Multi Size Dot Technology (MSDT)
1つのノズルから吐出するインク滴の量をコントロールする
Multi Size Dot Technology (MSDT)
エプソンのマイクロピエゾ プリントヘッドは、ピエゾ素子を駆動する電圧を精密にコントロールすることで、1つのノズルから大小さまざまなインク滴を吐出するMulti Size Dot Technology(MSDT)を備えています。これにより、粒状感を抑えた滑らかなグラデーションや繊細な明るさなどの美しい画像表現と、高速印刷の両立を実現しています。
高速化と高画質を
同時に実現する難しさ
インクジェットプリントでは、大きく2つの方式で膨大な数のインク滴を吐出して印刷しています。1つが、プリントヘッドを用紙などのメディア上で左右に高速で往復移動させ、少しずつ紙を送って印刷する方式(シリアルヘッド方式)。もう1つが、プリントヘッドが用紙幅と同等の長さを持ち、ヘッドは固定したまま紙送り機構のみで全体を印刷する方式です(ラインヘッド方式)。
どちらの方式でも、より微小なインク滴を吐出することで高画質な印刷を行うことができます。しかし、インク滴が微小になると、シリアル方式では塗りつぶしなどの部分を印刷するためにプリントヘッドを何度も往復させなければならず、高速化は困難になります。また、ライン方式では使用するインク滴のサイズに合わせた、それぞれのノズルを用意する必要があり、プリントヘッドのサイズが大きくなってしまいます。
インク滴のサイズを変える
エプソンは、この問題を解決するために吐出するインク滴の量をコントロールする方法を考えました。1つのノズルから大小さまざまなインク滴を吐出することで、グラデーションをきれいに表現するとともに、高速化も同時に実現できます。
MSDTによる高速、高画質印刷の実現
マイクロピエゾプリントヘッドでは、電圧を加えることで収縮するピエゾ素子の機械的な動きによってインク滴を吐出します。エプソンは、ピエゾ素子への印加電圧を高度に制御することで、吐出するインク滴の量をコントロールしたのです。
これにより、エプソンのMSDTでは最小1.5ピコリットル、最大32.5ピコリットルまでの大小さまざまなインク滴を、同一ノズルから打ち分け、粒状感を抑えた滑らかなグラデーションや繊細な明るさなどの美しい画像表現と、高速印刷の両立を実現したのです。