コンプライアンス
エプソンは、世界各国・地域の法令、社内規程、企業倫理の遵守、および社会からの要請に応えるため、さまざまなコンプライアンス活動に取り組んでいます。「エプソンウェイ(経営理念、企業行動原則、エプソングローバル社員行動規範)」は、エプソングループ全体で共有される価値観と行動様式を示しており、コンプライアンスの基本を形成しています。また、「エプソンウェイ」に基づきグループ全体の業務が適正に行われるよう内部統制システムの基本方針を定めており、グループ全体の整備レベルが着実に向上するよう努めています。
体制
コンプライアンス委員会は、取締役会の諮問機関として社外取締役全員および常勤監査等委員である取締役で構成しています。委員長は常勤監査等委員が務め、コンプライアンス活動の重要事項について審議し、取締役会に報告・提案することで業務執行を監督・監視しています。コンプライアンス担当役員(CCO:Chief Compliance Officer)は、コンプライアンスにおける業務執行全般を監督・監視し、コンプライアンス委員会にその状況を定期的に報告します。
コンプライアンスの推進・徹底は、社長指揮のもと、コンプライアンス統括部門が、各事業および子会社と協働で、グローバルに推進します。この統括部門は、コンプライアンス推進全般をモニタリングし、必要に応じて、是正・調整を行い、コンプライアンス活動の網羅性と実効性を高めるよう努めています。
通報制度・通報窓口
エプソンは、把握が難しいコンプライアンス問題を早期に把握するため、役員・従業員および派遣社員からの情報を入手する手段として、通報窓口を設置し、その中から懸念される事案について報告が上がる仕組みを整えています。企業行動原則とエプソングループ通報制度規程に、通報情報の厳格な管理と通報者への不利益な取り扱いや報復行為等の禁止、匿名性の確保などの通報制度の守るべき基本を定め、当社および米州・欧州・中国・東南アジア含む全てのグループ会社はこれに基づいて通報窓口を設置しています。
また、通報窓口について、エプソングローバル社員行動規範で定めるとともに、イントラネットでの開示、コンプライアンス月間(毎年10月)やe-ラーニング研修などを通じ、役員・従業員および派遣社員への周知と窓口利用を促しています。
さらに、サプライヤーなどの外部のビジネスパートナーからの通報を受け付ける「取引先通報窓口」を、当社および世界各地にある全てのグループ会社が設けているほか、2025年4月に全ての利害関係者からの通報を受け付ける「グローバルステークホルダーズホットライン」を開設しました。
社外からの通報を受ける窓口でも、エプソン社内の通報窓口同様に、通報情報の厳格な管理と通報者への不利益な取り扱いや報復行為等の禁止、匿名性を確保し、運用しています。
取引先通報窓口は、サプライヤーガイドラインやサプライヤー説明会などにおいて紹介するとともに、利用を促しています。
グループ全体の通報状況は、通報者が特定されない形で、定期的に取締役会、監査等委員会、コンプライアンス委員会および経営戦略会議に報告しています。
取引先通報制度の詳細はこちら
グローバルステークホルダーズ(GSH)ホットラインはこちら
人権関連の相談・通報については、以下のように対応しています。
- 役員・従業員および派遣社員:エプソン・ヘルプライン、ダイバーシティに関する相談窓口等の通報窓口・相談窓口で受付
- サプライヤーやその他の外部のビジネスパートナー:「取引先通報窓口」で受付
- 全てのステークホルダー:一般社団法人 ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)が提供する対話救済プラットフォームによる受付
JaCERへの相談通報の詳細はこちら
研究不正行為の相談通報の詳細はこちら
国内における対応体制
