お客様の期待を超える価値を創出する人材を育成する
ものづくり塾は、エプソンが創出する「お客様価値」をこれまで以上に高めるために、基本的な技術・技能の継承に加え、ものづくりの具体的な仕事のステップを実践により体感することで、幅広く多面的に業務を遂行できるような人材の育成にも取り組んでいます。具体的には、製品を構成するさまざまなパーツを自らの技術で作り上げるための部品加工技術(成形・プレス)の基礎や、製造ラインの高効率化を目指すために必要な技術(省人化・自動化など)を体得させる教育を行っています。
また、地域・社会貢献として地域企業の新入社員実践研修、中学生・高校生の企業体験、技能体験授業の指導や厚生労働省からの要請を受けた海外の技能評価システム構築のODA(政府開発援助)への専門家派遣も行っています。
「省人化ラインの構築・維持・向上」に向けたメカトロニクス研修の展開
従来、製造現場では、装置化・治具化などによる生産性改善活動を進めてきていますが、近年、急激な賃金上昇や製造離れによる労働力確保が困難になるといった環境変化が起きています。安価で豊富な労働力に頼るものづくりを前提とした従来のような改善の繰り返しでは、生き残れなくなってしまいます。そこで、できるだけ人手に頼らずに、安定的に生産ができる製造ラインの構築を実現するための取り組みを強く推し進めています。
ものづくり塾では、生産ラインを支える技術者育成の各種研修を年間約100回開催しています。装置作りに必要な機械製図・計測を始め、機械加工技能を習得する研修を行っています。また、省人化、自動化を推進する技術者を養成するための圧空・電気制御や装置組立・調整の基本など要素技術を学ぶ「メカトロニクス基礎研修」や、さらに実践的な技術・技能を習得するための「FAロボット研修」「画像処理研修」「メカトロニクス実践研修」といったカリキュラムを用意し、社員の学ぶ場と機会を提供しています。
国内の工機技術者、保全技術者の育成はもちろんのこと、主要製造拠点である海外現地法人に出向き、国内研修プログラムを基に海外現地法人の製造・工機保全のリーダークラスの育成を展開しています。
技能五輪を活用した未来の技能者育成
ものづくり企業であるエプソンは、製造に必要な知識・技能を早期に身につけた「尖った技能者※1」を育成するため、技能五輪訓練を活用しています。技能五輪に訓練生が挑戦できるのは1回を基本とし、短期集中訓練で全国レベルの技能習得を目指すものです。出場種目は、実業務に応用可能な「精密機器組立て」「抜き型」「メカトロニクス」「電子機器組立て」「ウェブデザイン」「時計修理」の6職種を選択し、毎年10~15人が全国大会へ出場しています。
技能五輪訓練生としてものづくり塾に配属された新入社員は、やすりがけ・鋸刃切断などで「ものづくり」の基本を体感するとともに、各職種別に機械・電気などの基礎知識を学びます。訓練は日常実施される職種別訓練と合わせ、マラソン・目標設定などを行う強化訓練を年3回行い、チームとして連帯感の醸成を図っています。
また、全国大会を想定し、技能五輪に参加する他企業との合同訓練会の実施や「機械加工技能士」「電子機器組立て技能士」「ウェブデザイン技能士」「時計修理技能士」などの国家資格取得も盛んに行っています。技能五輪訓練終了後、五輪訓練で培った基礎技能から商品づくりのための技能にシフトすべく応用訓練を実施し、事業部へ配転されます。受け入れ先からは、期待を超える活躍に高い評価を得ています。
※1 前例を突き破り革新的な技術やシステムを生み出す能力を持った技能者