YUIMA NAKAZATOと創るファッションの未来

2024年1月にフランスで行われた、パリオートクチュールファッションウィーク2024年春夏コレクションにて、エプソンはYUIMA NAKAZATOの新コレクション「UTAKATA」の衣装制作の一部をサポートしました。
本コレクションにおいて、エプソンのデジタル捺染機による衣装プリント、ドライファイバーテクノロジー*1による使用済み衣服を用いた不織布の作成とその生地へのプリントにおいて、当社の技術が活用されています。

デジタル捺染プリントおよびドライファイバーテクノロジー*1による不織布を使用した衣装一覧

©Gio Staiano

中里氏が求めるプリント表現と品質の追求

新作コレクションでは、主にシルクオーガンジー生地へ、エプソンのデジタル捺染機「Monna Lisa」を用いてプリントを行いました。従来のコレクションでは、青や赤、色鮮やかなデザインが中心でしたが、今回はモノクロ基調の衣装を多く制作しました。写真をもとにしたグラフィックデータをシルクオーガンジー生地に、デジタルプリントならではの絶妙なグラデーションで再現。従来のプリント表現とは趣が異なる仕上がりとなっています。プリントの一部には、2023年6月にITMAで発表したデジタル捺染機「ML-13000」(プロトタイプ) を使用し、プリント後も生地本来のしなやかさを保てる仕上がりを追求しました。

本コレクションはスイスのGrand Theater Geneveにて公開のオペラ「IDOMENEO」(イドメネオ)と公式に連動しています。(IDOMENEOは、モーツァルトが1781年に作曲したオペラ)。ギリシャ共和国・クレタ島を訪れた中里氏は、その地域の歴史に思いを馳せ、道中に出会った古代遺跡から出土した甲冑の美しさに目を奪われ、今回のデザインのインスピレーションを得ました。コレクションテーマは、「儚い(はかない)」を意味する「泡沫(うたかた)」。そこに込めた中里氏の想いを再現できるようなプリントを追求しました。

参考リンク:YUIMA NAKAZATOホームページ

©Gio Staiano

©Gio Staiano

不織布の作成とデジタル捺染

今回のコレクションでも不織布シートを作成し衣装に使用。これまでの黒ベースの混合素材に対し、本コレクションではコットン100%の単一素材で、素材を色分けし、カーキとベージュの不織布シートを作成。さらにその表面にはMonna Lisaの顔料インクでプリントを施しています。

不織布シートの改良を進める中、YUIMA NAKAZATOでは、ロープや紐を通すための補強金具として採用されるハトメ加工やステッチを施すことにより、生地の補強や、デザイン性の向上を図りました。
本取り組みは実験段階ですが、パートナーシップ活動の中で、エプソンのドライファイバーテクノロジー*1やデジタル捺染の技術と中里氏のクリエーションを融合した作品を今後も発信していきます。

©Gio Staiano

*1 水をほとんど使用せず、多様な素材を繊維化し高機能化し高性能化するエプソン独自の技術。詳細はこちらをご確認ください。

ドライファイバーテクノロジー