国内グループ会社の役員・従業員および派遣社員を対象とし、社内に連絡する内部通報窓口、第三者機関である外部会社に連絡する外部通報窓口、外部の弁護士に連絡する外部弁護士通報窓口の3つの通報先を持つ「エプソン・ヘルプライン」を設置しています。エプソン・ヘルプラインの利用方法は、「エプソン・ヘルプライン利用の手引き」としてイントラネットに明示するとともに、研修などの機会を通じて役員・従業員および派遣社員に周知しています。また、電子メールや電話などの連絡方法を設けており、24時間、365日での通報を可能としています。寄せられた通報案件については、調査を実施し、必要な場合は是正措置を行います。
当社は、2006年の公益通報者保護法施行以前から、従業員および派遣社員からの通報窓口を開設しており、通報制度の整備を率先して実施してきています。2022年6月に施行された改正公益通報者保護法に対応し、公益通報業務従事者の指定や退職後1年以内の従業員および派遣社員からの通報に対応して参りました。外部コンサルタントの評価等によって最新の社会情勢や規制動向をとらえ、積極的に仕組みの整備・改善を実施し、運用しています。
国内通報窓口の2024年度の受付件数は144件で、前年度から1件増加しました。通報の内容としては、社内ルールへの違反や不正、違法行為の可能性の指摘などがあり、これらについては適切に対応しています。役員・従業員および派遣社員に対しては、「エプソン・ヘルプライン」とは別に具体的な事案別相談窓口を設けることで、相談しやすい環境整備・運用に努めています。
事案別相談窓口一覧
| ハラスメント相談窓口 | 管理職よろず相談窓口 | 長時間労働相談窓口 |
| キャリア相談窓口 | ダイバーシティーに関する相談窓口 | 女性の健康に関する相談窓口 |
| 従業員相談室 | 腐敗(賄賂)規制&競争法に関する相談窓口 | インサイダー取引相談窓口 |
海外における対応体制
米州・欧州・中国・東南アジア含む全ての海外グループ会社においては、役員・従業員および派遣社員が通報できる通報窓口を設置しています。各通報窓口では、各国・地域の法規制に準拠し、通報情報の厳格な管理と通報者への不利益行為の禁止しており、匿名での通報も行えるように対応しています。
さらに、海外グループ会社の経営層のコンプライアンス問題について、当社が直接受け付ける仕組み「Epson Executive Compliance Hotline(グローバル通報窓口)」を導入し、グループ全体の通報制度の網羅性・実効性向上を図っています。
腐敗防止
エプソンは、企業行動原則「5.実効あるガバナンスとコンプライアンス」において、贈収賄、カルテル、インサイダー、利益相反などの不正取引を排除し、公正・透明・自由な競争ならびに適正な取引を実践することを定めています。いかなる形態の腐敗行為も組織の健全性や社会からの信頼を損なう重大なリスクと捉え、UN Global Compact、RBA行動規範などに準拠し、ISO37001などの国際的フレームワークを踏まえた腐敗防止に取り組んでいます。
コンプライアンス統括部門が全体を統括し、関係部門は、接待、寄付、スポンサーシップ、代理店管理、採用などの各領域において腐敗防止策を実施しています。また、毎年グループ全体の腐敗リスクを特定・評価し、その結果に基づいて適切な統制措置を講じるとともに、その有効性をコンプライアンス担当役員(CCO)へ報告する体制を構築しています。
ビジネスパートナーへの対応
企業行動原則「7.ビジネスパートナーとの共存共栄」において、サプライヤー、販売チャンネル、協業先など全てのビジネスパートナーに、高い水準の倫理行動を求め、責任あるバリューチェーンの構築に取り組みます。ビジネスパートナーに対して、人権、労働環境、環境、遵法、倫理、情報セキュリティーおよび品質に関して、エプソンと同じ基本姿勢を求め、必要に応じて取り組みの改善をサポートしています。また、「ビジネスパートナー向け贈収賄・腐敗行為防止・競争法(独占禁止法)遵守ガイドライン」、「エプソングループサプライヤーガイドライン」を周知し、贈収賄、カルテル、インサイダー、利益相反などの不正取引を排除し、公正・透明・自由な競争ならびに適正な取引等の姿勢に基づく対応を強く求めています。
販売先
販売代理店・サービスパートナーに対しては、ガイドラインの周知に加え、可能な限り取引契約書へのコンプライアンス条項の記載をお願いするとともに、取引先のコンプライアンスの遵守状況を確認するように進めています。
