人材戦略

人材戦略の考え方

基本的な人材戦略として、社員の自律性と環境変化への対応力を高めるとともに、社員の意欲やエンゲージメントを向上させ、価値を生み出す人材の活躍推進と、失敗を恐れず前向きに挑戦し続ける組織カルチャーを醸成します。それにより、人材の価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値向上に資することを目指して、人的資本経営と健康経営を軸とした人材戦略を展開しています。
2035年までの目標として「ENGINEERED FUTURE 2035」を実現するための組織・人材戦略として、将来的に単一的な事業部形態からビジネスモデルに応じたグローバルなバリエーション型組織群への転換を想定しています。これらの組織群を率い、不確実性の高い環境下でも構想・実行できるリーダー人材の育成・確保とあわせて、技術を起点に、現場主義に基づき考え、磨き上げ、現実の社会に役に立つ形で進化した技術を実装していくエンジニアリング人材の養成・エンジニアリングマインドの醸成を、グローバルレベルで進めることが要諦となります。
これまでもエプソンは、多様な人材の確保と、内部人材のキャリア形成・人材育成を進めつつ、これらの人材の成長領域への重点配置と、グローバルな視点での最適なフォーメーションの構築に力を入れてきました。また、多様な人材を活かす組織カルチャーや働く環境づくり、共通の価値観浸透、健康経営などを通じ、社員のエンゲージメントを高め、組織の活性化と総合力の最大化にも取り組んできました。
これらの取り組みをベースとしつつ、Phase 1においては、下記の5点を中心に推進していきます。

 ①グローバル組織・人材基盤の活用高度化
 ②各ビジネスをけん引するリーダーシップの涵養
 ③内部コア人材育成の仕組み・場づくり
 ④新規組織能力の鍵となる外部人材の確保と定着
 ⑤各種人事制度の改定、データプラットフォーム整備


■長期ビジョンに基づく人材戦略の骨子

求める人材像

経営戦略の実現および事業遂行に向け、エプソンは事業の方向性や価値観の共有をベースとしながら、広い視野と専門性を備え、変化の激しい事業環境においても主体的・自律的に行動し、お客さまおよび社会に対する価値創出に取り組むことができる人材を重視しています。
加えて「ENGINEERED FUTURE 2035」に掲げる「省・小・精」の技術と思想を基盤に、テクノロジーとエンジニアリングによって社会や産業の変革を支えるという方向性を踏まえ、技術を起点に現場主義に基づいて考え、磨き上げた技術を社会に役立つ形で実装するとともに、地域や事業、機能の枠を超えて連携し、全体最適の観点から、各ビジネスの成長や変革において構想から実行までを担い、現場でやり切ることのできる人材を必要としています。
エプソンは、前人事中期戦略において、スキルおよび行動特性を軸に人材要件を定義し、経営戦略と連動した人材の「見える化」を目的として、人材ポートフォリオの構築を進めてきました。
これを基盤に、事業戦略の策定・遂行および新たなビジネスモデル展開に必要な人材の量・質・タイミングの全体像を整理し、量的・質的両面から人材ギャップをより明確に把握したうえで、グローバルな視点で、内部人材の育成、リスキリング、リソースシフト、外部人材の採用、後継計画等の施策を展開し、グループ全体で中長期戦略の実現に資する最適人員構造の構築を目指しています。
また、人材ポートフォリオを活用して上司とメンバーがコミュニケーションをとることで、メンバー自身の自律的な学びと成長につながる環境形成を目指します。

■人材ポートフォリオの取り組み

人材戦略の推進

エプソンは、以下の人材戦略の取り組みを進め、「ENGINEERED FUTURE 2035」を実現するためのグローバルな人材・組織基盤を構築し、戦略実行力の一層の強化を図ります。事業戦略と連動した最適配置と機動的な人材活用を推進するとともに、内部人材育成の高度化、外部専門人材の確保・定着、評価・処遇制度および人材データ基盤の整備を一体的に進め、環境変化に対応した持続的な価値創出の実現を目指します。

① グローバル組織・人材基盤の活用高度化
エプソンでは、これまでもお客さまに価値ある製品をお届けするため、グローバルに展開しているバリューチェーン全体を効果的・効率的に運営する観点から、世界中に分散している様々な機能について幅広い知識と経験を持ち、全体最適の観点から各機能間の調整を行い、現場で的確・迅速な意思決定ができるグローバル人材の育成に取り組んできました。
「ENGINEERED FUTURE 2035」においては、グループ全体を俯瞰した戦略的な人材活用の重要性が一段と高まっています。これを受け、グローバル視点で人材を活用できる基盤の整備を進めていきます。具体的には、事業間・地域間をまたいだ連携やクロスソリューションの推進に向けて、テーマ単位で人材をアサインし、責任と役割を明確にするとともに処遇にも紐づける仕組みの構築に取り組んでいきます。このグローバルアサインメント制度のトライアル導入を通じて、グループ横断での人材活用を段階的に拡大していくことで、グローバルで期待される役割に応じた人材配置と処遇の整合を図り、事業戦略の実行力向上につなげていく考えです。

