製品安全

世界同一・高レベルの安全・安心・お客様満足のために

エプソンは、世界中のどの国・地域でも同じ品質を提供できるよう、グループ統一の品質保証規程と製品安全性管理規程を定め、世界同一レベルでの製品品質を実現しています。
特に商品の安全性や環境法規制の適合性については、グループ統一品質規格であるEQS (Epson Quality Standard) を設け、世界各国・地域の安全規格や法規制の要求レベル以上の自主規制を幅広く実施しています。また製品事故の未然防止、再発防止に向けて、あらゆる分野において徹底した安全性の評価を行うなど、自社製品・サービスの安全・安心リスクの最小化を実現するために活動しています。


重点施策(KPI) 実績 目標
2022年度 2023年度 2024年度
重大事故*1発生数 0件 0件 毎年0件維持

*1 重大製品事故:消費生活用製品安全法で第2条第6項で定められたもの。
自社のWebにて「消費生活用製品安全法に基づく事故報告情報」として掲載した事故のうち、リコール社告を行い市場対応を実施した事故に当たる。



製品安全に関する基本方針

エプソンが製造・販売する製品の安全に対するお客様の信頼を確保することが経営上の重要課題であるとの認識のもと、「お客様を大切に」という経営理念に基づき、以下のとおり製品安全に関する基本方針を定め、製品安全の確保に積極的に取り組んでいきます。

製品安全に関する基本方針


製品安全保証活動の推進体制

エプソンはグループ全体での品質保証活動推進体制のもと、製品安全性保証活動の確実な推進及び製品事故発生時の迅速な対応を行っています。
また、各製品・サービスについては、企画/開発/設計段階からグループ統一品質規格であるEQSへの適合及び新規要素へのリスクアセスメント活動を行い、製品作り込み段階での確実な製品安全性の確保につなげています。

品質保証活動の推進体制


迅速な製品事故対応体制

お客様の下で万が一、製品事故が発生した場合は、国内・海外販売会社および各事業の市場対応部門が即座にエプソングループ共通のQCM(Quality Crisis Management)システムを用いて、第一報の連絡を行います。
QCMシステムにより各部門は連絡を受け、事業部/関係会社の品質保証担当部門は原因分析、対策の検討などを迅速に行います。
そして経営トップ、本社部門を含めた関係部門が都度情報共有を行い、自社のWebサイト「重要なお知らせ」等を通じた情報公開や市場対応の実施、また消費生活用製品安全法などの法規制にのっとった外部機関への公的報告・届出を実施します。
エプソンでは、製品事故発生時の対応手順を定めた基準を整備しており、各部門間の緊急連絡網の定期的な見直しを行い、適切かつ速やかに対応できる体制を維持しています。


再発防止・未然防止の徹底による製品安全の確保

製品に搭載する新規調達する電子部品において、特に安全上重要な部品については、信頼性評価、良品解析などを実施し、品質(安全性)、信頼性の観点からの採用判断を行っています。また、通常の実験室では実施することができない発火・発煙・破裂の恐れの伴う試験や火を用いる実験が行える燃焼実験室を設け、事故原因の追究、燃えにくい構造・材料の研究などを実施しています。それらの活動から得られた経験・知識を活かして安全・安心な製品作りのための基準・標準づくりに取り組み、製品事故の未然防止へつなげています。
また、製品安全に関わる知識の習得や意識啓発を目的として、全従業員対象で通年開催しているeラーニング研修や、設計・開発・生産技術・品質保証などに携わる技術系新入社員を対象とした、リスクアセスメント演習を主体とする製品安全教育を毎年実施するなど(2023年度は9回実施)、定期的な教育を実施しています。加えて、機械安全・機能安全に特化した専門研修を通じて、従業員の更なる意識と技術の向上を図っています。

燃焼試験室における燃焼性試験

市場で発生してしまった安全性事故に対しては、これまで蓄積した解析技術を活用し、徹底した原因究明を行うとともに、そこで得られた教訓をエプソン全体の共有財産とすることで、再発防止に努めています。


安全・安心な製品をお届けするための評価環境の整備

エプソンでは、製品の安全性を正確かつ詳細に評価するため、電波、電気安全などの公的規格や関連製品法規制に対応した試験設備を設けています。
また、公的認定試験を社内で実施できるようにISO / IEC*1などにもとづいた認定も取得し、定期的な内外監査等を通じて高精度な測定を継続して実現できるよう維持管理しています。具体的には、国内外に所有する大型電波暗室やシールドルームなどの設備を導入し、EMC試験*2の社内実施を可能にしています。
*1 International Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)の略。電気・電子技術に関する規格を策定する国際的な標準化団体
*2 Electromagnetic Compatibility(電磁環境両立性)試験。製品本体や電源から放射・伝導する電磁波がほかの機器の動作を阻害する妨害波を測定する電磁妨害波試験と、付近にある電気機器などから発生する電磁波による製品自体の誤動作耐性を評価する電磁気耐性試験


製品から発生する化学物質の安全性評価

製品を使用する際、製品から極わずかに発生する化学物質についても、安全性の評価を行っています。評価対象物質は各種環境ラベル(エコマーク(日本)、ブルーエンジェル*1(ドイツ))などで定められている物質だけでなく、厚生労働省の室内濃度指針値*2で示されている物質も含んでいます。
プリンターをはじめ、プロジェクター、パソコンを主な対象とし、十分な安全性を確保するために、グループ統一品質規格であるEQSを厚生労働省の室内濃度指針値より厳しい値に設定し、EQSへの適合を確認することで、安全・安心な製品をお届けしています。
また、自社試験所の試験技術能力の維持・向上を目的に、ISO/IEC17025試験所認定*3を2024年3月に取得し、より信頼性の高い測定を実現できるようになりました。(ASNITE 0138T)
*1 1978年に導入された世界初のエコラベル制度
*2 ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値
*3 ISO/IEC 17011に基づき運営されている試験所認定機関によって分析や測定など特定の種類の試験及び測定器の校正を実施する試験所の技術能力を証明するもので、認定を取得した試験所の能力は国際的に認められる

製品から発生する化学物質の測定


製品の情報セキュリティーに対する取り組み

ITの普及に伴いオフィス向けプリンターだけでなく、家庭向けのインクジェットプリンターやその他の製品においても、無線LANやスマートフォン・タブレットとの連携機能が搭載されるなど、ネットワークの利用が一般的になっています。一方でネットワーク機器におけるソフトウエアの脆弱性*1を悪用した攻撃により機密情報などの漏えいやデータの破壊といったセキュリティー上の脅威が懸念されています。
エプソンでは、このような製品の情報セキュリティーにおける問題の発生を防止するため、品質規格(EQS)を策定し、その品質規格に基づいて、組み込みソフトウエアやプリンタードライバーなどの各種ソフトウエアの脆弱性評価を実施することで安全性を確保しています。
また2012年度から、エプソンのメールプリントに代表されるウェブサービス製品を、新たな対象としてEQSに追加しています。
*1 コンピューターやネットワークなどの情報システムにおいて、第三者がシステムの乗っ取りや機密情報の漏えいなどに利用できるシステム上の欠陥や仕様上の問題点。