1983年5月 水平多関節型精密組立用ロボット「SSR-Hシリーズ」

繰り返し精度 ±0.015mm(モデルSSR-H253-H)
最大動作速度 2000mm/sec(モデルSSR-H414) *8段階の速度選択可能

ロボットプログラミング・ティーチング言語「SPEL」搭載

製品特長

当社FA(Factory Automation)機器事業の第1号機として1983年5月に発売された、水平多関節型(スカラ型)精密組立用ロボット「SSR-Hシリーズ」。ウオッチ・プリンタ・チップ部品実装など、各種精密機器の組立に活躍したこの産業用ロボットは、ウオッチ生産機械の精密工作技術やPC事業のエレクトロニクス技術、ウオッチの組立自動化で培われたノウハウなどを結集して開発されました。このシリーズの特長としては、現状の組立ラインにスムーズに導入できる「コンパクトサイズ」、位置繰り返し精度が標準タイプで±30µm、高精度タイプで±15µmという「高精度」、最大動作スピード2m/秒という「高速性能」などが挙げられ、それらは当時の他社水準をはるかに超える、優れたものでした。

また、ロボットに動作順序・位置を教えるティーチング/プログラミング装置のハードウェアには、当社ハンドヘルドコンピュータ「HC-20」を採用。他社機の数分の1というダウンサイジングの成功に一役買っていました。他にも、組立用としてBASICに準拠した独自開発のロボット言語「SPEL」や、トラブルを未然に防ぐために備えられたシステムプログラムチェック機能、電源異常・漏電・オーバーラン・断線などの検出機能といった、数々の優れた「自己診断・安全機能」を搭載し、使いやすさと相まって非常に大きな反響を呼びました。

誕生の背景

当社のFA機器事業は、社内の製造効率化を実現する「ウオッチ自動組立ロボット」の開発をめざして、1981年に「ロボット開発プロジェクト」が設置されたことに端を発します。1980年代初めの社会は、多品種少量生産の時代を迎えており、産業用ロボットを中核にしたフレキシブル生産システム化、つまり生産量・生産品目の変化に対して柔軟に対応できる高効率生産システムの構築が注目されていました。こうして1983年に誕生したのが、4つの同時制御サーボ軸(モータで制御可能な軸)を持ち、ソフトウェアで動作変更ができる、水平多関節型(スカラ型)の精密組立用ロボット「SSR-Hシリーズ」だったのです。

成果と反響

スカラ型ロボットは好評をもって市場に受け入れられ、順調に販売台数を伸ばしていきました。発売の翌年には、このスカラ型ロボットシリーズを搭載した、ウオッチ自動組立ライン「TAF-Mライン」が社内で稼働。これが1986年「日経優秀先端事業所賞FA賞」を受賞するとともに、その後もウオッチ事業部において多品種少量生産に応えるラインとして活躍していきました。

この「SSR-Hシリーズ」の発売をきっかけに、当社のFA機器事業が本格化。スカラロボットは部品供給材装置・コンベヤ・ハンド・通信ソフトウェア・周辺コントローラなどを組み合わせたFAシステムとして構築され、自動車・バイオテクノロジー・電子・医療・光学・通信業界における生産装置として幅広く使用され、当社は小型・高精度スカラロボットのリーディングメーカーとなったのです。

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