2000年5月 大判インクジェットプリンタ「MC-9000」
印字方式 | フォトマッハジェット方式 |
解像度 | 1440dpi×720dpi、720dpi×720dpi、720dpi×360dpi、360dpi×360dpi |
ノズル配列 | 黒64ノズル、カラー320ノズル(64ノズル×5色) |
インク | 顔料タイプインクカートリッジ6色 |
用紙サイズ | A3縦〜B0ノビ(0.5mm以上の厚紙はB1横まで) |
電源電圧 | AC90〜110V 50〜60MHz |
消費電力 | 100W以下(動作時)30W以下(待機時) |
外形寸法 | (W)1,688×(D)699×(H)1,259mm |
重量 | 約96kg(脚部含む) |
製品特長
新開発「ミュークリスタ・テクノロジー」の採用により、超写真高画質ながら約200年という優れた耐光性を実現した、6色顔料インク搭載、B0ノビ対応の大判インクジェットプリンタ「MC-9000」は、それまで染料インクジェットプリンタの弱点とされてきた耐光性の問題を克服し、幅広い分野で活躍できる革新的な大判プリンタでした。
「ミュークリスタ・インク」は、極めて光に強い性質の色材を採用し、約200年の耐光性加速試験をクリア。インク粒子を約0.1ミクロンまで微粒子化し、均一化することにより、鮮やかで豊かな色彩表現を可能としました。また、透明な樹脂でカプセル化されたインク粒子は、紙に付着すると色材を包む樹脂が徐々に皮膜化し、表面を滑らかにコーティング。これにより、光の乱反射を押さえ、それまで顔料インクでは難しいとされていた光沢系メディアにも、印刷できるようになりました。
ほかにも、カートリッジ交換の手間を最小限に抑え、低ランニングコストを実現する大容量220mlの独立インクカーリッジをはじめ、ハイスピード印刷を可能にする各色64ノズルのヘッドや高速ASICなど、プロユースならではのハイスペックが搭載されていました。
誕生の背景
当時、高解像度が求められるプロのグラフィックに対応するプリンタは、価格が1千万円以上し、簡単に購入できる状況ではありませんでした。そこで当社は、比較的安価で導入できる高画質な大判プリンタのニーズがあると確信。コンシューマ向けプリンタで培った高解像度インクジェット技術をもとに、1996年頃から大判プリンタの開発に着手。幅広の用紙を正確に搬送するための紙送り機構や固定式の大容量インクタンクの開発、業務用としての高い使用頻度に耐え得る耐久性と信頼性の確保といった課題をクリアし、1998年12月、1440×720dpiでB0ノビサイズを実現する染料インクのラージフォーマットプリンタ「PM-9000C」を市場に投入しました。その後も大判プリンタのさらなる改良は進み、耐光性・耐ガス性・耐水性に優れた「MCシリーズ」が誕生したのです。当社は2000年5月にドイツで開催された、世界最大の印刷業界展示会「Drupa」をこの新商品発表の場として選び、世界から集まったジャーナリストや業界関係者の注目を集めました。さらに、国内では同年6月に発表、8月に発売されました。
成果と反響
この「MCシリーズ」誕生後は、高画質による多彩な表現力に、保存性が加わったことにより、特にグラフィック、ファインアート、ポスターなどの分野で活躍。大判プリンタの用途を急速に拡大していきました。また、この「MCシリーズ」に搭載された「ミュークリスタ・テクノロジー」は、後の「PXインクテクノロジー」の誕生に、大きな影響を与えています。