ドライファイバーテクノロジー
未来に続く技術
「ドライファイバーテクノロジー」
「ドライファイバーテクノロジー」は、水を使わず*1繊維素材を価値あるカタチに変え、用途に合わせた繊維化や、結合、成形を行い素材の高機能化を実現するエプソン独自の技術です。ドライファイバーテクノロジーは今までできなかった処理や加工を可能にし、廃棄物を減らすことはもちろん、新しい材料特性も生み出します。
そして、ドライファイバーテクノロジーによりごみとして処理していたものに価値を与え、環境の負荷を減らすものづくりを「スマートサイクル」と名付け、取り組みを進めています。
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世界初*2の乾式オフィス製紙機
「PaperLab」
ドライファイバーテクノロジーを使用した製品のひとつに、水を使わず使用済みの紙から新たな紙を生み出す世界初*2の乾式オフィス製紙機「PaperLab」があります。
一般的にオフィスから出る使用済みの紙はリサイクル会社が回収し、再生紙に加工しています。紙のリサイクル工場では、使用済みの紙は大量の水と薬品で溶かされ、漂白されて繊維状になり、再び紙へと加工されます。環境負荷を小さくするための古紙リサイクルですが、水資源という点からは課題がありました。
水を使わず紙をつくることができれば、紙の再生サイクルは根本から大きく変わるはずです。そんな夢のような紙づくりをエプソンのドライファイバーテクノロジーが可能にしました。
使用済みの紙から
新たな紙を生み出すプロセス
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細断 | 再生に適した形状、かつ機密情報が判読できなくなるレベルまで細かく細断します。 |
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繊維化 | 独自に開発した機構による機械的衝撃で、水を使わずに、使用済みの紙を繊維に変え、文書情報を一瞬で完全に抹消します。 |
結合 | 結合素材「ペーパープラス」を使用することで繊維を結合します。さまざまなペーパープラスにより、白色度の向上、色付を行います。 |
成形 | 結合した繊維を加圧して新たな紙にします。加圧時に密度や厚み、形状をコントロールすることで、A4やA3サイズ、名刺などに使用できる厚紙などのドライファイバーペーパー(DFP)を生産できます。 |
当時、社内には、インクジェットプリンターで印刷した機密⽂書が⼤量にあふれていました。お客様にもお話を伺うと、どの企業も同じような悩みを抱えていました。プリンターの会社として、お客様には環境を気にせず気兼ねなく紙を使ってほしい、そのような思いから研究がスタートしました。
再生紙工場では大量の水を使いますが、オフィスでは特別な給排水設備がありません。そこで水を使わず紙を再生する技術が必要でした。そこで、何千というさまざまな方法を試しながら試行錯誤し、機械的な衝撃で紙を繊維化することに行きつきました。
次に印刷された紙のインク部分を洗浄せずにどのように取り除くか、ということが課題でした。当時開発チームのメンバーがもともと所属していたレーザープリンターの技術を使って、繊維を色のついた繊維と色のない繊維に分ける技術を開発しました。インク部が取り除かれた繊維に、ペーパープラスというエプソン独自の結合素材を加え成形し、新たな紙へと再生されます。
この技術により、機密書類を繊維まで分解するため、オフィス内で情報の抹消が可能になりました。
紙再生技術が優れて革新的であることに加え、環境教育教材や環境政策のシンボルとしての活用、資源循環の意識向上に寄与していることなどを評価され、一般社団法人産業環境管理協会主催の「第1回エコプロアワード」(旧エコプロダクツ大賞)において、経済産業大臣賞を受賞しました。
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ドライファイバーテクノロジーで社会的課題を解決する
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エプソンはドライファイバーテクノロジーにより、ごみとして処理していたものに価値を与え、環境の負荷を減らすものづくり「スマートサイクル」を実現します。
最近では、スマートサイクルのひとつとして、社内で回収された使用済みの紙を、プリンターのインク吸収材として生産しています。また、ドライファイバーテクノロジーを応用し、機能繊維からマスクの中間層フィルター部を成形し、早期生産を実現しました。
原理的には、ドライファイバーテクノロジーは紙に限らず、繊維でできているもの、例えば木材や竹などから繊維を取り出すことも可能です。AをリサイクルしてAに戻すのではなく、AからBやCやDといった新たな材料を生み出す技術であり、生み出される繊維が資源としてどのように利用できるのか、エプソンでは今後も研究を進めていきます。
*1 機器内の湿度を保つために少量の水を使用します。
*2 乾式オフィス製紙機として世界初(2016年11月時点 当社調べ)
『スマートサイクル』の詳細はこちらをご覧ください。