MEMS加工技術
MEMS加工技術により実現する
PrecisionCore プリントヘッド
数ピコリットル(1ピコリットル=1兆分の1リットル)という微小なインク滴を、正確に制御を行いながら吐出するインジェットプリントでは、各種の部品や、それを動かす制御技術において高度なものが求められます。PrecisionCore プリントヘッドの実現には欠かせないMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)加工技術について紹介します。
精度を高めてきたMEMS加工技術
MEMS加工技術は、一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に、サブミクロンレベルの精度で機械要素部品やセンサー、アクチュエーター、電子回路などを集積化する技術です。ICやLSI、半導体などの製造と同様に、フォトソリグラフィやエッチングといった加工技術を用いて行われています。時計や携帯電話、コンピューターなど、現代社会を支えるさまざまな機器を製造する際に、MEMS加工技術は欠かすことができません。エプソンでは、機械式時計内部の微細加工から始まり、クォーツ時計の水晶振動子の製造など、長年の経験と技術の蓄積により、業界トップクラスの精度にまでMEMS加工技術を高めてきました。
MEMS加工技術で作る精巧な部品
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エプソンのMEMS加工技術の強みは、3次元方向における高い加工精度です。通常の半導体製造におけるMEMS加工技術では、平面方向の寸法精度についての要求は高いですが、高さ方向の精度に関しては平面方向ほど高くはありません。半導体製造業界における汎用製造装置の高さ方向のばらつきは数%程度となります。それに対し、エプソンは、業界汎用装置のばらつきに対し、5分の1から10分の1にさらに低く抑えています。この高度なMEMS加工技術が、精巧なTFP(Thin Film Piezo)アクチュエーター、インクチャネル、ノズルプレートなどの形成を可能にしています。
また、感光樹脂で作成するサーマルヘッドのノズル長は数ミクロン程度であるのに対し、MEMS加工技術を用いてシリコンウエハーで作成するマイクロTFPプリントチップのノズル長は、その10倍を超える長さを確保できます。これにより、高い着弾精度を確保することも可能になり、高画質な印刷を実現しています。
MEMS加工技術により作られる
エプソンの
PrecisionCore プリントヘッド
PrecisionCore プリントヘッドの中核となるマイクロTFPプリントチップが持つ、精巧なTFPアクチュエーター、インクチャネル、ノズルプレートなどの各種の部品は、MEMS加工技術によりサブミクロンレベルの精度で集積化されています。
さらに、エプソン独自の高度な制御技術であるメニスカスコントロール、MSDT(Multi Size Dot Technology)などが加わることにより、高速・高画質な印刷が実現されます。
エプソンが精度を高めたMEMS加工技術により作られたPrecisionCore プリントヘッドは、インクジェットプリンティングの水準を新たなレベルまで引き上げたのです。