事業内容/技術領域
エプソンのデバイス事業の歴史
エプソンのデバイス事業(水晶、半導体)は、クオーツウォッチ用デバイスの自社開発を起源として、様々な用途に向けて事業を拡大させる中で、一貫して「省・小・精の技術」を育んできました。
地球の神秘なる贈り物に「省・小・精の技術」を吹き込む
人工水晶と水晶デバイス
天然の水晶は、地球が何万年もの年月をかけて結晶化した神秘的かつきらびやかな形状を持つ鉱石です。この水晶には、圧力を加えると電圧が発生する圧電現象という物理的性質があり、この特性を利用して周波数の基準信号を作ったり、あるいは周波数を選択するデバイスを作ることができます。近年では、各種のセンサーなどに用途が広がり、電子機器の発達と共にその機能も大幅に進歩してきました。しかし、天然水晶は観賞用としては非常に魅力的であるものの、不純物が多く、このような電子デバイスとして使用するには不向きです。
宮崎エプソンでは、世界最大級となるオートクレーブと呼ばれる人工水晶育成炉を備え、4~6ヶ月かけて高純度な水晶原石を育成しています。この人工水晶は、三方晶系という単結晶であるため、結晶軸に対して所定の形状や角度で切りだすことにより、様々な機能の水晶デバイスを作ることができます。
水晶デバイスの一つである音叉型水晶振動子は、クオーツウオッチと共に進化し、スマートフォンなどの携帯機器の発展と共に小型化が進みました。当社での高品質な人工水晶による超小型の水晶デバイスの生産が、エプソン水晶製品の安定供給を支えています。
QMEMSが実現する超小型・高精度加工技術
独自の技術を導入した水晶素子製造ライン
水晶素子の製造方法には機械加工により形状を作り出す方法とフォトリソグラフィ技術を用いて行う方法があり、宮崎エプソンでは、フォトリソグラフィ技術を用いています。清浄度管理されたクリーンルームで1辺が1mm以下の非常に微細な水晶素子を、エプソン独自の生産技術であるQMEMSを導入した最新の内作装置で製造しています。
■QMEMS (Quartz Micro Electro Mechanical Systems)
高安定・高精度のすぐれた特性を持つ水晶素材「QUARTZ」と、微細加工技術「MEMS」を組み合わせた言葉です。
※QMEMSは、セイコーエプソン(株)の登録商標です。
高精度水晶発振器の製造
高精度水晶発振器の製造
高精度水晶発振器は、スマートフォンなどの通信基地局の基準信号として重要な役割を果たす製品です。宮崎エプソンでは、人工水晶の育成から発振器の完成まで一貫した製品製造を担当しています。
微小なプリント基板の上には、数十種類の電子パーツの他に、セイコーエプソングループで生産するICと当社が生産する水晶振動子が実装され、機能検査などを経て高精度水晶発振器として市場に出荷されています。