② 各ビジネスをけん引するリーダーシップの涵養
エプソンでは年1回、各組織において要員状況を俯瞰するとともに、管理職等の重要ポジションの後継計画を策定しています。また、将来の経営層・管理職層、グローバル人材の候補者をリストアップし、育成計画を策定しています。
一方で、これらは組織単位での人材管理が中心となっており、経営層による全社横断での俯瞰的な人材把握や戦略的な活用を一層進める余地があると認識しています。こうした認識を踏まえ、特にミドルマネジメント層以上を対象に、トップマネジメントを中心として、人材活用に関する主要論点を全社的かつ継続的に議論する体制を構築しています。これにより、組織課題や事業戦略と連動したローテーション、登用、配置、組織見直しといった施策を、より一貫性のある形で検討・実行していくことを目指しています。
あわせて、事業部長や本部長などの重要ポジションについては、サクセッションの観点から計画的な人材育成と配置につなげていきます。そのために、候補者へのチャレンジングなアサインメントや経営視点での経験機会を通じた育成を進めるとともに、既存のリーダー育成プログラムについても見直しを行い、より実践的な内容へと高度化していく方針です。

③ 内部コア人材育成の仕組み・場づくり
エプソンでは、OJTを中心とした業務を通じた育成に加え、階層別教育や専門教育といった体系的なOFF-JTを組み合わせた人材育成を行っています。こうした取り組みを継続しつつ、「ENGINEERED FUTURE 2035」達成に向けて、人材戦力化の在り方についても検討を進め、必要な人材を継続的に育成・戦力化できる基盤の整備を図っていきます。これまでもエプソンは、多様な人材の確保と、内部人材のキャリア形成・人材育成を進めてきましたが、今後は、必要な教育を必要な人材に恒常的に提供する仕組みの拡充を進めていきます。あわせて、エンジニアリング人材の専門性強化と活躍領域の拡大を図り、部門や地域を超えて機動的に価値を発揮できる人材配置につなげていきます。これにより、エンジニアを中心とした専門人材が、グローバルで知を共有しながら、価値創出につなげる力を高めることを目指しています。これらの取り組みを通じて、専門性とエンジニアリングマインドを基盤とした変化対応力の高い内部人材基盤を強化していきます。

④ 新規組織能力の鍵となる外部人材の確保と定着
エプソンでは、事業の高度化・専門化が進む中で、マネジメント人材に加え、高度な専門性を有するプロフェッショナル人材を外部から適切に確保し、定着させていくことが重要な経営課題となっています。
特に、新規事業や成長領域の拡大においては、既存の組織や人材だけでは補いきれない知見や経験を、外部人材の活用によって機動的に取り込むことが競争力強化につながると認識しています。
このため、エプソンでは、従来の新卒一括採用を中心とした枠組みに加え、事業ニーズに応じて高度な専門性を有する外部人材をタイムリーに獲得できる採用の在り方についても戦略的な観点から検討を進めています。あわせて、採用後に速やかに価値を発揮できるよう、オンボーディングの充実を図り、専門人材が組織や事業に円滑に適応できる環境整備に取り組んでいます。

⑤ 各種人事制度の改定、データプラットフォーム整備
エプソンは、専門人材の獲得・定着に加え、社員一人ひとりの専門性発揮を促すためには、市場環境や個々の貢献度を適切に反映できる評価・処遇の仕組みが不可欠であると考えています。これらを踏まえ、専門性や担う役割の価値を明確化し、成果へのコミットを促す評価・処遇体系への転換を進めています。これにより、エンジニアリング人材としての価値発揮を処遇に反映しやすくするとともに、専門人材の獲得・定着力の強化につなげていきます。
また、中長期的な成長実現と経営戦略の実行力強化に向け、人的資本データの活用を重要な基盤と位置付けています。グループ内には、構造化・非構造化を含む多様な人材関連データが存在しており、これらを統合的に活用するために、人材情報を統合データベース化し、社内基盤として活用する取り組みを進めています。
これらの人材データ基盤の高度化と人材ポートフォリオ構築を通じて、人的資本マネジメントの再現性と実効性を高め、変化する事業環境においても持続的な企業価値創出を図っていく考えです。

人材マネジメント

強化領域への重点配置

エプソンでは、事業運営の基盤として、将来の要員構造の推移の予測と、事業戦略を実現するための要員ニーズに基づいて要員計画を策定しています。
Epson25 Renew期間中は、成長領域であるプリンティング(オフィス、商業・産業)や、新領域である環境ビジネス・環境技術などへの採用人材の重点配置に加え、内部人材に対する専門教育や転換教育等を通じて、強化領域へのリソースシフトを推進してきました。 今後は、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向けて、事業戦略と人材戦略の連動をさらに強化していきます。事業ポートフォリオの変革や新たな価値創造を支えるために必要な組織能力・人材を定義し、社内育成と外部獲得の両面から人材を確保するとともに、人材データの活用による最適配置やリスキリングを進めることで、持続的な価値創造を支える人的資本基盤の強化に取り組んでいきます。2021-2025年度の5年間で、新卒・中途採用および社内公募による全要員配置人数2,830人のうち、1,992人を強化領域に配置しています。

■強化領域への要員配置

  2021-2024年度累計 2025年度計画 2025年度実績
全要員配置人数 2,430 351 400
内、強化領域への配置人数 1,693 253 299

* 採用および社内公募による配置人数

人材の配置と役職への任用

人材の配置と役職への任用は、「役割」の概念を基礎として行っています。事業戦略を遂行するための組織をグローバルに設計し、その中で各ポジションの役割を定義し、その役割に対し、最適な人材を配置・任用することが基本的な考え方です。
そのための仕組みとして、年1回、各組織において、各階層ごとに「人材レビュー」を行い、要員状況を俯瞰するとともに、各ポジションに対する後継候補人材のリストアップとその能力開発ニーズの検討等を行っています。
海外においても、現地のトップマネジメント・人事部門と連携して役割や要件定義を行い、後継計画・育成計画を策定しています。このような活動を基盤として、グローバル視点での最適なフォーメーションの構築に取り組んでいます。