デザイナー対談 | 入社3年目と13年目が語る、ウオッチデザインという仕事
セイコーエプソンのウオッチデザイン部門では、年齢や立場を越えてデザインについて語り合う文化がある。今回は、入社13年目のベテランデザイナー・平野さんと入社3年目のデザイナー・渡辺さんによる対談を通して、オリエントブランドのウオッチデザインのリアルとやりがい、そして次世代へのメッセージを語ってもらった。
まずは自己紹介から
平野:私は2012年に旧オリエント時計に入社しました。入社してからずっと時計に関わってきて、エプソンへの転籍を経て、現在は13年目になります。2017年頃から、オリエントとオリエントスターの両ブランドを横断的に手がけています。
渡辺:私は2023年入社で、現在3年目です。部門では一番の若手ですね。大学は機械工学科、その後大学院でプロダクトデザインを専攻しました。実は、入社前は時計のデザインをやるとは思っていなくて、ロボットデザイン志望だったんです。でも配属をきっかけに時計の世界に触れて、今は完全にハマっています。
平野:時計も入社してからめっちゃ買ってるよね。
渡辺:はい。でもずっと欲しいと思ってるのは○○○の○○です。(想定外の高額商品) その時計の文字板のアラビア数字がすごく綺麗な書体だなって思って。あと、針もすごい繊細なのに、なんでこんなにも視認性が高いのだろうか?とか、その辺のバランスの取り方が本当にたまらないんです。

オリエントブランドについて
平野:オリエントは1950年創業で、今年75周年を迎えたブランドです。最大の特徴は、創業当初から一貫して機械式時計を作り続けていること。ゼンマイを巻いて動く機械式時計は、構造も複雑で手間もかかりますが、その分、工芸的な魅力や奥深さがあります。
渡辺:価格帯もすごく幅広いですよね。
平野:そうですね。オリエントからオリエントスターまで、2万円台から数十万円クラスまで。ビジネスシーンで使えるものから、スポーツウォッチ、ドレスウォッチまで、幅広いお客様に向けて商品を展開しています。

直近の業務—若手とベテランの挑戦
渡辺:最近は、新モデルや派生モデルのデザインを担当しています。コンセプト立案から、ケースや文字板、カラーリングの検討まで一通り関わっています。
特に印象に残っているのが、文字板のカラー提案です。もともとはシャンパンゴールド1色で企画されていたモデルだったのですが、私は「地中海の明るさ」みたいなイメージを持っていて、どうしてもこのグリーンを入れたかった。営業や企画に何度もプレゼンをして、「この色は絶対に売れる」と説得しました。
平野:結果的に、そのグリーンがとても売れたんですよね。
渡辺:そうなんです。デザイナーとして、すごく自信につながりました。
平野:私は最近、現在販売しているモデルのリニューアルを多く担当しています。一見すると大きく変わっていないように見える時計でも、ケースの面構成や目盛りの太さ、仕上げの入れ方を少し変えるだけで、印象も品質感もまったく違ってくる。
時計は、造形の1mm、0.5mmの違いがそのまま「高そう」「安そう」に直結する世界。これまでの経験や失敗が、今の判断に活きていますね。

仕事のやりがい—ウオッチデザインの魅力
平野:: 時計は機能だけでなく、歴史やストーリー、感情で選ばれるプロダクトだという点が、とても面白い。特に忘れられないのは、海外専用モデルを手がけたときです。ちょっと前に、日本の街中で、外国人観光客が自分のデザインした時計を着けているのを見かけたんですよ!その瞬間、悩みも吹っ飛びましたし「世界とつながっている仕事なんだ」と強く実感しました。
渡辺:私のやりがいは、自分でいいと思ったら、とことん提案できるところです。もちろん、何でも通るわけではありませんが、デザイナーとしての考えや熱量をちゃんと聞いてもらえる環境があります。
それに、時計は基本的に一人で全部デザインできる。ケース、文字板、針、バンドまで、自分の意思を積み重ねて一つの商品を完成させられるのは、ウオッチデザインならではの魅力だと思います。
平野:本当にそうですね。「全部ひとりでデザインできる」プロダクトは、意外と少ない。だからこそ、デザイナーとしての個性や成長が、はっきりと形に表れる仕事だと思います。

先輩と後輩、その向き合いかた
平野:渡辺さんは、ウオッチデザインにガンガン興味を持って育っているタイプだと思う。時計だけでなく、他社事例や歴史、加工技術までどんどん吸収している。そういう姿勢が、自然と成長につながっているんじゃないかな。
渡辺:初めて聞きました。
平野:初めて言いました。(笑)
自分が先輩からしてもらったように、後輩の視野を広げてあげるのが今の自分の役割。過去の事例や背景を伝えることで、「じゃあ次はこうしてみよう」と発想が広がっていく。その瞬間を見るのが楽しいですね。
渡辺:知識や経験を惜しみなく共有してもらえるので、本当に学びが多いです。時計は歴史が長い分、知るほどデザインの解像度が上がると実感しています。

入社希望者へのメッセージ
渡辺:時計のデザインは、本当に楽しい仕事です。
自分の成長が、そのままデザインに現れる。1年目、2年目、3年目で、アウトプットの変化がはっきり分かります。プロダクトデザインが好きな人なら、必ず夢中になれる分野だと思います。「好き」という気持ちを突き詰めたい人には、すごく向いている環境です。
平野:時計は小さなプロダクトですが、世界中の人の生活に寄り添うもの。ものづくりの奥深さを、ぜひここで体験してほしいですね。

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