働きやすい職場環境
考え方と取り組み
エプソンは、事業の成長と従業員一人ひとりの成長をともに達成し、「持続可能でこころ豊かな社会」を実現するため、多様な人材が、「自由闊達で風通しのよいコミュニケーション環境」により、関係の質を向上させ、チーム力を最大限に発揮し、社員と会社が共に成長し続ける組織風土を作り上げるとともに、社員の多様な働きかたのニーズに対応した、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。
またエプソンは、労働時間の適正化、健康経営、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、パワーハラスメントの防止等にも合わせて取り組み、働きやすい職場環境の実現を目指しています。

組織風土改革への取り組み
エプソンは、「自由闊達で風通しの良いコミュニケーション環境」により、「関係の質」を向上させ、社員と会社が共に成長し続ける組織風土を目指しています。
この目標に対し、組織風土の現状を把握するため、2005年より「自律活性度調査」を、2020年からはこれを「組織風土アセスメント」にリニューアルして毎年実施しています。
調査結果については、社長をはじめとした経営層に報告を行うとともに職場の単位までフィードバックし、各職場で管理職を中心に、組織風土の現状を確認・分析を行い、問題・課題の改善に取り組んでいます。特に「関係の質」向上のための重要な要素でありながら、全体的にスコアの低かった「チームで働く力」の向上については会社全体で取り組みを行い、2020年度のスコア3.62は2021年度下期に3.68と改善し、3.7の目標をほぼ達成しました。あわせて、エプソンは、そのような管理職の取り組みをサポートするため、管理職の気付きや行動変容を促す機会として、全社・事業部各組織での課長対話会を実施すると共に、管理職向け相談窓口とメンターの設置等を行っています。
なお、2022年度からは関係の質向上に加えて、従業員一人ひとりがやりがいと自発性を持ち従来以上にいきいき働ける環境を整備するため、「エンゲージメントサーベイ」に衣替えして実施し、その結果に基づく職場改善を行っていきます。
働きかたの多様化
当社は、2004年に「私たちのめざす働きかた・働く風土」を定め、「すべての従業員が、過重な労働がなく、心身の健康を維持・増進することにより、活性化し、やりがいをもって効率的に仕事をしている」という働きかたの実現を通して、「会社も永続的に発展し、企業価値を向上している」Win-Winの関係を目指してきました。
当社は、さらに2017年より働きかた改革に取り組んでいます。第Ⅰ期(2017~2019年度)は、労働時間の適正化・長時間労働防止に優先的に取り組み、第Ⅱ期(2020~2022年度)は、「働きかたの多様化」への取り組みを進めています。特に、COVID-19対応として在宅勤務の活用を積極的に進めてきましたが、運用を重ねる中で、さまざまな課題も明らかとなってきたため、課題の整理と合わせて、社員へのアンケート調査や労働組合等の意見交換等も踏まえながら、第Ⅲ期(2023年度~)へ向けて、健康でいきいきと働ける環境が創出できるよう、さまざまな施策を展開していきます。
なお、働きかたの多様化が進むことにより、コミュニケーションの取り方、評価・査定や人材育成、健康課題等、人事労務マネジメントや組織運営など、広い範囲での課題が出てきています。健康でいきいきと働ける環境構築の一環として、人事労務諸制度の検討や職場運営を担う管理職へのサポートについても対応を進めていきます。
<働きかたの多様化の施策>
取り組み | 具体的施策 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|
働きかたの 多様化 |
働く場所・時間の柔軟化 | 1. 朝会の柔軟な運用 | ● | |
2. 定時退社日の柔軟な設定 | ● | |||
3. 在宅勤務制度の拡大 | ● | |||
4. 時間単位年休の導入 | ● | |||
5. コアタイム無しフレックスタイムの運用 | ● | |||
育児・介護と仕事両立化 | 6. 男性育休 制度改定 | ● | ||
7. 育児介護短時間勤務の適用期間延長 | ● | |||
治療と仕事の両立支援 | 8. 就業配慮の運用構築 | ● |
働く場所・時間の柔軟化
在宅勤務制度
