1994年12月 高性能マルチメディア液晶プロジェクター「ELP-3000」
表示方式 | RGB3原色液晶シャッター投影方式 |
液晶パネル | 1.3インチ高温ポリシリコンTFT |
画素数 | 307,200(VGA:640×480)×3枚、 総画素数921,600 |
光源 | 150Wメタルハライドランプ |
光学装置 | ダイクロイックミラーによる光分解、 ダイクロイックプリズムによる光合成方式 |
画面サイズ | 21〜300インチ |
色再現性 | 1677万色フルカラー |
明るさ | 40インチ時500ルクス、250lm |
外形寸法 | (W)285×(D)413×(H)149mm (レンズ含む) |
消費電力 | 220W |
質量 | 7.7kg |
製品特長
当社の優れたデバイスと「省・小・精の技術」が生みだした、高性能マルチメディア液晶プロジェクター「ELP-3000(欧州、東南アジア市場ではEMP-3000)」。持ち運びできる小型で7.7kgという軽量とともに、「明るさ3倍・解像度VGA」を実現し、データプロジェクターという新市場の、先駆的な商品となりました。
画質の決め手となる液晶パネルには、新たに当社で開発された1.3インチ、30万7,000画素の「高温ポリシリコンTFT」を採用。高い開口率を実現し、暗室を使用しなくても明るく美しい画像・映像を投影することができました。また、長年培ってきた光学技術を駆使し、電力(光源)を効率よく利用することに成功。他社プロジェクターに比べ、サイズも電力も小さなランプを使用しながら、従来比3倍の明るさを達成したのです。さらに、ランプの電力が小さくなったおかげで、発熱を抑えることが可能に。その結果、冷却ファンの騒音も抑えることができました。
また「ELP-3000」は、PCやビデオと接続するためのコンバータやアダプタを不要とし、ケーブル1本で簡単に接続可能。DOS/V、Macintosh、NEC-98系などの各種PCやNTSC、PAL、SECAMなどのビデオ信号を自動判別する機能を備えており、PCとの双方向操作が可能といった、データプロジェクターらしい使いやすい設計となっていました。
誕生の背景
プロジェクターの研究・開発は1980年代半ば、ポケットTV用に開発された高画質の「ポリシリコンTFT液晶パネル」の応用から始まりました。1989年には、世界初の液晶プロジェクター「VPJ-700」を発表。その後、ビデオ系のプロジェクター開発を続けましたが、厳しい状況が続きました。そうした中、当社は1992年、PCを利用したプレゼンテーション用途に着目。データプロジェクターの開発に照準を当て、完成品事業部門と液晶表示体事業部門の協力体制を築き、液晶表示体・微細加工の技術を結集しました。そして1994年12月、ついにこの「ELP-3000」が発売されたのでした。
成果と反響
小型・軽量化に加え、明るさ3倍を実現した「ELP-3000シリーズ」は、プロジェクター市場の先駆的な商品として、高く評価されました。1997年には「第10回中日産業技術賞」において、最高位の「通商産業大臣賞」を受賞。また1998年には、全国発明表彰の特別賞「朝日新聞発明賞」を受賞しました。この「ELP-3000」の誕生をきっかけに、当社のプロジェクタービジネス、そして、その基幹デバイスとなる高温ポリシリコンTFT液晶パネルビジネスはともに牽引し合い、相乗効果によって躍進を遂げたのでした。