1984年6月 インクジェットプリンタ「IP-130K」
印字方式 | オンデマンド型インクジェット方式 |
印字方向 | 双方向最短距離印字(ロジカルシーキング)、 指定時のみ単方向印字(左→右) |
印字ヘッドノズル数 | 24 |
文字種類 | ASCII96文字、グラフィック764文字、 カナ64文字種、JIS漢字第一水準4096文字種、 JIS漢字第二水準3185文字種 |
印字速度 | 漢字70cps、レタークオリティ文字105cps、 普通文字176cps |
用紙 | 単票用紙182〜364mm、 ファンフォールド紙139.7〜406.4mm (オプショントラクタユニット使用時) |
紙送り方式 | フリクションフィード、 紙幅可変トラクタフィード (オプショントラクタフィード使用時) |
外形寸法 | (W)595×(D)383×(H)165mm |
質量 | 約18kg |
標準小売価格 | JIS漢字第一水準機491,000円(発売当時) JIS漢字第二水準機510,000円(発売当時) |
製品特長
1984年6月、ノンインパクトプリンタとして当社で初めて商品化された、インクジェットプリンタ「IP-130K(海外市場ではSQ-2000)」(海外向けモデルは1984年10月発売)。必要な位置にインクを飛ばす「オンデマンド型」インクジェットで、印字ヘッドにピエゾ素子を用いた、現在のEPSONインクジェットプリンタの原型とも言える製品です。当時の漢字インクジェットプリンタとしては、初めて50万円を下回る49万円(漢字JIS第一水準付)という低価格を実現し、静音・高速・鮮明の三要素を備えたビジネス機として、注目を集めました。
この「IP-130K」は、黒インク1色を用いるモノクロプリンタで、カートリッジはオフキャリッジタイプ。また、印字ヘッドは120µm厚のピエゾ素子を用いたガラスヘッドで、ノズル数は24(12×2列で、ノズル位置を交互にずらして配置)でした。まだモノクロのテキスト印刷が主体であり、多ノズルのインクジェットプリンタがない時代にあって、当時としては画期的かつ先駆的なプリンタであったと言えます。
誕生の背景
「MP-80(海外市場ではMX-80)」のヒットによって、ドットマトリクスプリンタ市場で確固たる地位を築いていた当社は、「MP-80」開発当時の1978年頃からすでに、静粛性・高解像度へのニーズを満たす「ノンインパクト方式」のプリンタ開発にも着手していました。さまざまな方式を検討する中で、当社が着目したのが「オンデマンド型」のインクジェットプリンタでした。そして、1982年10月には、独自の目詰まり防止方式を特長とするインクジェットプリンタ「IP-100」(試作品)の開発に成功。これにより、速乾性を持つ特殊インクの利用が可能になり、高速化と印字の鮮明度が向上。ほかにも、24ノズルヘッドを従来の9分の1に小型化し、大幅なコストダウンを実現するなど、商品化に向けた開発は着々と進められていきました。そして、1984年6月、インクジェットプリンタ商品化第1号機「IP-130K」の販売が開始されたのでした。
成果と反響
この「IP-130K」は、その後もPC対応シリーズを発売するなど、ラインナップを拡充させていきました。また、当社はそれ以降も「IP-130K」で採用された「ピエゾ方式」の技術改良を進めていったのです。そして、「IP-130K」の技術的な原理や基本構造は、現在のインクジェットプリンタとも共通部分が多く、そのテクロノジーは今日まで引き継がれています。