査等委員である取締役および監査等特命役員の出席により、業務執行の公正性・透明性を確保するよう努めています。

役員の指名

取締役候補者の指名、代表取締役社長を含む執行役員および監査等特命役員の選任・解任に当たっての方針と手続きは以下の通りです。

方針

  • 当社の役員は、当社が定める役員に求められる役割および選考基準に照らし、見識、責任能力、倫理観を共通要件としたうえで、各々の役割に応じ、2.の選考基準を満たし、企業価値向上に貢献できる者でなければならない。
  • 当社の役員選考基準は、上述の共通要件に加え、下記の要件を満たすこととする。
    • 非業務執行取締役の候補者
      監督能力、経営に関する知見、専門的な知見
    • 業務執行取締役の候補者
      監督能力、先見性・洞察力、ビジョン構想力、決断力・胆力、実行力・結果を産む力、変革・革新志向、求心力
      特に、代表取締役社長においては次を満たす者とする。
      • 社会課題に向き合い、深い洞察力によりビジョンを構築し、それを実現していく胆力
      • 高い倫理観を有し、多様な価値観を謙虚に受容し、社員一人ひとりの自主性を引き出し、全社の力に結集させる求心力
    • 執行役員
      先見性・洞察力、ビジョン構想力、決断力・胆力、実行力・結果を産む力、変革・革新志向、求心力
    • 監査等特命役員
      全社への影響力・指導力、創造力・改革力・経営管理力、集団を統率する能力、経営に関する知見および専門的な知見
  • 当社の社外取締役は、その独立性を担保するため、「社外取締役の独立性判断基準」を満たす者でなければならない。なお、「社外取締役の独立性判断基準」は取締役会が定める。

* 当社の社外取締役は、原則として当社以外に3社を超えて他の上場会社の取締役または監査役を兼任しないこととしています。
* 当社は、取締役の取締役会への出席率を年間75%以上確保する方針としています。


手続き

取締役選考審議会における公正、透明かつ厳格な審査および答申を経た上で、取締役会で決定します。なお、監査等委員である取締役の候補者の指名および監査等特命役員の選任は、監査等委員会の同意を経なければならないとしています。


社外取締役の独立性判断基準

当社は、社外取締役の独立性を客観的に判断するため、以下に掲げる基準を定めています。

  • 以下のいずれにも該当しない場合、当社に対する独立性を有しているものと判断する。

    (1) 当社を主要な取引先とする者(注1)または、その者が会社である場合は最近5年間においてその業務執行者(注2)だった者
    (2) 当社の主要な取引先である者(注3)または、その者が会社である場合は最近5年間においてその業務執行者だった者
    (3) 当社から役員報酬以外に多額の金銭(注4)その他の財産を得ているコンサルタント、公認会計士などの会計専門家、弁護士などの法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合などの団体である場合には、最近3年間において当該団体に所属し、業務執行者に準じる職務を行っていた者)
    (4) 当社の大株主(注5)または、その者が会社である場合は最近5年間においてその業務執行者もしくは監査役だった者
    (5) 当社が現在大株主となっている会社などの業務執行者または監査役である者
    (6) 当社の主要な借入先である者(注6)または、その者が会社である場合は最近5年間においてその業務執行者だった者
    (7) 最近5年間において、当社の法定監査を行う監査法人に所属していた者
    (8) 最近5年間において、当社の主幹事証券会社に所属していた者
    (9) 当社から多額の寄付(注7)を受けている者(当該寄付を受けている者が法人、組合などの団体である場合には、最近3年間において当該団体に所属し、業務執行者に準じる職務を行っていた者)
    (10) 当社との間で、社外役員の相互就任(注8)の関係が生じる会社の出身者
    (11) 上記(1)~(9)に該当する者の配偶者または2親等以内の親族


  • 前項のいずれかに該当する場合であっても、会社法に定める社外取締役の要件を満たし、かつ当該人物の人格、見識、経験などに照らして当社の社外取締役としてふさわしいと考える人材については、その理由を説明および開示したうえで社外取締役として選任することができる。

