生物多様性の保全
私たちは、生物多様性との関わりの中でさまざまな恩恵を受けるとともに影響も与えています。エプソンは健全な生物多様性を保つことが事業活動や社員の生活を維持する上で重要だと考えています。

考え方
基本的には「事業を通して生物多様性の保全を行う」「生物多様性に対する社員の意識を高める」、この二つがエプソンの考え方です。
私たちは生物多様性に影響を与える五つの要因に対し、気候変動対策、資源循環・省資源、汚染防止・化学物質管理の「環境負荷低減活動」により、それら影響要因の低減を着実に進めていきます。
影響要因 | エプソンとの関係性 | 活動テーマ | 主な取り組み |
---|---|---|---|
気候変動 | 温室効果ガスの排出 | 気候変動対策 | 商品の省エネ設計 生産・輸送対策 |
土地利用 | 地下資源採掘に伴う土地改変 | 資源循環 省資源 |
商品の省資源・リサイクル 投入資源削減 排出物再資源化 |
外来種 | 原材料や部品などの輸送に伴う移入 | ||
過剰消費 | 森林資源の消費 | ||
汚染 | 管理不徹底による環境中への化学物質放出 | 汚染防止・化学物質管理 | 製品含有・製造時使用の削減 |
関連リンク
野生生物の保護
アカウミガメの産卵・ふ化支援(スペイン)
Epson Iberica, S.A.U.(EIB)は2020年7月にスペインの北東部にあるラ・ピネーダビーチ (La Pineda beach)で行われた自然保護団体GEPEC-EdCが主催するアカウミガメの保護活動を支援しました。この活動では絶滅危惧種*1であるアカウミガメが上陸して産卵しやすいよう砂浜の環境整備や、ふ化過程での卵の保護を中心に実施しました。
アカウミガメは海洋汚染や誤捕獲などにより成体数が減少しています。また、世界各地の産卵場の砂減少に加え、周辺の人工化による喧騒や光害などがアカウミガメの産卵・上陸行動やふ化後の子ガメの行動に影響し、幼体数の減少も懸念されています。EIBは4言語の啓発バナーの作成・展示にも協力し、これを現地の人々や観光客への啓発・教育活動に活用することで、アカウミガメの種の維持と回復に貢献しています。
*1 IUCN レッドリストVulnerable (VU)に登録されています(version 3.1)。
エプソンのサイネージプリンターでプリントし掲示
野生生物の保護活動を実施(台湾)

台湾北部の有名な茶葉栽培地である坪林地区は、翡翠ダムの水源保護区にあり、この渓谷には台湾固有の鳥である台湾藍鵲(ヤマムスメ)が生息しています。近年、茶葉の大量生産に伴い使用される化学農薬によって土地や水が汚染され、野生動物が生存できなくなりました。絶滅寸前*2の台湾藍鵲を守るため、一部の坪林の茶農家はここ数年有機栽培に力を入れています。しかし、有機栽培は農薬が一切使えない上、全て手作業で摘み取る必要があり、生産量も半分近くに減りました。現在、坪林で有機栽培を行う茶園はわずか10%です。

Epson Taiwan Technology & Trading Ltd.(ETT)は、2017年から2019年まで、いくつかの大手企業と共に翡翠流域の野生生物を保護する活動にスポンサー企業として参加し、ETT社員とその家族が年に2~3回、合計約100人が茶娘衣装に身を包みお茶摘み作業をしました。有機栽培の茶畑にはあちこちで蝶や昆虫たちが見られ、途中で数羽の台湾藍鵲を見つけると、参加者は皆大興奮でした。
ETTはこれからも、社員の環境意識の向上を図りながら、このような生物多様性の保全活動を支援していきます。
*2 IUCN レッドリストLeast Concern(version 3.1)に登録されています。
保護地域における活動(英国)
Epson Telford Ltd.は、欧州市場向けのインクカートリッジや、捺染用インクを製造する重要な生産拠点であり、エプソングループで初めてISO14001の認証を取得し、廃棄物の再資源化活動や省エネルギー活動など、環境保全活動に積極的に取り組んでいます。55エーカー(約22万平方メートル、東京ドーム約4.7個分)の広大な工場敷地内には、多くのウサギが生息するなど、自然の生態系が残されています。

