2010年3月 インタラクティブ機能付き超短焦点の壁掛け専用プロジェクター「EB-460T」

EB-460T

表示方式 3LCD方式
液晶パネル 0.63型ポリシリコンTFT液晶パネル
画素数 1024×768×3枚
光源 230W UHE
色再現性 1677万色フルカラー
明るさ 3000lm
外形寸法 (W)369×(D)481×(H)115mm
消費電力 363W(ノーマル)
質量 約5.8kg(金具類含まず)
インタラクティブ機能 内蔵(イメージセンサー方式)

製品特長

この商品は、超短焦点性能と、プロジェクター本体にインタラクティブ機能を内蔵していることが最も大きな特長です。壁に専用金具で取り付けると、スクリーンのほぼ真上から投写することができ、最大画面投写時(102型)の場合のプロジェクター本体から投写面までの距離はわずか36.9cmしか必要ありません。そのため、スクリーン前方からの投写と違って、投写面の前に立つ人がプロジェクターのまぶしい光にさらされたり、その人の影が投写面に写ったりすることも少なくなります。

また、「Easy Interactive Function」機能が搭載されており、インタラクティブホワイトボード※1(以下IWB)がなくても、普通の黒板や壁などでインタラクティブ機能を使うことができます。つまり、付属の電子ペンを用いて、プロジェクターの映像投写面上でPCの操作を行ったり、投写されたPC画面に直接文字や図形を書き込み、その文字や図形をPCに保存したりすることができる※2のです。 さらには、昼間の学校や会議室で使う際に、その都度カーテンを閉めたり、照明を落としたりする必要のないよう3000ルーメンの明るさを備え、さらに音声を使った授業やプレゼンテーションも可能な10Wスピーカーを搭載するなど、教育向けプロジェクターとしての基本性能も充実しています。

※1 投写面上でのPC画面操作、書き込みおよび操作・描画情報をPCと相互利用できる電子黒板

※2 電子ペンで書き込むためには、専用アプリケーションソフト「Easy Interactive Tools」が必要です

誕生の背景

2000年代に入ると、欧米を中心に、より効率的で充実した教育を行うために、高等教育機関のみならず初等・中等教育機関でもICT※3化が推進されるようになりました。PCやネットワーク環境が整備され、さらにプロジェクターも各教室に設置され始めました。このICT化の動きは、徐々に他の国・地域にも波及していき、それにともなって、導入される機器も進化していきました。

プロジェクターに関しては、大画面で情報を表示することにより生徒の集中力や理解度を向上させる効果があるとして、政府の教育政策として全学校に導入する国もあるほど、教育現場で高く評価されました。またIWBとセットで使われることで、投写面で表示情報を操作したり、書き込んだりすることができることから、その利用価値は一層高まりました。一方でこのインタラクティブ環境を構築するには、IWBとプロジェクターの両方を整備する費用がかかるため、普及の妨げとなっていました。そこで、専用のボードがなくても、既存の黒板やホワイトボードを使いながらインタラクティブ環境を構築できるよう、“プロジェクターそのものにインタラクティブ機能を搭載する”という発想の転換によって誕生したのが「EB-460T」なのです。

※3 Information and Communication Technology/情報通信技術

成果と反響

インタラクティブ機能付き超単焦点プロジェクター「EB-460T」の登場によって、教育関係者にとっては、教室のインタラクティブ環境を構築する方法の選択肢が広がることになりました。そして、利用時に人の影ができにくい/プロジェクターの光が目に入りにくいという投写性能と、特別なボードがなくてもインタラクティブ環境を実現可能という2つの特長、さらには画質やインタラクティブペンの位置検出精度の高さや描画スピードの速さなどが高く評価され、教育市場に導入されていきました。またこれらの特長は、企業における会議・プレゼンテーション用途としても注目され、活用され始めました。

一方、この商品が好評を博したことによって「インタラクティブプロジェクター」というコンセプトが認知され、他のプロジェクターメーカーからもインタラクティブ機能を搭載した短焦点・超短焦点プロジェクターが商品化されていきました。エプソンは、このインタラクティブプロジェクター市場で50%以上のシェアを獲得し、教育市場におけるエプソンブランドのプレゼンスを大幅に向上させました。

また、従来のIWB市場のプレーヤーにプロジェクターメーカー各社が加わったことで、市場構造の変化にもつながりました。

この、超短焦点インタラクティブ機能付きプロジェクターのコンセプトはその後の商品にも引き継がれています。常設の壁掛け設置だけでなく、デスクトップ投写やテーブルの天板上への投写を可能にし、利用シーンを拡大するとともに、インタラクティブ機能についても2人での書き込みを可能にする、PCが接続されていなくても書画カメラの投写画面などに書き込みができる機能※4を搭載する、などエプソンのインタラクティブプロジェクターはさらに進化し続けています。

※4 PCレス電子黒板機能

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