注1. 「当社を主要な取引先とする者」とは、最近3年間のいずれかの事業年度において、取引先の連結売上高(連結売上収益)の2%以上の支払いを当社から受けた者(主に仕入先)をいう
注2. 「業務執行者」とは、執行役もしくは業務執行取締役または執行役員もしくは部長格以上の上級管理職にある使用人をいう
注3. 「当社の主要な取引先である者」とは、最近3年間のいずれかの事業年度において、当社の連結売上収益の2%以上の支払いを当社に行った者(主に販売先)をいう
注4. 「多額の金銭」とは、その価額の総額が、過去3年間の平均で、個人の場合は年間1,000万円以上、団体の場合は当該団体の総収入の2%以上の額の金銭をいう
注5. 「大株主」とは、総議決権の10%以上の議決権を直接または間接的に保有している者をいう
注6. 「主要な借入先」とは、最近3年間のいずれかの事業年度において、当社の資金調達において必要不可欠であり、代替性がない程度に依存している金融機関その他の大口債権者をいう
注7. 「多額の寄付」とは、その価額の総額が、過去3年間の平均で、年間1,000万円または当該団体の年間総費用の30%のいずれか大きい額を超える寄付をいう
注8. 「社外役員の相互就任」とは、当社の出身者が現任の社外役員を務めている会社から社外役員を迎え入れることをいう


社外取締役の選任理由

氏名 選任理由

松永 真理

同氏は、新規ビジネスモデルの構築等の実績および複数の企業における社外役員としての豊富な経験と高い見識を有しています。当社社外取締役として、オープンイノベーションの促進などの観点から、経営上の課題の指摘や提言など積極的な発言を行うことで、経営を適切に監督いただいています。引き続き、同氏の有する豊富な経験と高い見識を活かし、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、経営の監督を適切に行っていただくことが期待できるものと判断しています。

嶋本 正

同氏は、株式会社野村総合研究所の社長・会長を歴任し、経営トップとして、また、基盤技術や流通・サービス・産業関連システム等に関する豊富な経験と高い知見を有しております。また、情報通信業界という別業種の企業経営に精通した全体経営の観点、DXITシステムの観点からの積極的な意見・提言等を通じて、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、経営の監督を適切に行っていただくことが期待できるものと判断しています。

山内 雅喜

同氏は、ヤマトホールディングス株式会社の社長・会長を歴任し、企業経営における高い見識と豊富な経験を有しております。また、デジタル技術を駆使した満足創造経営の実践や、ヤマトのDNA(価値観)の従業員への浸透・組織風土に関する取り組み等の実績から、企業経営の根幹に係る組織マネジメントやDXIT、サステナビリティの観点からの積極的な意見・提言等を通じて、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、経営の監督を適切に行っていただくことが期待できるものと判断しています。

白井 芳夫

同氏は、トヨタ自動車株式会社、日野自動車株式会社および豊田通商株式会社の取締役を歴任し、経営者としての豊富な経験と高い見識を有していることや、当社における監査等委員である社外取締役としてのこれまでの実績から、引き続き、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた経営の適切な監督および経営の健全性確保に貢献いただくことが期待できるものと判断しています。

村越 進

同氏は、弁護士としての高度な専門的知見を有しています。また、日本弁護士連合会の会長や日本弁護士政治連盟の理事長を歴任するなど法曹界における豊富な経験を有していることから、引き続き、同氏の有する豊富な経験と高い見識を活かし、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた経営の適切な監督および経営の健全性確保に貢献いただくことが期待できるものと判断しています。なお、同氏は、社外役員となること以外の方法で会社の経営に関与した経験はありませんが、上記の理由から、監査等委員である社外取締役としての職務を適切に遂行することができるものと判断しています。

大塚 美智子

同氏は、公認会計士としての高度な専門的知見を有しています。また、上場企業における社外役員としての経験と高い見識を有していることから、引き続き、同氏の有する豊富な経験と高い見識を活かし、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた経営の適切な監督および経営の健全性確保に貢献いただくことが期待できるものと判断しています。なお、同氏は、社外役員となること以外の方法で会社の経営に関与した経験はありませんが、上記の理由から、監査等委員である社外取締役としての職務を適切に遂行することができるものと判断しています。


取締役に対して特に期待する分野

当社は、取締役会の審議が多面的かつ適切に行われるためには、取締役会の多様性を確保することが有用であると考えています。そのため、取締役選任については、性別、人種・民族性、出身国・国籍・文化的背景、年齢などの区別なく、また、個々の知識・経験・能力を踏まえ、多様な人材によりバランスよく取締役会を構成することを基本方針としています。
現在の取締役会はこの方針に基づき構成されており、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて、経営理念、長期ビジョンを実現するための経営体制を明確にしています。
当社が各取締役に対して特に期待する分野・スキルは、次の通りです。