敷地内には保護対象生物の生息地が存在するため、産業活動による環境への影響を極小化することのみならず、生息環境を保護するために、次のような活動を継続しています。
- 敷地の約1/3を自然保護管理エリアに設定
- 英国で希少種に指定されているクシイモリやワレモコウ*1の生育地を保護する特別エリアを設定
- 社用車の排出ガス量に見合った植樹活動
- 地域の生物多様性を改善し、蜂の種を保護するため、敷地内に蜂の巣箱を設置
そのほかにも、敷地内には以下の動物が生息しています。
- 猛禽類:ノスリ、チョウゲンボウ、フクロウ
- 鳥類:ヤマウズラ、ジョウビタキ、キアオジ、ヨーロッパアオゲラ
- その他:キツネ など
*1 ともに国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(Least Concern: LC)にも登録されています。
自然環境の保全
サンゴの移植活動(インドネシア)
PT. Epson Batam(PEB)は、生物多様性の保全に向けて、2015年からアバン島でのサンゴの移植活動を継続して支援しています。この活動には、インドネシアの漁業・観光・行政やNGOなどの関係者が参加しており、毎年約500本のサンゴを、少しずつ範囲を広げて植え、サンゴ礁(コーラルガーデン)を作っています。アバン島の住民からは、「この活動は、魚が住む環境を改善することができて、魚の個体数が増えていくでしょう」との期待の言葉をいただきました。
2020年8月、コロナ禍により活動に制限がありましたが、社員自ら海に潜り、珊瑚の成長を確認しました。
緑化・美化活動(世界各地)
エプソンは、社員一人ひとりが一市民として地域社会活動に自主的かつ積極的に参加する風土を醸成するために、世界各地で緑化・美化活動を行っています。
Epson Wuxi Co., Ltd.(中国)は2010年から毎年3月に地域の植林活動に社員とその家族で参加しています。2021年は20名が参加し、長江下流の本流に近い江陰市蟠龍山公園で植林を行い、長江流域の生態保全と回復に貢献しています。
* COVID-19流行への対応として2020年は未実施

Epson Portland Inc.(米国)の社員は、1992年から年に数回、事業所のすぐ北側に位置する「高速道路26」の清掃活動を実施しています。

PT. Epson Batam(インドネシア)は、2019年3月、National Waste Care Activityに参加しました。この活動は、バタム島環境省などの行政機関の呼びかけに応じ実施され、Tanjung Uma海岸で13人の社員が参加して、プラスチックや有機性の廃棄物を回収し、リサイクル団体に引き渡しました。

森林の保全
違法な森林伐採による環境破壊の抑制に加え、持続可能な「紙」による豊かなコミュニケーションを目指し、森林の保全に取り組んでいます。
独自の紙再生技術で限りある資源を有効活用
紙の原料である木材は、森林から得られる資源です。新たな紙をその場で再生産できる乾式オフィス製紙機 PaperLab A-8000で作る紙の原料は100%オフィス古紙であり、新たな木材を一切使用しません。
エプソンは、A-8000を積極的に活用し、自社で使用した紙の再利用を進めています。会社のカレンダーや社員の名刺にA-8000で作った再生紙を使い、2018年度以降の研修や業務における資料でも使用しています。その他業務で使うノート、メモ帳でも活用しており、今後用途を拡大する予定です。紙の再生産作業は、特例子会社エプソンミズベ(株)の社員が担っており、職域の拡大により障がいのある社員が活躍しています。
また、ドライファイバーテクノロジーを搭載した装置により、古紙から再生した部品を生産し、プリンターの吸収材や、A-8000の吸音材にも使用しています。
(メンテナンスボックス)
PaperLab A-8000
エプソングループ紙製品の調達方針
エプソンは、森林の社会的、経済的、環境的な持続可能性に配慮し、エプソンの調達する主要な木材製品である紙製品について調達の方針を定めています。