生物多様性の保全

私たちは、生物多様性との関わりの中でさまざまな恩恵を受けるとともに影響も与えています。エプソンは健全な生物多様性を保つことが事業活動や社員の生活を維持する上で重要だと考えています。



考え方

エプソンの事業活動や社員の生活は、生物多様性の恵み(生態系サービス)に支えられています〔依存〕。また、私たちの活動は自然に対して直接的・間接的に影響を与えています〔影響〕。
世界的な生物多様性の損失は、私たちの事業活動や生活に大きな支障を与える恐れがあります。生物多様性の損失を食い止めるため、私たちは自然への負の影響を抑えなければなりません。一方、生物多様性の保全に対する重要性が高まるなか、当社の技術はその課題解決に貢献できると考えています。これは、エプソンにとっての事業機会でもあります。



私たちの事業活動が生物多様性に影響を与える5つの要因に対し、気候変動対策、資源循環・省資源、汚染防止・化学物質管理の「環境負荷低減活動」により、それら影響要因の低減を着実に進めていきます。エプソンは自社・サプライチェーンと自然の関係(依存・影響)および生物多様性関連のリスクと機会についての分析・対応を進めます。

影響要因 エプソンとの関係性 活動テーマ 主な取り組み
気候変動 温室効果ガスの排出 気候変動対策 商品の省エネ設計
生産・輸送対策
土地利用 地下資源採掘に伴う土地改変 資源循環
省資源
商品の省資源・リサイクル
投入資源削減
排出物再資源化
外来種 原材料や部品などの輸送に伴う移入
過剰消費 森林資源の消費
汚染 管理不徹底による環境中への化学物質放出 汚染防止・化学物質管理 製品含有・製造時使用の削減


関連リンク

環境ビジョン2050

TNFD提言に沿った情報開示

エプソンは、自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:以下 TNFD)が2023年9月に公表した情報開示提言への賛同を表明し、「TNFD Adopter」に登録しました(2024年6月)。今後は、TNFDフレームワークに沿って計画の策定を進め、2025年以降情報を開示するとともに、その内容を順次更新していく予定です。

事例

森林保全活動(世界各地)

エプソンは世界的な環境保全団体である世界自然保護基金(WWF)と3年間のインターナショナル・コーポレート・パートナーシップを締約し、「森林破壊の最前線」の現場でWWFが実施する森林保全や自然回復のための活動を支援しています。WWFの「人と自然が調和して生きられる持続可能な未来の実現を目指す」という考えに賛同し、エプソンは環境保全団体が実施する保全活動への支援を通じて、森林における生物多様性の保全と回復に貢献しています。

本パートナーシップでエプソンが支援するWWFの森林保全プロジェクト


2024年5月、当社代表取締役社長の小川がインドネシア スマトラ島のプロジェクトを視察し、以下WWFが現地での活動内容を確認しました。

  • 森林・野生生物モニタリング、パトロール
  • 地域コミュニティーと協働する持続可能な農業の推進と森林再生(アグロフォレストリー)
  • 地域コミュニティーの支援(農業・教育・医療など)

トラップカメラなど、野生動物の調査や観察のための機器の設置

自然回復とアグロフォレストリー型の農業を実践するための育苗を視察


セイコーエプソン×WWF インターナショナル・コーポレート・パートナーシップ特設ページはこちら

「紙」への配慮

紙の原料である木材は、森林から得られる資源です。エプソンは森林保全の観点でも紙の調達や使用に配慮しています。

■ エプソングループ紙製品の調達方針
エプソンは、森林の社会的、経済的、環境的な持続可能性に配慮し、エプソンの調達する主要な木材製品である紙製品について調達の方針を定めています。

紙製品の調達へのご協力のお願い


■ 自社における紙削減活動
セイコーエプソンは社内において業務用紙の削減活動に取り組んでいます。紙を使用する業務の見直しを行い、2021年度上期には全社平均で1人1日当たりの紙の使用量を前年同期比で半減するという目標を達成しました。

■ 古紙の有効活用
新たな紙をその場で再生産できる乾式オフィス製紙機 PaperLabで作る紙の原料は100%オフィス古紙であり、新たな木材を一切使用しません。エプソンは、PaperLabを積極的に活用し、自社で使用した紙の再利用を進めています。また、独自のドライファイバーテクノロジーを搭載した装置を用いて、古紙を原料とするプリンターのインク吸収材やPaperLabの吸音材といった部品の製造も行っています。

PaperLabによる環境貢献

ドライファイバーテクノロジーの詳細はこちらをご確認ください

サンゴの移植活動(インドネシア)

PT. Epson Batam(PEB)は、生物多様性の保全に向けて、2015年からアバン島でのサンゴの移植活動を継続して支援しています。この活動には、インドネシアの漁業・観光・行政やNGOなどの関係者が参加しており、毎年約500本のサンゴを、少しずつ範囲を広げて植え、サンゴ礁(コーラルガーデン)を作っています。アバン島の住民からは、「この活動は、魚が住む環境を改善することができて、魚の個体数が増えていくでしょう」との期待の言葉をいただきました。

緑化・美化活動(世界各地)

エプソンは、社員一人ひとりが一市民として地域社会活動に自主的かつ積極的に参加する風土を醸成するために、世界各地で緑化・美化活動を行っています。

Epson Wuxi Co., Ltd.(中国)は2010年から毎年3月に地域の植林活動に社員とその家族で参加しています。2024年は30名が参加し、植林活動を通じて拠点が位置する太湖流域の生態保全と回復に貢献しています。

太湖流域の植林活動

Epson Portland Inc.(米国)の社員は、1992年から年に数回、事業所のすぐ北側に位置する「高速道路26」の清掃活動を実施しています。

高速道路での清掃活動

敷地内の生態系保護活動(英国)

Epson Telford Ltd.は、欧州市場向けのインクカートリッジや、捺染用インクを製造する重要な生産拠点であり、エプソングループで初めてISO14001の認証を取得し、廃棄物の再資源化活動や省エネルギー活動など、環境保全活動に積極的に取り組んでいます。55エーカー(約22万平方メートル、東京ドーム約4.7個分)の広大な工場敷地内には、多くのウサギが生息するなど、自然の生態系が残されています。

敷地内には保護対象生物の生息地が存在するため、産業活動による環境への影響を極小化することのみならず、生息環境を保護するために、次のような活動を継続しています。

  • 敷地の約1/3を自然保護管理エリアに設定
    • 英国で希少種に指定されているクシイモリやワレモコウ*1の生育地を保護する特別エリアを設定
    • 社用車の排出ガス量に見合った植樹活動
    • 地域の生物多様性を改善し、蜂の種を保護するため、敷地内に蜂の巣箱を設置


そのほかにも、敷地内には以下の動物が生息しています。

  • 猛禽類:ノスリ、チョウゲンボウ、フクロウ
  • 鳥類:ヤマウズラ、ジョウビタキ、キアオジ、ヨーロッパアオゲラ
  • その他:キツネ など

*1 ともに国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(Least Concern: LC)にも登録されています。

敷地内に設置された蜂の巣箱

特別エリアにある池


IUCNの詳細情報はこちらをご確認ください(英語)