ベルト当離接機構
高速印刷を支える
ラインヘッドのメンテナンス技術
インクジェットプリンターは、印刷品質を保つためにプリントヘッドのメンテナンス機構を備えています。しかし、オフィスや学校などさまざまなシーンで求められる高速印刷においては、素早くメンテナンスを行う高度な技術が必要となります。そのためには、内部の機構を高速で動かさなければなりません。エプソンならではの高い技術力で実現している、高速・高精度な制御について紹介します。
プリントヘッド
のメンテナンスを行う理由
インクジェットプリンターの印刷では、常に全てのノズルを使用しているわけではありません。使用頻度が低いノズルの表面は、乾燥してしまいます。ノズル表面が乾くとインクが詰まり、印刷品質を保つことが出来なくなります。そこで、定期的にプリントヘッド表面のインクを除去(フラッシング)して、インクの乾燥を防ぐ必要があります。
従来方式(シリアルヘッド方式)
における
メンテナンス
従来のシリアルヘッド方式は、ヘッドを用紙上で左右に高速で往復移動させ、少しずつ紙を送って用紙全体を印刷していました。
この方式では、プリントヘッドをメンテナンス領域へ移動させてメンテナンスを行います。
高速印刷を実現する
ラインヘッド方式における
メンテナンスの課題
ラインヘッド方式では、プリントヘッドが用紙と同等の長さを持ち、ヘッドを固定したまま、紙送り機構のみで全体を印刷するため、高速プリントが可能です。
100枚/分※1という高速印刷を実現するためは、メンテナンスにかかる時間も最小化する必要があります。プリントヘッドを移動させてメンテンナスを行う場合、高速で移動させる必要があり、加速/減速/停止の衝撃によるノズル抜けの課題が想定されました。そのため、従来のプリントヘッドを移動させる方式ではなく、メンテナンス部を高速移動させるという新たな方式が必要となったのです。
新たなメンテナンス方式を
実現する機構について
(注)本サービスは、YouTube™のサービスを使って提供いたします。
(注)YouTubeは、Google Inc.の商標です。
新たなラインヘッドのメンテナンス方式では、印刷中のわずかな時間に静電ベルトを一次的に退避させ、プリンター休止時にプリントヘッドを保護しているキャップが瞬間的にプリントヘッドの下へあてがわれ、フラッシングしたインクを吸収します。印刷とフラッシングの際に行われる動きは、動画で紹介します。
メンテナンス動作 わずか1.65秒
100枚/分の高速印刷を実現させるために、メンテナンスの動作をわずか1.65秒という非常に短い時間で行っています。 そのため、静電搬送ベルトやキャップなどのパーツを非常に短い時間で精度よく制御する必要があります。しかし、例えば静電ベルトをただ速く動かそうとすると、プリントヘッドと静電ベルトのすき間は1mm程度しかないため、プリントヘッドと衝突し、プリンターの振動や騒音、印刷の汚れにつながります。また、静電搬送ベルト上にある紙粉を巻き上げ、プリントヘッド表面に付着することでノズル抜けにもつながります。
エプソンは、静電ベルトを動かすモーターを高精度に制御し、しかるべき位置でピタリと止め、極めて短い時間の中でメンテナンスを実現しています。このメンテナンス機構の実現により、連続した高速印刷においても印刷品質を保つことができるのです。
- :LX-10000FシリーズA4横片面の場合