YUIMA NAKAZATOと創るファッションの未来

2024年6月26日、2024年秋冬オートクチュールウィークの中でフランス・パリにて発表されたYUIMA NAKAZATOの最新コレクション「UNVEIL」の制作の一部をエプソンがサポートしました。
中里氏は、古代ギリシャを舞台としたオペラ「イドメネオ」の衣装を担当しました。その時に得られたインスピレーションを基に、今期のコレクションをデザインしています。エプソンは、シルクオーガンジー生地や、Brewed Protein™繊維*1の生地、そしてドライファイバーテクノロジー*2で再生した不織布へのプリントにデジタル捺染技術を活用することで、その鮮やかな赤色が目を引くデザインを再現しています。

参考リンク:YUIMA NAKAZATOホームページ

©Gio Staiano

今回初めて、Spiber社製人工構造タンパク質素材へのプリントを実施

中里氏は、コレクションの中で、Brewed Protein™繊維*1を配合した生地を、継続して使用しています。今回、Brewed Protein™繊維*1とコットンの混紡生地に顔料インクでプリントしました。

通常、染料インクを使用するプリント工程では、生地種によってインクの種類を変える必要があります。そのため、混紡生地に使用できるインク種は限られていました。一方、顔料インクは、加熱によりインクを生地に定着させる特徴があり、色々な生地種にプリントすることができます。エプソンは、染料インクに加え、顔料インクを搭載したプリンターと、その前後に必要な処理を含めた技術を開発しており、今回の血管をイメージしたデザインの鮮やかな発色を実現しています。Brewed Protein™繊維*1配合の生地へのプリントは、エプソンでは初めてとなりますが、中里氏が希望する生地に、エプソンのデジタル捺染技術でデザインを再現性高くプリントすることで、衣装表現のバリエーションをさらに拡げることに貢献しました。

中里氏のコメント:
「新しい繊維生地に、どのような表現技法が適しているかデザイナーが見つけることは難しく、チャレンジしたくとも、試していただけない場合もあります。今回はチャレンジ*3が叶い、発色も満足いく結果を出すことができました。このような新しいチャレンジは、技術だけではなく、それを扱う人々の意識と組み合わさり発揮されると考えています。」

Spiber株式会社のコメント:
「これまで、Brewed Protein™繊維*1を採用いただいたブランドが衣服の一部にグラフィックをプリントしたことはありましたが、今回のように、生地全面に総柄をプリントするのは初めての試みでした。この実績は、Brewed Protein™繊維*1採用を検討されているブランドや企業に対して、Spiberから新たな加工表現の提案につながると考えています。」

工場から出る端材を利用し、ドライファイバーテクノロジーで繊維化

前回に引き続き、エプソンはドライファイバーテクノロジー*2の繊維化技術を用いた衣装制作をサポートしています。今回は、資源循環の取り組みに共感いただいた縫製工場から提供された端材を、不織布シートの一部に使用しています。複数の異なる素材から成る混紡生地を繊維化できることが、ドライファイバーテクノロジーの大きな特長のひとつです。

シルクオーガンジー生地のプリント表現を極める

こちらの衣装は、約88mもある極薄のシルクオーガンジー生地に、中里氏がデザインした赤色と黒色のゆるやかなグラデーションをプリントしています。中里氏の繊細で大胆な発想から生まれる衣装デザインは、ショーのラストで観客を大きく魅了しました。

*1 植物由来のバイオマスを原材料に使用した微生物の発酵プロセスにより生産される人工構造タンパク質素材。 Spiber株式会社(取締役兼代表執行役・関山和秀、本社・山形県鶴岡市)が開発・製造を行っており、新たなカテゴリーの素材としても世界的に注目を集めています。なお、Brewed Protein™はSpiber株式会社の登録商標です。

*2 水をほとんど使用せず、多様な素材を繊維化し高機能化し高性能化するエプソン独自の技術。詳細は下記のドライファイバーテクノロジーリンクを参照ください。

*3 顔料インクを使ったBrewed Protein™繊維*1へのプリント。

ドライファイバーテクノロジー