防塵(ぼうじん)対策技術

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プロジェクター 機械

性能低下やメンテナンス負荷の
増大を招く埃から
プロジェクターを守る

エプソンのプロジェクターは、さまざまなシーンや環境で活躍しています。しかし、埃(ほこり)がプロジェクターの製品内部に入り込み、光学デバイスなどへ付着すれば、投写映像の明るさや画質低下などにつながり、故障の原因にもなります。また、スモークなどで演出される環境下で頻繁に使用する場合には、メンテナンス頻度も上がりコストが増加するほか、製品の劣化も早まります。このようなプロジェクター使用時における、徹底的な防塵(ぼうじん)対策について解説します。

活用シーン

プロジェクターは、精密かつ精巧に組み立てられた光学デバイスで構成される光学製品です。また、光源や光学デバイスからは、プロジェクター動作時には大量の熱が発生し、各デバイスの信頼性を確保するためには冷却が必要となります。そのために、外部空気の取り込みと内部空気の排気による排熱を行います (放熱対策についてはこちらをご参照ください) 。イベントなどでの使用においては、この空気の取り込みによって埃や微粒子が製品内部に流入し、光源や光学デバイスに付着することで明るさの低下や画質の劣化が生じます。

特に埃の多い環境でプロジェクターを使用する際は、高画質な映像を維持し、楽しんでいただくために、定期的なメンテナンスや清掃が必須となります。そして、ユーザーにとってはその頻度による手間やコストが問題となります。

こうしたプロジェクターの埃問題について、エプソンが長年取り組んできた防塵対策の事例を紹介します。

ユーザー使用環境の
徹底調査に基づいた、
独自の評価環境と厳しい指標

防塵プロジェクター
光学ユニットにスモークの影響を及ぼさない構造設計

エプソンは、ユーザーの使用環境や埃の性質を把握するため、実際に世界中の現場に赴いて調査を行い、埃の種類や量を徹底的にリサーチしました。その結果、用途や環境により想定される埃の種類やその量は大きく異なることが分かりました。

これらの調査結果に基づき、プロジェクターの用途や使用時間、使用環境を再現した独自の評価環境と指標を構築し、社内試験を行っています。その際、開発する製品用途に応じた埃の種類を使い性能評価を行うことで、信頼性の高い性能検証を実現しています。特殊用途向けの製品では、イベント用スモークを使用した性能検証も実施しています。

プロジェクター開発においては、埃を想定した試験を必ず実施し、防塵性能の向上につなげています。現在も、ますます多様化するユーザーの使用環境について、詳細な調査を継続し、防塵対策のノウハウを蓄積し、ユーザーの利便性向上という、お客様価値の創造に向けた活動に取り組んでいます。

静電フィルターで製品内部をクリーンに

高性能静電フィルター

外部空気を取り込むことによって製品内部への埃や微粒子が流入し、光源や光学デバイスへの付着してしまうことが、プロジェクターの投写映像の明るさ低下や画質劣化といった問題へとつながります。

その対策として、空気の取り込み口に高性能な静電フィルターを採用し、埃や微粒子を吸気部で遮断することで、製品内部にクリーンな空気を取り込めるようにしています。

さらに、フィルターから製品内部に取り込む空気の流入量と、外部への排気量をコントロールすることで、フィルター以外の隙間からの埃や微粒子の流入を抑制し、徹底的に製品内をクリーンに保つエアフロー設計を行っています。空気の流入量やその経路まで考慮し、防塵設計に取り組んでいるのです。

冷却と埃遮断
スモーク使用時には、煙油により静電気力が低下するため、240時間ごとにフィルターを交換することを推奨しています。

埃の遮断と冷却構造の両立

シールドしている光学部品

埃を多く発生する環境や演出用スモークなどの特殊用途を想定した製品では、対策として光学デバイスや光源ユニットを密閉されたブロック内に配置することで、物理的に埃を遮断しています。

密閉したブロック内の光学デバイスは、使用時に大きな発熱を伴うことから、ブロック内部に熱がこもるため、各デバイスの性能や信頼性を確保することが課題となります。HTPS(高温ポリシリコンTFT液晶)パネル、蛍光体といったコアとなる光学デバイスの耐熱性向上と、独自の効率的な冷却方式の採用によってその課題を克服しています。 光学デバイスの効果的な冷却構造は、長年、コアとなる光学デバイスであるHTPSパネルの自社内製に取り組んでいるエプソン独自の技術となります。

密閉するための封止クッションの選定や貼り方まで、1つ1つ検証を行い決定するなど、防塵対策のために細部までこだわり抜いて設計を行っています。

これらの防塵対策によって、埃の多い環境でも高画質で美しい映像を長期間楽しんでいただける製品を提供するとともに、メンテナンスや清掃の頻度も大幅に削減し、ユーザーやサービスパーソンにかかるコストや手間を軽減できるなど、お客様価値の創造にもつながっています。

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