1993年3月 インクジェットプリンタ「MJ-500」

印字方式 オンデマンド型インクジェット
ノズル配列 48ノズル(12ノズル×4列)
解像度 360dpi
印字方向 双方向最短距離印字、ロジックシーキング付き
紙送り方式 フリクション・フィード(フロント・トップ)
電源電圧 AC100V±10%
外径寸法 (W)435×(D)264×(H)154mm
重量 約4.8kg

製品特長

現在の「カラリオ」「マックスアート」にも採用され、当社インクジェットプリンタの高速・高画質プリントを支えている「MACH(Multi-layerACtuatorHead)」テクノロジー。この「MACH」テクノロジーを初めて搭載したのが、インクジェットプリンタ「MJ-500(海外市場ではEpson Stylus 800)」です。

1993年3月、インクジェットプリンタの次世代技術として開発された、この「MACH」テクノロジーは、高出力・高応答性に富んだ積層ピエゾ(Multi-LayerPiezo)ヘッドをアクチュエータとして採用。それまで当社が培ってきた、噴射均一性に優れた「ピエゾ」テクノロジーをさらに進化させ、ページプリンタに匹敵する高品質印字と高速印字を実現したものでした。

この「MACH」テクノロジーの誕生は、プリント出力のより高品質化への要求が高まる中、インクジェットプリンタのイメージを一新する、画期的な進化であったと位置づけることができます。

「MJ-500」は、当社初のパーソナルユース向けインクジェットプリンタで、A4対応モデル。漢字100cps(高品位モード)、ANK150cps(高品位モード)の高速印字を可能にし、さらに、解像度は360dpiとページプリンタに匹敵する高印字品質で、美しく印字することができました。また、取り替え不要のパーマネントヘッドの採用により、インクカートリッジの価格を抑えることができ、低ランニングコストを実現。本体価格も74,800円という普及価格で、インクジェットプリンタをさらに身近にしました。

ほかにも、A4の用紙を最高100枚まで自動給紙できる、フロントローディング対応のオートシートフィーダ、印字表現をより豊かにする、明朝体・ゴシック体・毛筆体の3書体、2種類の縮小モードなど、たくさんの先進機能が搭載されていました。

誕生の背景

インパクトドットプリンタで市場をリードしてきた当社は、1978年頃からすでに静粛性・高解像度へのニーズを満たす「ノンインパクト方式」のプリンタ開発にも着手していました。さまざまな方式を検討する中、成果の一つとして初めてピエゾ素子を使ったオンデマンドインクジェットプリンタ「IP-130K」を発売。しかしこの頃は、他の印字方式のほとんどを並行して研究開発する日々が続きました。その後1988年、ピエゾ方式の改良に力を注ぐことを決断し、本格的な印字ヘッド開発に取り組みます。この開発が飛躍的に進むきっかけとなったのは、積層型ピエゾ素子の利用でした。これにより、駆動電圧の低減に成功し、ヘッド主要部の小型化を実現。これが独自開発の「MACH」テクノロジーの誕生でした。そして1993年3月、この印字ヘッドを搭載した初のインクジェットプリンタ「MJ-500」を市場に送りだしたのでした。

成果と反響

「MJ-500」に搭載された「MACHヘッド」は、他の印字方式とことなりインクを加熱しないため、インク成分の設計自由度が高いと評され、「次世代プリンタ技術」として、市場からカラー化への期待を大きく高めることとなりました。そして、さらなる開発の結果、翌1994年のカラーインクジェットプリンタ「MJ-700V2C(海外市場ではEpson Stylus Color)」の誕生へとつながっていったのです。また、この高精細インクジェットプリンタの開発が高く評価され、1997年3月には「第43回大河内記念生産賞」を受賞しています。

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