地位 氏名 特に期待する分野・スキル
企業
経営
開発
設計
営業
マーケ
ティング
IT
デジタル
財務
会計
法務
コンプライ
アンス
グローバル
(国際性)
取締役会長 碓井 稔        
代表取締役社長 小川 恭範        
代表取締役
専務執行役員
瀬木 達明        
社外取締役 松永 真理          
社外取締役 嶋本 正        
社外取締役 山内 雅喜        
取締役
常勤監査等委員
川名 政幸          
社外取締役
監査等委員
白井 芳夫        
社外取締役
監査等委員
村越 進          
社外取締役
監査等委員
大塚 美智子          

* 特に期待する分野を3つまで記載しています。
* 2023年6月末時点

役員の報酬

役員の報酬に関する方針、手続きなどは以下の通りです。

方針

〔業務執行を担当する役員の報酬〕
1. 当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るために、業績向上への意欲を高め、そのコミットメントを示せるものであること
2. 社内外から優秀な人材の確保およびリテンションが可能な水準設定であること
3. 在任期間中にもてる経営能力を最大限発揮しうるよう、期間業績に対応した処遇であること
4. 役員報酬と当社株式価値との連動性を明確にし、株主との利益共有意識を強化できるものであること
5. 不正を抑制するための仕組みが組み込まれていること
6. 報酬の決定プロセスは、透明性・客観性・公正性の高いものであること

〔業務執行を担当しない役員の報酬〕
1. 経営全般の監督機能などを適切に発揮できるよう、独立性を担保できる報酬構成であること
2. 社内外から優秀な人材の確保およびリテンションが可能な水準設定であること

手続き

役員の報酬については、取締役報酬審議会における公正、透明かつ厳格な審査および答申を経た上で、監査等委員でない取締役については株主総会および取締役会の決議により決定し、監査等委員である取締役については、株主総会の決議および監査等委員の協議により決定することとしています。なお、監査等委員でない取締役の報酬については、取締役報酬審議会において確認された内容を、監査等委員会において共有・協議し、株主総会で陳述すべき事項の有無を確認することとしております。監査等委員でない取締役の個人別報酬額などについては、取締役報酬審議会に一任しています。

報酬の構成

当社の役員報酬は、固定報酬である「基本報酬」、業績連動報酬などである「賞与」および非金銭報酬などである「株式報酬」から構成されます。なお、業務執行を担当しない役員については、業務執行より独立した立場から、経営全般の監督機能などを果たすという役割に鑑み、「基本報酬」のみを支給しており、「賞与」および「株式報酬」は支給していません。

基本報酬(固定)
役位および業務委嘱・業務委任内容などの役割の大きさ(以下、「役割グレード」)に応じて決定される固定の金銭報酬です。在任期間中、毎月定期的に支給されます。会社の業績、その他の理由により、取締役会において増額または減額措置を講ずることがあります。

業績連動報酬(賞与)
業務執行を担当する役員を対象とし、年1回支給される単年度の業績指標や個人目標の達成度に基づき変動する業績連動の金銭報酬です。短期インセンティブとしての賞与の性質を考慮し、単年度の全社ROEなどを業績指標とし、個人目標の達成度などを加味しています。
賞与の支給額は、役位および役割グレードにより算出される年間総報酬に役位および役割グレードごとの賞与比率(25%~30%)を乗じた金額を賞与基準額とし、その賞与基準額に全社ROEの目標等の指標値に対する達成度に応じた係数(0%~200%)および個人目標の達成度に応じた係数(±40%)を乗じて算出しています。

