ディスプレイモジュールの小型化・軽量化

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ディスプレイモジュールの小型化

スマートグラス『MOVERIO』シリーズの鮮明なAR(拡張現実)空間を実現したのが、超小型高精細のシリコンOLED(有機EL)ディスプレイです。エプソンが長年培ってきたマイクロディスプレイ技術は、世界トップシェアを誇るプロジェクターからスマートグラスへと引き継がれました。ビジュアルコミュニケーション時代に向けて、高品質な表現を可能にしたシリコンOLEDディスプレイを紹介します。

スマートグラスを実現する
マイクロディスプレイ

BT-40

おおむね1インチ前後のディスプレイをマイクロディスプレイと呼びます。これまでエプソンでは主にプロジェクター分野に向けてマイクロディスプレイ技術の研究開発を進めてきましたが、新たにウエアラブルの分野も加わりました。それがスマートグラス『MOVERIO』シリーズです。

『MOVERIO』シリーズはメガネ型のデバイスであり、限られたスペースに映像投影システムを組み込む必要があります。旧型ではTFT液晶ディスプレイを採用していましたが、『BT-300』から高輝度・高色域に優れたシリコンOLEDディスプレイに切り替えています。同時にディスプレイモジュールも小型化し、さらなる軽量化を実現しました。

シリコンOLEDで実現した
モジュールの小型化

『MOVERIO』シリーズでは、ディスプレイの高輝度・高色域化や画角の広さ、モジュールの小型化の課題がありました。スマートグラスにはメガネサイズの非常に小さなスペースに複雑な光学系を組み込む必要があり、同時に高品質の画像も要求されます。

ディスプレイの高品質化とモジュールの小型化という課題を解決したのが、独自のシリコンOLED(有機LED)ディスプレイです。OLEDの持つ自発光という特徴により、従来の液晶パネルで必要だったバックライトがありません。また、エプソン独自の技術により、ドライバーICをディスプレイに内蔵させることで駆動基板の面積を縮小し、ディスプレイモジュールの小型化を実現しました。BT-40に採用されたディスプレイは、わずか0.453インチサイズながら精細度4,866ppi、1920×1080ピクセルのフルハイビジョン映像を投影できます。

【ディスプレイモジュールの小型化】

旧モデル「BT-200」
現行モデル

小型・軽量化と高輝度・高色域を両立した
ディスプレイモジュール

シリコンOLEDディスプレイがコントラストを強く出せるようになったことで、『MOVERIO』の画質は飛躍的に向上しました。

コントラストの低いディスプレイを使ったシースルー型のスマートグラスは、画像全体が四角の窓のように外の風景の上に重なってしまいます。AR(拡張現実)のように現実の風景にデジタルデータを重ね合わせる場合、四角のウインドウは邪魔になります。風景と投影画像が自然に馴染み、見た目に違和感がないように表示するには映像のコントラストを上げる必要があります。

HTPS液晶では、暗い映像を再現する時もバックライトの光が液晶から漏れて、スクリーンのような表示枠が見えていました。一方、シリコンOLEDはそれ自体が自発光するため、バックライトが不要となり、黒を黒として表現できます。その結果、シリコンOLED は映像を映す画素のみを発光させ、映像のない部分は発光させないという制御が可能なため、コントラスト比を前機種の230:1から500,000:1へ飛躍的に向上させることができました。これにより明るい部分はより明るい、暗い部分はより暗い映像表現ができるようになり、表示枠も見えなくなりました。

【ARコンテンツを使った視野イメージ比較】

旧モデル「BT-200」

視野の中に映像・情報の境目が見える

現行モデル

視野の中に映像・情報の境目がなく、視野と一体化して見える

映画の字幕配信や現場の業務効率にも貢献

『MOVERIO』は両眼シースルーとハンズフリー、そしてスクリーン感(表示枠)を意識させないことから、映画館向けの聴覚障がい者用字幕配信にも活用されています。

また、長時間装着しても疲れにくい業務支援用のスマートヘッドセット『MOVERIO Pro』は、映像を見ながらハンズフリーで作業したり、作業をしながら遠隔地にいる管理者の指示を受け取ったり、実際の視野内に作業指示の内容を重ね合わせながら確認作業をすることが可能です。また、高齢で農作業が難しい熟練者が若手への指導を行う場合など、工場や現場だけでなく、さまざまな分野で業務の効率化に貢献しています。

ディスプレイモジュールの小型化、軽量化により、ストレスフリーで場所を選ばない大画面の映像視聴を可能にし、これまで考えられなかったさまざまな映像体験を実現しています。