1994年4月 ICテストハンドラ「HM-3000」
インデックスタイム | 1.3秒 |
スループット | 最大3000個/時間 (1個測定時2400個/時) |
同時測定個数 | 1、2、3個 |
対象デバイス | 70mm角までのチップ対応 |
測定温度環境 | 常温〜130℃ |
外形寸法 | (W)1280×(D)1800×(H)1880mm |
重量 | 約1t |
製品特長
当社のロボット技術を結集し1994年4月に発売された、ICテストハンドラ「HM-3000」。高速・高精度を実現したこの汎用ICハンドラ「HM-3000」は、トレイ荷姿の表面実装型多ピンICを対象に開発された、多品種対応のフレキシブルハンドラで、海外市場展開を狙って発売されました。 ICテストハンドラは、ICの製造後工程でパッケージングされ完成したICを、ロボットを使ってテスター(試験機)にセットし、電気的特性や外観などの最終性能試験を行い、その検査結果に基づき良品、不良品など数段階に分類する装置です。
「HM-3000」は、すでに国内向けに発売していたICハンドラ「MTH-1800」のコンセプトを踏襲し、IC供給部、測定部、分類・回収部の3工程を独立ユニット化し、個別のロボットとして制御。インデックスタイムは1.3秒、70mm角サイズまでのチップを1〜3個同時測定可能。また、当時米国メーカーで主流だった1個測定の場合のスループットは、これまで市場に出ていたハンドラより約30%向上され、2400個/時、と高い性能を誇りました。この高速スループットを支えたのは、当社がロボット開発で培ってきた、1台のコントローラで複数大のロボットを制御できる「分散制御(マルチタスクコントローラ)技術」。他社製品ではシーケンスコントローラが主流だった中で、自社開発のマルチタスクコントローラ「SRC-200」を搭載し、効率の良い制御を実現しました。
また、精密組立ロボット開発で培った、ロボットの繰り返し精度の高さも強みでした。さらに、CRTとトラックボール操作による操作が可能であったり、オンラインヘルプ機能を備えていたりと、使いやすさにも配慮されていました。
誕生の背景
ロボットの外販を初めて間もない1984年、あるメーカーからの要望をきっかけに、当社のスカラ型ロボットの技術を活かしたICハンドラを製造しました。これがICハンドラ事業の原点です。その後しばらくは、特注生産品としてICハンドラを製造・販売してきましたが、80年代後半になると、「共通仕様モデルを開発してICハンドラをスカラ型ロボットに次ぐロボット事業の柱としたい」という声が高まりました。そこで、これまでのお客様からのニーズを洗い出して、共通仕様として集大成。さらにスループット向上のため、これまで1台のロボットによる作業を3つの工程に分けてユニットとして独立させ、初の汎用ICハンドラ「MTH-1800」を開発、国内で販売を開始しました。この「MTH-1800」をベースに、ICハンドラ事業をさらにグローバル展開すべく開発されたのが、米国で当時スタンダードだった1個測定時のスループットを飛躍的に高めた「HM-3000」でした。
成果と反響
このICハンドラ「HM-3000」は、ロボットで培ったサーボ技術、コントローラ技術の応用によって、スループットで競合他社製品を圧倒。当時、アメリカで台頭し始めたファブレスメーカーに標準ICハンドラとして広く採用されました。これがきっかけとなり、1995頃からは台湾のテストハウスに向けても着実に納入実績を上げ、当社のICハンドラは、台湾におけるロジックテストの分野でNo.1となる80%シェアを獲得しました。この「HM-3000」の海外へのビジネス進出が、ICハンドラ事業拡大のトリガーとなり、その後ICハンドラもさらなるスループットの向上、チップ形状の多様化によるフレキシビリティの向上、Windowsベースのコントローラ開発による使いやすさの向上などによって商品力を高め、半導体市場の成長とともに順調に発展したのです。