1982年12月 テレビ付き腕時計「テレビウオッチ」

消費電力 テレビ視聴時約520mW
電池寿命 単三アルカリ乾電池2本、連続約5時間
レシーバ重量 約140mg(電池および付属品除く)
外形寸法 (W)74.5×(D)19×(H)125mm
表示体 テレビ部・・・FE型(電界効果型)ゲストホスト液晶、1.2インチ(16.8×25.2mm)
時計部・・・FE型ネマチック液晶、4.7×25.00mm

製品特長

「アクティブマトリクス方式」の液晶を搭載した、世界初のテレビ付き腕時計「テレビウオッチ」。その最大のポイントは、従来のデジタルウオッチ用に使われていた液晶を改良・発展させた、動画表示可能な新素材の「アクティブマトリクス液晶パネル」です。当社独自のCMOSLSIを用いた半導体技術と、同じく独自に開発を進めていた液晶技術を組み合せ、駆動・制御回路のすべてをIC化。このうち駆動用LSIは、16.8×25.2mmサイズで、31,920画素が組み込まれ、その画素を1秒間に60回、段階をつけながら明暗制御を行うことができる素子や制御回路を集積したものでした。また、小型化を実現させただけでなく、低消費電力ながら高解像度、受光型のパネルは昼光下でも見やすいなど、優れた特長を持っていました。

また、「テレビウオッチ」は、テレビとしては当時の世界最小・最軽量。最も消費電力の少ないテレビでもあり、単三アルカリ乾電池2本で連続5時間までの視聴が可能でした。テレビの全チャンネルほかラジオのFMステレオ放送も視聴でき、画像表示部、ポケットチューナー部、ヘッドホン部の3体に分かれて構成。もちろん時計としての機能も装備し、時計表示、カレンダー表示、アラーム、ストップウオッチ機能が搭載された、フル機能ウオッチでした。

誕生の背景

1973年、世界初の6桁液晶表示デジタルウオッチ「セイコークオーツLCV.F.A.06LC」を発表した当社は、来るべき画像情報社会に向け、パーソナル携帯機器用の動画表示可能な「アクティブマトリクス液晶パネル」の研究開発を進めていました。そして、創業当時からウオッチの製造で培ってきた、小型化・高密度化・薄型化・省エネルギー化技術を駆使。携帯機器の表示デバイスに適した「アクティブマトリクス液晶パネル」が開発されたのでした。この実用化商品第1弾として1982年6月に開発・発表したのが、世界初となる「テレビウオッチ」だったのです。

成果と反響

「テレビウオッチ」の発表は、新聞・テレビ各社のニュースにて報道され、正確な時刻情報と時刻以外の多彩な情報を表示できる画期的な製品として、国内外の高い関心を集めました。「テレビウオッチ」は、1982年12月にセイコーブランドで発売され、同年の「日経年間優秀製品賞」を受賞し、さらに、「世界一小さいテレビ」として1984年度版のギネスブックにも認定・掲載されました。

そして1983年には、「テレビウオッチ」で得られた技術を活かし、液晶ディスプレイのカラー化に世界で初めて成功。そのカラー液晶ディスプレイを利用した、「カラーポケットテレビ」を世に送り出しています。このテレビウオッチの開発が、当社のアクティブマトリクス液晶の事業展開の出発点なのです。

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