調達先
サプライヤーに対しては、「エプソングループサプライヤーガイドライン」で、エプソンは接待などに依存しないビジネススタイルを基本としていることを定めています。全ての取引先にRBA行動規範を含むサプライヤーガイドラインの遵守を要請し、契約における同意もしくは同意書面の提出をお願いしています。また、エプソンの役員および従業員による違反する行為または違反するおそれのある行為について、速やかにエプソンに通報・相談することを求めています。
主要取引先については、毎年、CSR詳細評価(「エプソンサプライヤー行動規範」(RBA行動規範)の遵守状況の自己評価)において、贈賄を含む不正行為*1、競争法*2に対応した確認を行っています。確認の基準はRBAの行動規範および監査基準とし、確認項目は、方針・ルールの制定、違反事例の発生有無、違反事例に対する対応状況等です。評価の結果、対応が不十分な場合には、是正計画の策定および是正完了の確認を行っています。
また、新規取引先についても、取引開始時の評価において、贈賄や競争法に対応した管理体制を確認しています。
*1 RBA行動規範のD1:ビジネスインテグリティ(すべてのビジネス上のやり取りにおいて、最高水準のインテグリティを維持する。あらゆる種類の贈収賄、腐敗行為、恐喝、および横領を禁止するゼロトラレンス方針を有する。)およびⅮ2:不適切な利益の排除(賄賂またはその他の不当もしくは不適切な利益を得るための手段を、約束、申し出、許可、提供、または受領しない。これら禁止事項には、取引を獲得または維持する、何者かに取引を差し向ける、あるいはその他不適切な利益を得るために、直接的または第三者を通して間接的に価値あるものを約束、申し出、許可、提供または受領することを含む。腐敗防止法令の遵守を確保するために、モニタリング、記録管理、および実施手段を整備する。)
*2 RBA行動規範のD5:公正なビジネス、広告、および競争
接待贈答
法令や社会倫理に反した贈り物や接待を禁止しています。
接待・贈答を実施する場合は、事前申請を前提とし、実施の可否を決定します。
コンプライアンス教育
エプソンでは、コンプライアンスを安心して業務を進めるための基本として位置づけ、社員一人ひとりが適切に判断し行動できるよう、「エプソングローバル社員行動規範」を14言語で共有し、グループ従業員が共通の基準をもって行動できる環境を整えています。また、役員および従業員(派遣社員を含む)に対しては、eラーニングや社内外講師による階層別研修など、多様な教育プログラムを継続的に実施し、コンプライアンス意識の向上に取り組んでいます。
エプソンでは毎年10月を「コンプライアンス月間」と定め、グループ統一の取り組みとして、企業活動の基盤となるエプソンウェイを役員および従業員に再確認し、高い倫理観を持って行動へとつなげる取り組みを進めています。活動内容としては、コンプライアンス担当役員および各事業体・子会社の責任者からのメッセージ発信、コンプライアンス教育、コンプライアンス意識調査などを実施しています。これらの取り組みを通じて、コンプライアンス意識の向上と業務の堅確な定着を図るとともに、意識調査の結果を各部門および国内外の子会社ごとに評価・分析し、組織改善に活かしています。
グローバルコンプライアンス活動
言葉や文化、風習、慣習、発想の仕方など、地域によって異なる環境下で、グループ各社が協力し合ってコンプライアンス活動を円滑に推進するため、CCOの下に地域を統括するR-CCO (Regional Compliance Officer)を配置し、各地域のコンプライアンス活動をリードする仕組みを設けています。各地域には、地理的な近さや、言語・法規制・文化などの類似性があり、地域ごとの共通するコンプライアンスの課題に対して傘下の各社担当者が連携しやすくすることで、コンプライアンスの深化を図っています。
各ブロックは独自にエリア会議を運営しているほか、CCOと各R-CCOが参加するR-CCO会議を半期に一度開催し、浸透方法の水平展開や意識向上に資する事例の共有等を通してグループ全体での連携を図っています。
