水資源管理

水は気候変動をはじめとした他の環境側面と密接に関連しています。エプソンは、多くの水資源に依存しており、水資源の持続可能性が事業継続において極めて重要であると認識し、全社・各拠点において水管理活動を進めています。



水資源(パフォーマンス)

生産での取り組み

エプソンは水の使用効率に関するグループ目標を策定し、節水設備の導入や工場用水のリサイクル率向上を通じて、水使用量の削減を図っています。さらに、各拠点の取水状況を上水道/地下水ごとに集計し、生産工程で使用する水に加え、全従業員が安全な飲料水と衛生的な水環境にアクセスできることも重視しています。一部の拠点では、節水型トイレの導入などの設備改善や、従業員への節水や汚染防止に関する啓発活動を進めています。
また、生産拠点全体の水使用量の87%を占める25の生産拠点で水管理計画を策定し、水使用量の削減や水リサイクル率の向上など、各拠点の目標を設定して水資源の適正管理を推進しています。

2023年度総括

グループ目標値:0.73千m³/億円(年間売上収益あたりの取水量を基準値より1%削減)
実績:0.62千m³/億円(対基準値15%削減)
基準値:0.74千m³/億円(2017-2022年度平均)

水リスクへの対応

水リスク評価のグローバルスタンダードのうち、世界資源研究所(WRI)のAqueduct(アキダクト)および世界自然保護基金(WWF)のWater Risk Filterを用いて、全ての生産拠点に対して水リスクの評価を行いました。その結果、物理的な水資源量や水質汚染リスクなどの観点を考慮した両評価ツールの総合的なリスク指標において、最も高いリスクレベルに該当する拠点はありませんでした。しかし、日本、中国、東南アジアおよび南米にある9つの生産拠点が、水ストレス下にある地域に所在している結果を得ました。
これら9拠点はグループ全体の生産拠点数の27%を占めており、約4,200千m³の水を使用しています(2023年度)。9拠点については、現地の実態を把握するため、アンケート・ヒアリングを通じて水リスクに関する地域の状況を確認しました。さらに、これら生産拠点に水を供給している現地機関へもヒアリング調査を実施しました。この結果、対象拠点において水不足による操業への影響は限定的であることが確認されました。

水ストレスエリアの取水量割合(地域別)と水ストレスマップ(2023年度)

* Aqueduct Global Maps 2.1のBaseline Water Stressマップに、エプソンの取水総量に対する地域ごとの水ストレス地域にある拠点の取水量割合を表示しています。
 円のサイズは、地域ごとの取水量割合のイメージです。
* この地図は、www.wri.orgで提供されるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で、セイコーエプソン(株)が世界資源研究所のAqueduct Global Maps 2.1を使用して作成したものです。


このことから、スクリーニングツールにおいて、水ストレス下にあると判定された拠点においても、取水量の削減は重大な課題とはなっていません。ただし水は重要な資源であり、適切に使用しなければなりません。こうした認識の下、水資源に関する見識が深い世界自然保護基金(WWF)ジャパン様とのコミュニケーションから得られた知見を考慮し、以下のように水使用効率を重視した中期的な目標を設定しました。今後はこの中期目標の実現に向け、自社における継続的なモニタリングおよび水使用削減活動とともに、水関連規制を遵守し、環境保護団体や地域のステークホルダーと連携した各流域の持続可能な水利用のための施策検討を進めていきます。また、サプライチェーン全体の水リスクを把握・評価するため、2023年度はエプソンの一部サプライヤーが所在する流域における水リスクの分析に向けて着手しました。

【中期目標】

グループ目標:水使用効率向上(売上収益あたりの取水量を基準値より1%削減)
期間:2023から2025年度
年間目標値:0.73千m³/億円 
基準値:0.74千m³/億円 (2017-2022年度平均)

1.5℃シナリオにおける水関連リスクの評価と対応

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)が提示する気温上昇1.5℃に相当するシナリオと、社内外の情報に基づいて水関連リスクを分析した結果、洪水や海面上昇による事業拠点の被災や渇水による将来的な操業リスクの変化は限定的であることを確認しました。事業拠点やサプライチェーンに関する短期気候変動リスクについては、BCP(事業継続計画)で対応していきます。

関連情報

TCFD提言への対応

環境リスクマネジメント(水関連を含むリスク低減の取り組み)

グローバル主要環境データ