マイクロピエゾ技術

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進化を続ける
エプソンのマイクロピエゾ技術

インクジェットプリント技術は、家庭やオフィス、あるいは商業・産業用など、あらゆるプリンターに応用されています。微小なインク滴を用紙などのメディアに直接飛ばして印刷するので、廃棄物も少なく、既存のアナログ印刷やレーザー方式などに比べて環境面や効率面で非常に優れており、また原理的にどんなメディアにも印刷が可能です。エプソン製インクジェットプリンターに共通の技術である、マイクロピエゾ技術を紹介します。

ピエゾ方式による
インクジェットプリントの優位性

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インクを吐出させる主な方式には、インクをヒーターで加熱し気泡を発生させインクを吐出させるサーマル方式と、電圧を加えることで変形するピエゾ素子の機械的な動きによってインクを吐出させるピエゾ方式があります。ピエゾ方式によるプリントヘッドは、熱を使わないため性能の劣化が少なく、耐久性に優れ、加熱により性質が変化してしまうようなインクにも対応できます。染料インクや顔料インクをはじめとして、さまざまな種類のインクを使うことが可能です。

マイクロピエゾ技術

エプソンの
マイクロピエゾプリントヘッド

エプソンのマイクロピエゾプリントヘッドは、ノズル先端のインク液面(メニスカス)の状態を制御するメニスカスコントロールと、ピエゾ素子を駆動する電圧波形を精密に制御し吐出するインク滴の量をコントロールするMSDT(Multi Size Dot Technology)により、高い着弾精度と1秒間に最大5万発の高速吐出の両立を実現しています。これによって、高速・高画質な印刷が可能となりました。

メニスカスコントロール

精密に制御されたピエゾ素子の動きにより、メニスカスを制御する技術です。これにより、短時間でメニスカスの残振動を抑制し安定させます。残振動によるミストの発生を防ぎ、大小の丸いドット形状に近いインク滴を真っすぐに飛ばすことが可能となり、高い着弾精度を実現します。

メニスカスコントロール

MSDT
(Multi Size Dot Technology)

ピエゾ素子を駆動する電圧波形を精密に制御することで、吐出するインク滴の量をコントロールします。これにより、最小で1.5ピコリットルのインク滴を、正確な位置に必要な量だけ吐出することが可能になります。ひとつのノズルから大小さまざまなインク滴を出し分けることで、粒状感のほとんどない美しい画像表現や高速化を実現しています。

吐出するインク滴

マイクロピエゾプリントヘッドを
実現するためには

マイクロピエゾ プリントヘッド

さまざまな優位性のあるエプソンのマイクロピエゾ プリントヘッドですが、その実現には多くの課題がありました。その一つとして、ピエゾ素子によるインクの吐出機構が挙げられます。一般的にピエゾ素子は、同じ厚みの場合、面積を小さくするほど、その変位量が小さくなります。そのため、解像度を上げるとピエゾ素子の変位量が減り、ノズルから1回に吐出できるインク量は減少してしまいます。 大小さまざまなインク滴を出し分ける為には、ピエゾ素子の変位量を増やさなければなりません。

ピエゾ素子は、薄くなると同じ印加電圧でも変位量がより大きくなりますが、薄くすることで脆くなるため、加工や取り扱いが難しくなります。この課題を解決する方法として、薄いピエゾ素子を重ねて形成した積層ピエゾ(Multi-LayerPiezo)をアクチュエータとして採用し、ピエゾ素子の縦振動によりインクを吐出する「MACH(Multi-layer Actuator Head)」方式のプリントヘッドが開発されます。これにより、高密度・高応答性を実現し、インクジェットプリントは大きく飛躍しました。

MACH方式

MACHテクノロジーを実現するには、アクチュエータを作る高度な加工・製造技術と、プリントヘッドとして組み上げる超高精度組み立て技術に加え、プリントヘッドの性能を引き出す高度な制御技術も無ければいけません。これら全ての技術が合わさることで、エプソンのMACH方式のマイクロピエゾプリントヘッドは高画質、高精度、かつ高速なインクジェットプリンティングを実現しました。エプソンプリンターへの搭載はもとより、現在も世界のさまざまなお客様へ供給され、幅広い分野で活用されています。

PrecisionCoreテクノロジーの
可能性

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エプソンのマイクロピエゾ プリントヘッドは今も進化を続けています。マイクロピエゾ技術を発展させ、インクジェットプリンティングの水準を新たなレベルまで引き上げる技術として、PrecisionCore テクノロジーを新たに生み出しました。PrecisionCore テクノロジーは、長年にわたって培い蓄えてきたインクジェット技術に、飛躍的に進化させた薄膜ピエゾや、超微細加工が可能な高精度MEMS加工技術、超高精度組み立て技術など、エプソンの持つさまざまな独自技術を融合させることで実現しました。

高精度化と小型化を突き詰めた「PrecisionCoreマイクロTFPプリントチップ」は、プリントヘッドの基本モジュールとしての性能が飛躍的に向上しています。従来以上の高速化、高画質化を実現し、オフィス領域から商業・産業領域まで、同一のプリントチップを用いながらも柔軟で多様なプリントヘッドの構成が可能になりました。

インク滴により描かれた微小なドット

PrecisionCore テクノロジーは、インクジェットプリンティング技術を単なる紙への印刷だけでなく、エレクトロニクスやバイオの分野まで活用範囲を広げられる可能性を秘めています。オープンイノベーションにより、さまざまなサービスやアイデアを有するパートナーとともに、新たな市場創出をけん引していきます。

PrecisionCoreテクノロジー