高速用紙搬送技術

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高速印刷を支える、
エプソン独自の高速用紙搬送の技術

オフィスや学校など多忙な業務を支えるビジネスプリンターにおいて、ユーザーからの要望が特に強いのは高速に印刷ができることです。印刷速度を100枚/分※1まで高めるためには、プリントヘッドの技術向上に加えて、用紙搬送をいかに高速化するかも非常に重要になります。エプソン独自の高速用紙搬送技術について紹介します。

高度な高速用紙搬送技術

印刷を行うためには、用紙を給紙カセットからインクを吐出するプリントヘッドの下まで、速く確実に搬送しなければなりません。給紙カセットからプリントヘッドまで、用紙が1枚ずつ、ローラーなどの部品に挟まれながら搬送されていきます。薄い1枚の用紙を、わずかな機構のすき間に引き込み、抜けさせ、詰まることがないようスムーズに送るためは、緻密に制御を行う必要があります。

ビジネスプリンターの筐体内における限られたスペースでは、紙の搬送経路や機構も複雑になり、今まで以上に高度な高速用紙搬送の技術や知見が要求されます。

印刷の高速化と品質を両立させる、
用紙搬送技術

インクジェットプリンターによる高速印刷では、用紙がインクを吸収することで生じる印刷物のゆがみが課題となります。これまでも、さまざまな機構や工夫で対処してきましたが、100枚/分という高速印刷では従来のローラー搬送では限界がありました。

従来の搬送機構
従来の搬送機構

従来方式で用紙を搬送する際、ローラーの滑りで用紙がたわむことがあります。特に課題となるのは、用紙をローラーで挟んでいないタイミングにおいて、用紙の姿勢をコントロールできないことです。このような状態では、用紙がローラーにぶつかるなどし、プリントヘッドの下で暴れる事があります。結果、印刷した画像の乱れ、用紙がヘッドに接触することによるインク汚れなど、ヘッドの故障にもつながりかねません。
(ヘッドに接触するパターンについては、下図参照)

ヘッドに接触するパターン

「静電吸着ベルト」による
高速用紙搬送技術

用紙の浮き、たわみが起こらないよう採用したのが、静電気で吸着させて搬送する「静電吸着ベルト」による高速用紙搬送技術です。この機構では、プリントヘッドの真下にベルトを這わせ、用紙を搬送する仕組みにしました。そして、「帯電」と「除電」を行う機構も配置しています。

静電吸着ベルト

プリントヘッドの下でも用紙が暴れないよう、静電ベルトを帯電させ、そこに用紙を吸着させます。さらに高速搬送に耐えられる吸着とするため、用紙表面(印字する面)を除電し吸着力を増加させます。

静電吸着ベルト

このように「静電吸着ベルト」を使う事によって、搬送中の用紙の浮き、たわみがなくなり、ヘッドへの接触を防ぐことで、用紙へのインク付着による汚れを抑制しています。また、用紙搬送中の速度ムラも抑制され、印刷画像の乱れも改善しました。「静電吸着ベルト」による高速用紙搬送技術によって、高速・高品質な印刷を実現しているのです。

  • :LX-10000FシリーズA4横片面の場合

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