YUIMA NAKAZATOと創るファッションの未来

2023年1月25日にフランスで開催された、パリオートクチュールファッションウィーク2023年春夏コレクションにおいて、エプソンのデジタル捺染技術とドライファイバーテクノロジー*1によって、使用済みの衣服からアップサイクルした新コレクション制作の一部をサポートしました。
エプソンは、YUIMA NAKAZATOとともに環境負荷を低減しながら、一人一人の多様なニーズに応える高品質な衣服づくりを可能にする技術やプロセス、仕組みを提供し、ファッション業界におけるバリューチェーンの進化を実現します。

デジタル捺染プリント衣装一覧

©Luca Tombolini

プリントを用いた衣装表現とそのプロセスへのこだわり

コットン生地1種、シルクオーガンジー生地3種の合計4種の生地に、70種を超える中里氏のデザインを、当社のデジタル捺染プリンターMonna Lisaで表現しました。刷版を必要としないデジタル捺染の特長を生かし、「作りながら創る」を繰り返し、ショー本番の1週間前まで衣装の完成度を高めるためのプリントを行いました。

今回のデザインは、中里氏がアフリカで見た景色からインスピレーションを受け、考えられています。中里氏はその旅の中で干ばつの厳しい地域を訪れ、水の貴重さも身をもって体感し、本プリントでは顔料インクを用い、プリント後の蒸しと洗い工程が不要で、水の使用量を抑えながら加工するというプロセスにもこだわっています。

当社でのプリントは、長野県富士見町にあるソリューションセンター富士見で行いました。ここでは、多様な生地に応じインクや前後処理を提案する『捺染ソムリエ』が、技術面でサポートをしています。

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使用済み衣服のアップサイクルに挑戦

新しい試みとして、エプソンのドライファイバーテクノロジー*1をベースに、使用済みの衣服からアップサイクルしたコレクション制作をサポートしました。この使用済み衣服は、世界各地から廃棄される衣服が多く集まるアフリカで調達されており、中里氏が実際にケニアを訪れて回収した古着です。今回は、黒色の服をベースに、残りは赤、青、ネイビー、黄色、紫系の服から不織布シートを作成しました。

©Luca Tombolini

これらの古着を合計約50m分の不織布シートへ再生し、その表面には、デジタル捺染プリンターMonna Lisaで顔料インクを使用して中里氏のデザインをプリントし、シルクのプリントとあわせて新しい衣服へとアップサイクルされました。衣服への利用は実験段階ですが、YUIMA NAKAZATOとエプソンは今後も共同で研究を進めます。

コレクション会場の造作プリント

コレクションの世界観を演出するための会場の造作にもエプソンのデジタル印刷技術が活用されました。アフリカで撮影された写真を、会場の床一面を覆うように引き伸ばし、マット紙にプリントしました。これは日本で事前にテストを行った上で、コレクション会場に近いパリ近郊の印刷業者とカラーマネジメントし、プリントしました。

©Luca Tombolini

*1 水をほとんど使用せず、多様な素材を繊維化し高機能化し高性能化するエプソン独自の技術。詳細はこちらをご確認ください。

ドライファイバーテクノロジー