このように各地域での自律性を促進するとともに、本社コンプライアンス統括部門は各組織・子会社に対してアセスメントを行い、年次目標の設定、運用評価、改善活動の伴走を行うことで、リスクを最小化しています。
貿易管理
エプソンは、世界各国・地域に生産拠点・販売拠点を設け、グロ-バルに事業を展開しており、お客様・サプライヤーは全世界に広がっています。お客様にエプソンの商品やサ-ビスをタイミングよくお届けするために、貿易を円滑に行うことが不可欠です。
一方で、国際情勢変化の中で、平和と安全を維持するために、さまざまな貿易管理の国際条約や枠組み、または各国の法令に基づく規制があり、国際社会の一員としてこれらを遵守することが求められています。
エプソンでは、グループ全体での貿易管理体制を整え、確実な貿易遵法管理のための仕組みを構築しています。 この結果、安全保障やセキュリティー管理など特に厳密な管理が求められる分野において、各国の関係当局が設けた制度やプログラムにかなう企業として、北米・南米・欧州・中国・アジアなど、エプソングループ各社が拠点を持つ世界各地で多くの認証を受けています。
これにより、輸出入手続きの簡略化やコスト削減など、グループ全体の効率的でスピーディなサプライチェーンに貢献しています。
税務コンプライアンス
エプソンは、グローバルに事業展開するなかで、世界各国・各地域において税務法令とその精神を遵守して適正な納税を行い、企業としての社会的責任を果たすことを、税務基本方針としています。この税務基本方針に従い、税務コンプライアンスを維持向上していくために、次の取り組みを行っています。
1.税務ガバナンス
- 取締役会が税務リスクの監督責任を有しており、当社の最高財務責任者を税務のグループ総括責任者としています。その統括のもとで税務担当部門が、税務に関する報告・管理を行う体制としています。
- 当社では、税務リスクを重要なリスクの一つと位置付けており、当社役員により構成される経営戦略会議および取締役会へ定期的に報告しています。
- 当社では、適切な納税義務を履行するため、税務に関する規程および業務処理基準を制定し、社員への教育・指導を行うとともに、定期的に社内税務監査を実施しトップマネジメントおよび監査等委員会へ報告しています。
2.税務モニタリング
- 各国・地域の税制改正および課税の動向について、当社税務担当部門と各国・地域の子会社との間で随時報告を行うことにより、適時・適切に対応しています。
- 各国・地域での税務課題へのアドバイス・税務サポートは、税理士法人などの外部専門家のサポートを受けて対応しています。
3.タックスプランニングと租税回避行為
- 各国・地域における優遇税制については、通常の事業活動のなかで利用可能なものは効果的に活用し、適正な税負担となるように努めています。
- 税法の趣旨から逸脱して、軽課税国・地域への利益移転行為をすることはせず、租税回避を意図した税務対策を行うことはしません。
4.不確実性への対応
- グローバルな報告義務の強化、各国・地域の税務調査の高度化と執行強化の動きを背景にして、税務リスクの不確実性の高まりが予想されます。潜在的で重要な税務リスクとなり得る事象を把握し、税務リスク管理をしています。
5.移転価格税制
- 各国・地域での移転価格課税リスクに対して、当社では各国・地域の税法およびOECD(経済協力開発機構)ガイドラインを遵守し、適正な移転価格取引とするために、エプソングループとしての移転価格ガイドラインを制定しています。この移転価格ガイドラインにのっとり、独立企業間価格取引となるように各国・地域の子会社の利益率レンジ管理をしています。
- リスクの高い国の子会社との取引については、APA(事前確認制度)を活用しています。
6.タックスヘイブン(租税回避地)対策税制
- エプソンは、通常の事業活動を遂行する目的で子会社の設立国・地域を決定しますので、租税回避目的でタックスヘイブンの国・地域に子会社を設立することはありません。タックスヘイブン対策税制の適用対象となる場合には適正な申告および納税をしています。
7.税務当局との関係
- 税務当局とは真摯な対応に努めており、良好な税務コーポレートガバナンスの維持向上に取り組んでいます。