2018年4月に導入した育児・介護期における在宅勤務制度は、2020年9月より全社員を対象に制度を拡大しました。これにより、働きかたに制約のある育児・介護期の社員に限らず在宅勤務ができるようになり、急な介護が必要になった場合でも、申請により自宅以外の場所で在宅勤務が実施できるなど、柔軟な働きかたが可能になりました。また、子どもの急な看病が必要になった時も、子どもが寝ている時間を使って業務を実施できるなど、従来は休暇の取得が必要となったケースでも、在宅勤務で業務を進めることができます。2022年7月より、実家や配偶者が住む家でも在宅勤務が実施できるように実施場所を拡大し、働く場所の選択肢を増やしています。
また、2022年10月から在宅勤務手当の支給開始等行い、より状況に沿った環境構築を進めます。
時間単位年休の制度化
育児や介護と仕事との両立、また治療と仕事との両立支援等を目的に、柔軟な休暇取得ができる制度として、2022年10月より、時間単位年休制度を導入します。年間5日間を上限に、年次有給休暇を1時間単位で取得できることにより、ワークライフバランスの向上につなげます。
コアタイム無しフレックスタイムの適用
多くの従業員が適用しているフレックスタイム制度の更なる柔軟な運用を目的に、2023年3月より、コアタイム無しのフレックスタイム制度を導入します。コアタイムが無くなることにより、始業・終業時刻の選択幅が広がり、より柔軟な働きかたができるようになります。
育児、介護、治療と仕事の両立支援の拡充
当社では、社員がさまざまな環境変化に適応しながら安心して働き続けられるよう、仕事と生活の両立ができる環境づくりを推進しています。2022年度は、育児・介護短時間勤務の適用期間の延長や、男性育休の100%取得推進への取り組みを進めています。
出産・育児支援
希望するキャリアの実現に向けて、社員が性別に左右されず活躍できる環境創出を目的に、出産・育児の際にも男女の格差無く働くことができるよう、育児支援にも力を入れています。具体的には、休暇、休職、短時間勤務など、育児を大切にしながら仕事と両立する制度を整備しています。こうした環境整備の状況も踏まえ、近年の女性の育児休職取得率は100%となっています。
<育児休職取得者等の推移>
年度 | 育児休職取得者数 | 育児短時間 制度実施者 |
|||
---|---|---|---|---|---|
全体*1 | 女性 | 女性の 取得率*2 |
男性*3 | ||
2021 | 169人 | 38人 | 100% | 131人(76人) | 123人 |
2020 | 109人 | 37人 | 100% | 72人(50人) | 137人 |
2019 | 102人 | 41人 | 100% | 61人(42人) | 147人 |
2018 | 75人 | 35人 | 100% | 40人(33人) | 160人 |
2017 | 64人 | 44人 | 98% | 20人(14人) | 170人 |
*育児休職取得者等のデータは、セイコーエプソン(株)2022年3月20日現在
*1 健やか休暇を含めた人数
*2 育児休職取得者数/制度対象者数
(制度対象者:本人に子供が生まれ、育児休職が取得可能になった者)
*3 ()内は健やか休暇取得者数
社員の介護への対応
高齢化が進み、介護を必要とする方が増加しています。これに伴い、家族の介護を行う社員も増えてきました。介護による離職を無くすことを目的に、当社では、介護者に対して以下のようなサポートをしています。
・介護に関するホームページを立ち上げ、社内制度や介護保険制度など、情報公開を行っています。
・事前に知識をつけておくことで、突然発生する介護に慌てずに対応できるよう介護準備セミナーを実施しています。
・外部の相談窓口と契約し、従業員が安心して介護に関する相談をできるようにしています。
・介護と仕事を両立できるよう、以下のような制度を利用することができます。
<介護制度>
制度 | 概要 |
---|---|
介護休職 | 対象家族一人につき1年6か月取得可能 |
介護短時間 |
利用開始日から3年経過後の3月20日まで取得可能以降も継続して介護が必要な状態であれば、延長を認める (下線は2022年4月1日改定) |
介護のための所定外労働免除 | 所定就業時間を超える労働免除 |
介護のための時間外労働制限 | 1か月24時間、1年150時間を超える時間外を制限 |
介護のための深夜業制限 | 深夜勤務の制限 |
介護のための在宅勤務制度 | 勤務時間毎に定められた限度時間まで在宅での労働が可能 |
