デザイナーインタビュー | プロダクトデザイン-小型射出成形機
部品成形と工場現場のイメージを変えるデザイン
2022年度グッドデザイン・ベスト100に選ばれた、エプソンの小型射出成形機。
デザイナーがデザインのポイント、課題解決のためのアプローチ方法などを語ります。
小林 正彦 1989年入社
プリンターなどのプロダクトディレクターを経て、現在は開発系のデザインを中心に幅広い領域で活動を行っています。
新しいデザインで未来の工場を創造する
―デザインのポイントを教えてください。
未来の工場を意識し、これまで成形機が置けなかったオフィスでの利用を考慮したデザインです。開発者と「透明なカプセル」というキーワードを共有し、クリーンで美しいデザインを実現しました。無駄な装飾を省き、金属やガラスの質感を生かした、未来のスマートファクトリーを感じさせるデザインに仕上げています。また、クリアなケースの奥で成形品が誕生する瞬間を見られることで、生産者に「ものづくりのときめき」を感じてもらえるようなデザインにしました。
当初の試作機は扉を開けるときに場所を取るという問題がありました。そこで、扉が横にスライドする機構を提案しました。さらに、金型の美しさを生かすことで、開発者が直感的に成形機だとわかるようにしました。未来の工場にふさわしい、クリーンで美しいデザインを実現できたと思います。
技術と美しさが融合した社会課題解決に向けたデザインが高評価
―ベスト100を受賞したことをどのように感じていますか。
私たちは、持続可能な社会に向け必要なものを必要な量だけ作ることが重要なテーマだと考えています。しかし、少量多品種の生産は材料ロスが多く、小さなものを小さく作ることは難しい課題です。成形機本体の小型化、省エネルギー機構により、いままで大きな工場でやっていたことを小型化し効率化することで、デスクトップで行えるようにしたことが、未来の工場の在り方を示唆する提案として高く評価されました。デザインとは、技術と美しさが融合し、人々の生活を豊かにするものだと、あらためて感じています。
ユーザーの心に寄り添い、期待を超えるデザインを追求
―デザイナーとして大切にしていることを教えてください。
デザインをするうえで大切にしていることは、それを使うときのユーザーの気持ちを考えることです。
ユーザーがどのように製品を使うかを想像し、期待を少し超えるようなアイデアを潜ませ、形にすることで、その商品が持つ価値を魅力的にお届けすることを心がけています。お客様に気分よく使っていただき、そのブランドのファンになっていただくことは、デザインの重要な機能だと思っています。
エプソンではさまざまな領域のデザインに挑戦する機会があります。
今後も、枠にとらわれず社会課題を解決するデザインを追求し、人や社会がよりよくなる未来に向けて取り組んでいきたいと思います。
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