譲渡制限付株式報酬(非金銭)
譲渡制限付株式報酬は、株主との一層の価値共有を進め、株価上昇および持続的な成長と中長期的な企業価値向上へのインセンティブを従来以上に高めることを目的とした株式報酬です。業務執行を担当する取締役に対して年1回支給されます。
当社は対象取締役に対し、取締役会決議に基づき、譲渡制限付株式に関する報酬などとして年額2億円の範囲内で金銭報酬債権を支給し、各対象取締役は、当該金銭報酬債権の全部を現物出資の方法で給付することにより、譲渡制限付株式の割当てを受けるものとします。上記金銭報酬債権は、対象取締役が、上記の現物出資に同意していることおよび譲渡制限付株式割当契約を締結していることを条件として支給します。なお、対象取締役に対して割当てる譲渡制限付株式の総数20万株を、各事業年度において割当てる譲渡制限付株式の数の上限とします。
譲渡制限付株式割当契約には以下の内容を含むものとします。
(ⅰ)譲渡制限の内容
対象取締役は、譲渡制限付株式の交付日から当社の取締役、執行役員および使用人のいずれの地位からも退任または退職する日までの間、譲渡制限付株式(以下「本割当株式」)につき、第三者に対して譲渡、質権の設定、譲渡担保権の設定、生前贈与、遺贈その他一切の処分行為はできないものとします。
(ⅱ)譲渡制限付株式の無償取得
対象取締役が、期間途中に当社の取締役、執行役員および使用人のいずれの地位からも退任または退職した場合には、当社取締役会が正当と認める理由がある場合を除き、本割当株式を当然に無償で取得するものとします。
(ⅲ)譲渡制限の解除
対象取締役が、譲渡制限期間の開始日以降、最初に到来する当社の定時株主総会の開催日まで継続して、当社の取締役、執行役員または使用人のいずれかの地位にあったことを条件として、割当株式の全部につき、譲渡制限期間の末日の終了をもって譲渡制限を解除するものとします。
(ⅳ)マルス・クローバック条項
当社は、譲渡制限期間中および譲渡制限の解除後において、対象取締役が法令または社内規程などに重要な点で違反したと当社取締役会が認めた場合および重大な不正会計や巨額損失などを含む当社取締役会が定める一定の事由が生じた場合、対象取締役に割当てられた本割当株式または譲渡制限が解除された当社普通株式の全部または一部を無償取得することや、本割当株式または譲渡制限が解除された当社普通株式の相当額を支払わせる条項を定めるものとします。
(ⅴ)組織再編などにおける取り扱い
譲渡制限期間中に、当社の組織再編などに関する事項が当社の株主総会で承認された場合には、当社取締役会決議により、譲渡制限期間の開始日から当該組織再編などの承認の日までの期間を踏まえて合理的に定める数の本割当株式につき、当該組織再編などの効力発生日に先立ち、譲渡制限を解除するものとします。
※当社は、上記の譲渡制限付株式と同様の譲渡制限付株式を、当社の取締役を兼務しない執行役員に対しても、割当てる予定です。

譲渡制限付株式報酬の金額は、株価変動のメリットとリスクを株主の皆様と共有し、株価上昇および持続的な成長と中長期的な企業価値向上へのインセンティブを高めることを目的として、全社ROICおよびサステナビリティ目標などの指標に対する達成度を指標としています。
譲渡制限付株式報酬の支給額は、各取締役の役位および役割グレードにより算出される年間総報酬額に、役位および役割グレードに応じた株式報酬比率(20%~25%)ならびに全社ROICおよびサステナビリティ目標などの指標に対する達成度による係数(いずれも80%~120%)を乗じて得た報酬基礎額を、取締役会が定める1株当たりの譲渡制限付株式の価格で除して対象期間の割当株式数を算出します。
なお、各取締役に対する譲渡制限付株式に関する報酬などとして支給する金銭報酬債権の額は、割当株式数に発行又は処分に係る取締役会決議の日の前営業日における東京証券取引所における当社普通株式の終値を乗じて算出します。

取締役の報酬などの額(2022年度)

役員区分

 

 

報酬等の総額

(百万円)

 

 報酬等の種類別の総額(百万円)

対象となる

役員の員数

(人)

基本報酬 業績連動報酬

譲渡制限付

株式報酬

(非金銭)

固定

(金銭)

賞与

(金銭)

監査等委員でない取締役
(うち社外取締役)
352 
(30)
205 
(30)
110 
(-)
36 
(-)

(2)
監査等委員である取締役
(うち社外取締役)
81 
(48)
81 
(48)

(-)

(-)

(3)
合計 434  287  110  36  10 


* 報酬と株主価値との連動性を高める観点から役員持株会制度を導入しており、任意で基本報酬の一部を当社株式の取得に充てています。なお、取締役会において決定する内規により、自社株式の保有基準を定め、株主の皆様に対して経営への責任姿勢を示すこととしています。
* 上記の支給額には、2023年6月27日開催の定時株主総会において決議された取締役賞与110百万円(代表権を有さない取締役会長、社外取締役および監査等委員である取締役を除く取締役3名に対する支払額)を含めています。
* 上記の譲渡制限付株式報酬には、日本基準により当期に費用計上した金額を記載しています。
* ストックオプションは付与していません。

