ありたい姿を実現するために必要な技術を創造し、 新しい発想や、やり方で挑戦していきます
開発ビジョン
- 持続可能でこころ豊かな社会を実現するため、新しい発想や、やり方で挑戦する
エプソンは創業以来、「省・小・精の技術」に代表される優れた技術を持ち、それをどう社会に役立てていくか、という考え方で、価値を提供してきました。しかし「Epson 25 Renewed」では、まず社会課題があり、その課題解決にはどんな技術が必要か、という考え方を徹底し技術開発を行っていきます。この考え方にシフトしていくためには、自分たちの実力を客観的に評価することが必要です。その結果生じた、ありたい姿とのギャップに対して、技術面だけでなく、社会課題や事業性などを加味した上で、自分たちなりの開発シナリオをつくっていく、という取り組みを始めています。エプソンは、新しい発想や、やり方に果敢にチャレンジすることで、「持続可能でこころ豊かな社会の実現」に取り組んでいきます。
技術開発戦略
- イノベーションを支える基盤技術、コア技術、製品技術を進化
特に材料・AI・デジタル技術を強化し、モノの価値に加えてコトの価値を創造する
「Epson 25 Renewed」では、社会課題に照らし、4つのマテリアリティが定義されており、技術開発においてはそのうち次の3つにフォーカスしています。まず、「循環型経済の牽引」では材料開発を中心に、地下資源に頼らない資源循環やカーボンマイナスを実現する技術開発に注力します。次に、「産業構造の革新」では、省エネルギー・省スペースで、精密で複雑な作業を正確に行う自動化装置などのソリューションを提供し、世の中のものづくり革新ニーズに応えていきます。そして、「生活の質向上」では、センサーで計測した情報をつなぐデジタル技術や、AI技術によって、誰もが健康で快適な生活を楽しめる世界を創っていきます。このようにマテリアリティの達成に、技術で貢献していくのが私たちの役割です。
この役割を踏まえ、エプソンにおける技術開発の構造を図に表してみました。基盤技術をベースにそこから生み出されるコア技術や、生産技術などの製品技術を加え、それらをもとにして各事業を支え、さらにイノベーションを推進しています。よって、基盤技術、コア技術、製品技術を継続的に進化させていくことが重要であるとともに、「Epson 25 Renewed」を実現する上では、特に材料・AI・デジタル技術を強化していきたいと考えています。材料技術は環境ビジネスに大きく貢献していくために重要であり、具体的にはPaperLabに搭載されている繊維化技術を中心にした脱プラ技術や、エプソンアトミックス(株)で展開している環境負荷の少ない高機能な金属粉末材料の開発などを強化していきます。
また、モノからコトへ、という流れが加速していく中で、AIやデジタル技術は必須です。特にエプソンの製品から抽出されるデータを、お客様の価値へと変えるためのアルゴリズムやAI技術などを強化していきます。
また「Epson 25 Renewed」を実現する上で、「環境」「DX」「共創」を重点事項としていますが、技術開発においても「共創」は重要なファクターとなります。自分たちの技術ありきでビジネスを考えていくと、狭い領域にとどまってしまい、スピードも限られます。社会課題の解決にとって必要なものは何かを考えたときに、エプソンだけでは対応できないものも出てきます。新たな価値の創造においては、社会を良くして行こうという共通の認識の下、互いに理解・協力し合える親密なパートナーと共に創り上げるというのが「Epson 25 Renewed」の考え方です。これまでエプソンは垂直統合型ビジネスモデルを推進してきたため、どちらかといえば自前主義が強い側面はありました。しかし、今回のCOVID-19による影響やデジタル化で社会が急速に変化する中で、全て自前でやるのではなく、共創により、より良い提案をより速く実行することを行っていきます。
開発のフロントローディングによって、開発の質を高めていく
従来の技術開発は初期段階は小さく始めて、徐々に課題をクリアしながら進めていく、というやり方でしたが、それも改めます。これまでのやり方だと、時間がかかる上、シナリオがある程度進んだ段階で重大な課題が発見されても、後戻りが難しくなる、というデメリットがありました。これからは、開発の初期段階となる「試行錯誤のプロセス」から多くの知見ある方々に参画してもらい、検証をしっかり行いながら開発を進めていくという「開発のフロントローディング化」を進めていきます。
「Epson 25 Renewed」の策定に当たり、これまで進めてきた「Epson 25」から、より戦術やシナリオの精度を高める必要があると考えました。開発のフロントローディング化により、課題を解決するサイクルを早く回して開発の質を高めることで、商品化・事業化までのスピードアップを図っていきます。