介護休暇 | 対象家族が1人であれば5日/年、2人であれば10日/年の介護休暇(無給)取得可能 |
<介護休職取得者等の推移>
年度 | 介護休職 取得者数 |
介護短時間 制度実施者 |
---|---|---|
2021 | 5人 | 6人 |
2020 | 2人 | 4人 |
2019 | 6人 | 4人 |
2018 | 2人 | 5人 |
2017 | 2人 | 2人 |
*介護休職取得者等のデータは、セイコーエプソン(株)2022年3月20日現在
健やか休暇制度
前々年度からの年次有給休暇に残日数がある場合、60日を限度に積み立てることができる休暇で、本人のけがや病気、家族の介護・育児、中学3年生までの子どもの学校行事への参加を目的として取得できる休暇制度です。
(1998年3月21日制定)
労働時間の適正化
当社では、2017年より働きかた改革の一環として労働時間の適正化・長時間労働防止に取り組んでいます。具体的には、労働時間管理に関する運用マニュアルの周知・徹底による遵法対応に加え、入退場管理や在社時間管理による重点管理者のフォロー、また労働時間適正化のための啓発活動など、法令の遵守に留まらない様々な取り組みを行っています。
上記の活動を通じた労働時間適正化の実績と目標値
年間総実労働時間 2022年度目標:1,845時間

有給休暇取得日数 2022年度目標:20日(取得率100%)

賃金管理
エプソンは、各国・地域の労働法規などに基づき、適切な賃金、諸手当、その他臨時に支払われる給与などの諸条件を、賃金規則などで定めています。また、「エプソングループ人権方針」において、雇用、業務、処遇に関し、機会均等と平等を推進し、いかなる差別待遇も行わないことを定めています。
日本国内については、法令に基づき雇用形態に関わらず同一労働同一賃金の原則に基づいた対応を行っています。また、賃金制度において、性別・年齢による格差はありません。
国内の正規従業員のうち一般社員層は、職務および職務遂行能力に応じ処遇を決定する職能資格制度を、リーダー層には能力をベースとして、与えられた職務・果たしている役割のレベルをふまえ処遇する職務職能給制度を、また管理職には、役割の大きさで処遇を決定する役割等級制度を導入しています。なお、一般社員層、リーダー層の賃金については、年に一度、賃金労使委員会を開催し、賃金水準および賃金制度の妥当性を労使で確認しています。
海外においては、国・地域ごとに、最低賃金、法定給付、超過勤務などに関する賃金関連法令を遵守した規則を定め、これに基づき算定・作成された賃金計算期間毎の賃金明細を通知したうえで、定められた所定の日に、従業員に直接賃金を支給しています。
労使関係
当社はユニオンショップ制を採用し、管理職以外の正規社員は、経営に関する業務に携わる一部の社員を除き、全て労働組合に加入しています*1。
労使関係のベースとなる会議体として、経営上の重要事項の労働組合への説明、および労働条件を変更する場合に労働組合との協議の場として労使協議会を設置しており、定期的に、また必要に応じ都度、労使協議を開催しています。さらに、労使協議に加え、より良い職場環境づくりに向け、労使双方で課題解決・議論することを目的として、働きかたや次世代支援、福利厚生、賃金、健康管理などについて労使委員会、安全衛生委員会などを設置しています。
以上に加え、当社では、より多くの社員と情報を直接共有し、会社と社員のコミュニケーションを促進するため、各事業部や本部機能において、経営層と社員との対話会や懇談会にも積極的に取り組んでいます。このような場を通じて経営の考えや思いを社員に伝え、また、社員からの声を直接確認することを実行しています。
*1 全正規社員に対する加入率 86.4%
主な福利厚生制度(国内)
分野 | 制度の内容 |
---|---|
社会保険 | 健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険、労災保険 |
年金 | 企業年金基金、確定拠出年金 |
生活支援 | 通勤費補助、社員食堂・売店、ユニフォーム貸与 |
余暇 | 職場行事補助、同好会 |
自己啓発 | 通信教育・資格取得助成 |
財産形成 | 財形貯蓄、従業員持株会 |
住宅 | 社宅・独身アパート貸与 |
健康・医療 | 健康管理室、企業内理療(マッサージ) |
育児・介護 | 育児・介護に関わる休暇・休職・短時間勤務、在宅ケアサービス |
その他 | 慶弔見舞金、永年勤続表彰、団体保険 など |