1963年9月 電子記録システム「プリンティングタイマー」
精度 | 2×10-6以内 |
読取精度 | 0.002sec以内 |
連続印字範囲 | 9H59min59sec99 |
連続印字間隔 | 0.02sec |
入力端子 | スタート、ゴール |
出力端子 | 写真判定装置用1、観衆用大時計用1 |
電源 | A.C.100VD.C.12V(10時間) |
製品特長
時間計測機構(タイムカウンター)と時刻印刷機構(プリント機構)をひとつに組み合わせた、スポーツ競技用の電子記録システム「プリンティングタイマー」。ピストル・光電管・写真判定機などと連動し、スタートからゴールまでの記録を自動的に計測。またその記録の印字も同時に行えるという、当時では画期的な装置でした。陸上競技や漕艇、馬術、水泳、自転車など、主として肉眼やストップウオッチでは判定しにくい競技において、数々の偉大な記録を刻みました。
当社が開発に携わったI型では、タイムカウンターに高精度の水晶時計を採用。水晶発振器からの時間信号により、スタート時から機械式カウンターが回転、ラップ・ゴール時に電磁ハンマーが作動し、プリント機構が1/100秒から1時間桁まで着順・コース・回数(ラップ)などとともに、内蔵ロールペーパー(巻取紙)へ記録するという方式でした。記録紙の表示は、はじめの3桁が記録の回数を示し、次の数字から、時・分・秒・1/10秒・1/100秒を表示。その右に印刷される「点」を用いて、1/1000秒台を目測することもできました。また、これらの装置は観衆用の大時計と連動することも可能。国内外の競技大会において、その実力を遺憾なく発揮しました。当初、タイムカウンターおよびプリント機構の違いにより、「I型」「II型」などと区別して制作されたプリンティングタイマーは、その後も「III型」「IV型」「V型」「VI型」と、さまざまな競技の特性に対応し、進化を遂げていきました。
誕生の背景
アジアで初めての開催となる、東京オリンピックの計時支援を決意したセイコーは、“これまでの計時装置より一歩進んだものを”をスローガンに、一丸となって新製品の開発に着手しました。プリンティングタイマーの開発は、精工舎、第二精工舎と、当時セイコーグループの一員だった諏訪精工舎(現:セイコーエプソン)が共同担当。国内はもちろんのこと、海外における競技大会に技術者を派遣するなど、その研究・開発に総力を挙げて取り組みました。競技内容およびルールなど実際に体得した知識を活かしながら、それまで培ってきた技術を結集。1963年9月、このプリンティングタイマーが完成したのです。
成果と反響
その後も、さまざまな競技の特性に合わせたプリンティングタイマーが開発され、タイ・バンコクで開催されたアジア競技大会をはじめ、ヨーロッパ陸上選手権、ユニバーシアード東京大会など、世界各地の競技大会で高い評価を獲得しました。そして、このプリンティングタイマーの開発が、EPSONの名の由来ともなった小型軽量のデジタルプリンタ「EP-101」を生みだす契機となったのです。