1989年1月 液晶ビデオプロジェクター「VPJ-700」
液晶パネル | 駆動回路内蔵ポリシリコン TFTアクティブマトリクスパネル(1.27インチ)3枚 |
表示 | フルカラー |
画素数 | 70,400(横320×縦220) |
投射範囲 | 画面サイズ最大100インチ |
コントラスト | 100:1以上 |
明るさ | 100lm相当 |
解像度 | 水平230TV本、垂直220TV本 |
ランプ | 高輝度ハロゲンランプAC100V300W |
外形寸法 | (W)420×(D)266×(H)125mm |
質量 | 約7.6kg |
消費電力 | 350W |
標準小売価格 | 480,000円(発売当時) |
製品特長
1989年1月、世界に先駆けて発売された、小型フルカラー液晶ビデオプロジェクター「VPJ-700」。それまでのCRTに代わり、液晶パネルを使用したプロジェクターとして、液晶ディスプレイの新たなる用途を世に提案した製品です。
この「VPJ-700」は、駆動回路内蔵のポリシリコンTFT技術と独自開発の光学技術により完成した、小型・軽量な色合成投写光学システム。パネルの小型化とダイクロイッククロスプリズムの採用で、投射光学系を小型化するとともに、小型で交換容易かつ安価な高輝度ハロゲンランプを採用し、本体サイズをAVプレーヤー並みにコンパクト化することに成功しました。
70,400画素の高密度1.27インチ液晶パネルを3枚使用し、鮮明かつ高画質な色表現を実現。また、設置位置を変えることにより、100インチまでスクリーンサイズが自由に選択可能。投写距離に合わせての色ズレ合わせの調整も不要で、明るさ・色合い・色の濃さの調整用ボリュームを使い、最適な画質が簡単に得られる工夫がされていました。従来のプロジェクターと違い、地磁気等の影響も受けないという特長も魅力でした。
さらに、ビデオ入力端子、セパレートYC信号入力端子、アナログRGB入力端子を装備し、多様な機器との接続が可能。電子フォーカス機能を搭載しており、フォーカス調整もワンタッチで行うことができました。
誕生の背景
1973年に、世界初の6桁液晶表示デジタルウオッチ「セイコークオーツLCV.F.A.06LC」を発表した当社は、その後、動画表示が可能なアクティブマトリクス液晶パネルの開発を推進。モノクロテレビウオッチ、ポケットカラーテレビなど、世界初となる画期的な製品を、次々と世へ送り出していきました。そうした中、VTRやVTR用ビデオカメラ等の普及が急速に進み、本格的なAV時代が到来。当社は液晶ディスプレイの新たな用途としてAV機器の一つであるプロジェクターに着目しました。そして、およそ3年をかけて開発に取り組み、1989年1月、液晶ディスプレイの新たな提案商品として、液晶ビデオプロジェクター「VPJ-700」は誕生したのでした。
成果と反響
「VPJ-700」の発売により、当社は映像機器分野においても、液晶技術と光学技術を核とした商品開発で注目されるようになりました。そして、1989年3月には、液晶テレビと液晶プロジェクターを柱とした「映像機器事業部」を設立。その後も当社液晶プロジェクターは、マルチメディア時代のプレゼンテーションツールとしてデータプロジェクターという新しい市場を拓き、トップメーカーとして業界を牽引しています。