Actions for Environmental Vision:
100%再エネ電力で支えるエプソンのものづくり

エプソンが目指す2050年カーボンマイナス*1。その目標の達成には、まず自社製品の生産に伴う温室効果ガス(以下GHG)の排出量を削減することが重要です。エプソンでは、世界中の全拠点で電力の100%再生可能エネルギー化を実現*2 し、再エネ電力で稼働する工場から製品をお届けしています。そして今後は、自社での取り組みだけでなく、パートナーとともに環境負荷低減に取り組みたいと考えています。「社会が求めている、低環境負荷という価値も有する製品・サービスをお客様にお届けしたい」それがエプソンの想いです。

電力の再エネ化への挑戦

天竜川水系 与田切川

2017年度、エプソングループが自社での製造で排出するGHG*3の77%は電力使用によるものでした。その電力使用量の約6割を日本国内が占めています。そこで、まず国内で消費される電力を、再エネ由来の電力に転換することから着手しました。しかし、当時、日本での再エネ電力の供給量は、現在よりもさらに限られており、大量の電力を使用して工場を稼働させる必要がある製造業にとって、その電力を再エネに切り替えることは非常に難しいとされていました。

そのような中、創業の地である長野県の自然環境を活用するアイデアが浮上します。「長野県は多くの河川を有している。この豊かな水資源を用いる水力発電を利用すれば、長野にある拠点の使用電力を再エネで賄えるのではないか」。そのアイデアを実現すべく、まだ電力会社にも再エネとして販売する電力メニュー(電力の環境価値を切り出す仕組み)がなかった頃に、再エネ化に向けた取り組みが始動。

まずは生産拠点の多くを有する長野・東北エリアにて、電力会社との交渉が始まりました。電力会社側の環境整備を後押しするため、中長期的にまとまった量の再エネ電力を購入する意思を示した上で、何年にもわたる協議を行い、再エネ由来の電気を購入する仕組みが完成。段階的に使用量を拡大し、再エネ電力契約が難しい拠点での電力証書の活用もあわせ、2021年11月には、国内すべての拠点で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替えまし*2

エプソングループ全体でのGHG排出量のグラフ

地域の特性にあった再エネ化へ

フィリピン 地熱発電
撮影地: マクバン発電所(アボイティスパワー)
インドネシア バイオマス混焼発電 (椰子殻などを利用) 
撮影地: バベラン発電所(チカランリストリンド)

国内の再エネ化と並行して、日本以外の拠点でも再エネ化は推進していきました。中には再エネ電力の量が非常に限られ高額となる地域や、国産の再エネ電力の入手が困難な地域もありましたが、エプソンは再エネ化を推進する際、可能な限りエネルギーの地産地消に取り組んできました。

エネルギーの地産地消には、輸送費用の削減、雇用の創出、環境問題に対する意識の向上、ほかにもさまざまなメリットがあり、脱炭素化と地域経済の成長に向けた非常に重要な戦略であるためです。

こうした考えのもと、フィリピンの拠点では地熱や水力を、インドネシアの拠点ではバイオマス(椰子殻)を活用するなど、地域の特性に応じた再生可能エネルギーの導入を実現しています。

すべての拠点で電力の100%再エネ化*2を達成

Epson Precision (Philippines), Inc.
再エネ電力を活用した生産工場で製造されたエプソン製品

2021年3月、エプソンは2050年カーボンマイナスへの決意を表明し、同時に「グループ全拠点で使用する、すべての電力を再エネに転換する」ことを宣言。段階的に推進した結果、その宣言からわずか2年10ヶ月後の2023年12月、エプソングループ全拠点使用電力の再エネ*2を達成しました。年間総使用電力量約876GWh*6に対し、およそ40万トンにもおよぶGHGの削減効果を生み出しています。これによってエプソンは、使用電力をすべて再エネでまかなう工場から製品をお届けできるようになりました。

パートナーと共に目指す持続可能な社会

エプソンはパートナーとともに環境ビジョンの達成に向けて着実に歩みを進めています。

グローバル拠点での再エネ100%転換達成。この一歩を踏み出した私たちは、持続可能な社会の実現への想いを同じくする「仲間」作りに取り組み始めました。それは、GHG排出量削減にはバリューチェーン全体を考える必要があるからです。自社が直接排出するGHG排出量(スコープ1*4)や、自社の電力使用によるGHG排出量(スコープ2*5)よりも、自社以外で発生する間接的なGHG排出量(スコープ3*7)がはるかに大きく、カーボンマイナスの達成には自社の取り組みだけでは不十分で、サプライヤーの協力が不可欠だからです。

私たちエプソンは、自社の取り組みの経験を踏まえサプライヤーにおける脱炭素化を支援したいと考えています。志を同じくするパートナーを増やし、共に取り組むことで、「持続可能な社会の実現」の可能性を開けると信じて、この歩みを進めていきます。

*1 環境の方針・ビジョンについてはこちら

*2 一部、販売拠点などの電力量が特定できない賃借物件は除く

*3 スコープ1*4 、2*5

*4 事業者の燃料などの使用による直接排出

*5 電力などのエネルギー起源の間接排出

*6 2022年度実績、CGS(コージェネレーションシステム)発電および自家発電分の電力を含む

*7 自社バリューチェーン全体からの間接的な排出

その他の取り組み

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