技術で果たす社会的責任

プリンター(インクジェット)技術

気候変動や資源枯渇を筆頭とした環境問題への対応は急務です。エプソンは、マイクロピエゾプリントヘッドをコアデバイスとして、インク、制御システム、画像処理、精密加工や生産技術などの基盤技術を磨き、幅広いアプリケーションに展開できるインクジェットプラットフォームを創り上げています。これにより、生産性向上と環境負荷低減の両立を目指します。

例えば、エプソンの大容量インクを搭載したモデルは、印刷プロセスに熱を使わないため、レーザープリンターと比べて消費電力量が格段に少なくなっています。外部評価機関による性能比較では、他社カラーレーザー複合機に比べ、LM-C5000は年間の消費電力量を平均で約80%削減できるとの結果が出ています。*1

また、大容量インクタンクやパックの搭載により、消耗品や包装材の資源消費量も低減できます。高速ラインインクジェット複合機は、連続高速印刷や大量印刷を実現し、業務・生産効率の向上と環境負荷低減を両立しています。

商業・産業領域では、消費者ニーズの多様化に対応する多品種少量生産が拡大し、環境への配慮が求められています。エプソンのインクジェット技術は、アナログ印刷からデジタル印刷への転換を牽引します。デジタル印刷は需要変動に柔軟に応えることが可能なため、売れ残りや廃棄ロスの削減、刷版の洗浄に必要な水や廃棄インク液の削減、仕掛品の保管スペースの削減につながります。

さらに、エプソンのマイクロピエゾプリントヘッドは、熱を使わずにピエゾ素子の機械的な動きによって微小なインク滴を吐出するため、印刷用インクだけでなく、バイオ材料や金属インクなどにも適応します。自社のプリンターに搭載するだけでなく、外販ビジネスを通じてパートナーに提供したり、協業・オープンイノベーションを行ったりすることで、エプソンのインクジェット技術の利用範囲を広げています。

加えて、コアデバイスを生かすソリューションやオプションの開発と提供にも力を入れています。例えば、正確に色合わせを行う作業は、経験や勘に依存するケースが多く、お客さま先でも色合わせの難しさが課題となっていました。そこでエプソンは、スポットカラーも含めた色を測り、数値化する測色器を市場に投入しました。さらに、測色器で測った色のデータをEpson Cloud Solution PORTを経由してAdobe® Illustrator®で活用できるようにすることで、印刷現場やデザインデータのある場所にいなくとも色合わせができる、遠隔での高精度かつ効率的なカラーマネジメントを可能にしました。このように、エプソンはコアデバイスを生かしたオプションやソリューションを自社で作り上げ、インクジェットプラットフォームをさらに磨き上げ続けています。

エプソンは、これらの技術とソリューションを通じて、環境保全と生産性向上を両立させ、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。

*1 年間消費電力量のグラフは、エプソンの委託によるKeypoint Intelligence社のテストデータです。LM-C5000は欧州仕向け機種にて、2023年5月試験実施。比較対象は、カラーレーザー複合機41~50枚/分クラスの上位トップ5ベンダーからエプソンにて選定。各機器のデフォルト設定で、Keypoint Intelligence社の標準的なエネルギー消費試験方法を用いてテストを行い、平日の印刷作業量は2×4時間+スリープ・スタンバイモード16時間、週末のエネルギー使用はスリープ・スタンバイモード48時間に基づいて算出。各4時間の印刷時間には、合計69ページのテストパターン(DOC、XLS、PPT、HTML、PDFおよびOutlookメール)を6回印刷しました。

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プロジェクター技術

教室の後方にいる生徒からも、内容がはっきりと見える。エプソンは「教育の現場」を、大画面で映し出すプロジェクターの価値を発揮できる領域の一つと捉え、商品・サービスの提供に注力してきました。また、埃や砂じんが多い地域に向けて、2006年、世界初*1となる防じんプロジェクターを開発しました。そして、ICTによる学びの充実、教育の質の向上を目指して、電子黒板機能を搭載したプロジェクターや、よりお求めやすい価格のプロジェクターを提供し続け、教育現場でも高い評価を得ています。

リアルとリモートを組み合わせた公平・自然で快適なコミュニケーション環境の提供においては、例えば4K相当の高画質と超短焦点レンズを組み合わせたプロジェクターを用いてリモート先の人々をリアルの場所に高精細な映像で等身大に近いサイズで投写し、あたかも同じ空間に居るような自然で臨場感のある映像空間が実現できます。

このように、エプソンはICTによる学びの向上や海外での学習環境改善、オフィス等での快適なコミュニケーションに貢献し、社会的責任を果たします。

*1 2006年当時

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ロボット技術

エプソンは、「省・小・精の技術」に加え、画像処理技術やセンシング技術など、多様な事業で培った技術を持っています。さらに、自社の生産現場で培った自動化ノウハウを組み合わせ、高速・高精度、小型・軽量、省電力、使い勝手の良いロボットを提供しています。

生産現場の自動化は、ロボットの導入だけでなく、製造ノウハウを基にした工程の設計・構築も必要です。ロボットは正確な作業が得意ですが、柔らかいケーブルをつかんだり、ばらつきのあるコネクターにケーブルを差し込む作業は不得意です。エプソンは、画像処理技術を用いて位置の検出を行い、微小な力を感じられる独自開発の力覚センサーをロボットに組み合わせることで、これらの課題を解決しました。

このような自動化を容易に実現できるソリューションを提供することで、人が行っていた作業のロボットへの置き換えに貢献します。自動化・省人化の価値をさらに進化させることにより、多様な産業の発展を実現します。

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ウエアラブル技術

ウオッチ市場では、多様な価値観、趣味、趣向に応える嗜好品の需要が拡大しています。エプソンは、「省・小・精の技術」と匠の技能で、魅力ある上質な商品を提供し、お客様の多様なライフスタイルを彩ります。

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デバイス技術

エプソンは、ウオッチから始まった水晶の「精」と半導体の「省」の二つのコア技術を融合し、さまざまな社会課題の解決に貢献しています。

IoT端末などの省電力と小型化が要求されるシステム向けに、リアルタイムクロックモジュールの低消費電力化と高精度化を進め、電池駆動時間を保ちながら電池の小型化を実現。お客様の環境に配慮した製品づくりに貢献しています。

また、エプソンは高速・大容量通信インフラやIoT社会、モビリティ社会に対応するマイクロデバイスを提供し、社会の基盤を支えています。例えば、橋やダム、河川水門などの微細な振動の変化をセンサーで検知し、老朽化などによる異常の発見をサポートしています。限られた人員で広範囲の社会インフラの保守点検が可能になり、危険な場所での作業を減らします。

さらに、エプソンの慣性計測ユニット(IMU)は、輸送トラックやドローン、倉庫内搬送ロボットなどの安定した自動運転を支え、物流の効率化により物流業界の人手不足解消に貢献しています。

このように、エプソンは技術力を生かし、省電力化による環境保全、安心して暮らせる未来の実現、スマート化社会への貢献を通じて、社会的責任を果たしていきます。

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