取締役会の実効性評価

当社の取締役会は、コーポレートガバナンス基本方針に基づき、毎年、取締役会全体の実効性について分析・評価を行っています。

<取締役会実効性評価の年間サイクル(原則)>
評価の実施:2~3月
評価結果分析および課題抽出:4~5月
コーポレートガバナンス報告書による課題の開示:6月
取締役会への中間報告(課題に対する対応について):10月~11月
取締役会への最終報告(課題に対する対応について):翌年2月
コーポレートガバナンス報告書による対応結果の開示:翌年6月

2021年度を対象とした取締役会実効性評価

2021年度を対象とした取締役会実効性評価で掲げた課題への取り組み結果は以下のとおりです。なお、2021年度を対象とした取締役会実効性評価は取締役全員を対象としたアンケートにより行い、その結果、取締役会全体の実効性が確保されていることを確認しています。

(1) 「環境」「DX」「共創」への取り組みに関する進捗・課題について議論する機会を増加させ、「Epson 25 Renewed」の実現を加速させる

「環境」「DX」「共創」に関する進捗・課題を取締役会メンバーにて議論する機会を増加させる等以下のとおり取り組み、「Epson 25 Renewed」への取り組みを深化させました。

      • 「環境」: 脱炭素、資源循環、お客様のもとでの環境負荷削減、環境コミュニケーション強化、環境技術開発等への取り組みについて、事業の成長戦略と整合した環境目標の設定等の観点から議論を重ねました。
      • 「DX」: DX戦略策定・事業連携、デジタル基盤整備・展開、データ活用等への取り組みについて議論し、データ利活用をはじめとしたDX推進上の課題などの方向性を明確化しました。なお、2020年度を対象とした取締役会実効性評価において優先課題としたDX・IT人材の獲得については、リファラル採用、海外ITエンジニア派遣からの正規化等これまでと異なる取り組みを開始しており、引き続き取り組んでまいります。
      • 「共創」: 環境に先進的に取り組んでいるスタートアップ企業のソーシングや戦略に基づくプロアクティブな探索活動、出資先企業へのフォローアップ等について議論し、ソーシング方法の改善、協業検討の加速等の成果が見られました。


(2) 経営陣の後継者計画・トレーニングに関する議論を深化させ、さらなる改善を図る

経営陣の後継者計画、スキルマトリックス、役員トレーニング等について取締役会メンバーにて議論し、各課題への取り組みの方向性・残課題を明確化しました。今後は明確になった残課題への対応など2022年度を対象とした取締役会実効性評価の課題対応とあわせ引き続き対応を進めてまいります。

2022年度を対象とした取締役会実効性評価

2022年度を対象とした取締役会実効性評価は、取締役全員を対象として以下の項目のアンケートを継続実施し、実効性について分析・評価を行いました。なお、昨今のコーポレートガバナンス動向を踏まえ、アンケート項目について一部追加・見直しを行っています。

(1)取締役会の構成
(2)取締役会の機能
(3)取締役の活動(自己評価/自分以外の取締役の評価)
(4)取締役会の運営
(5)任意の委員会の機能・運営 ①取締役選考審議会、②取締役報酬審議会、③コンプライアンス委員会
(6)経営陣のサクセッションプラン・トレーニング
(7)経営陣の報酬
(8)株主との対話
(9)Epson 25 Renewedの進捗
(10)自由記載

上記評価の結果、取締役会全体の実効性が確保されていることを確認しました。そのうえで、取締役会メンバーによるディスカッションを実施し、2021年度取締役会を対象とした実効性評価の結果を踏まえ、今後も実効性を高めていくための課題を以下のように整理しました。

(1)長期戦略に関する議論の充実・実施
(2)Epson 25 Renewedに関する実行力、実行スピードの向上
(3)経営陣の後継者計画の詳細化と、その着実な推進

※第三者機関の評価については、3年に1回程度実施する方針のため、今回は実施していません。
今後、これらの課題に対応していくことにより、一層の実効性向上に努めます。

当社株式の大量取得行為に対する対応

当社は、コーポレートガバナンス基本方針において、以下の通り定めています。

  • 当社の財務および事業の方針の決定を支配することが可能な数の株式を取得する買付提案(以下「大量取得行為」という。)に応じるか否かは、最終的には株主の意思により判断されるものとする。
  • 当社は、当社株式の大量取得行為を行おうとする者に対しては、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上する観点から、当該大量取得行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求めたうえで、当該大量取得行為に対する当社取締役会の意見などを開示することで、株主が当該大量取得行為の是非を検討するために必要な期間および情報の確保に努めるほか、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じる。

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