2009年10月 電子ビューファインダー向け高温ポリシリコンTFTカラー液晶パネル「ULTIMICRONシリーズ」
液晶方式 | TN型有機配向 |
カラー表示方式 | カラーフィルター(RGBストライプ) |
有効画素数 | 800×RGB×600(SVGA) |
画面サイズ(対角) | 0.47型(1.2cm) |
画素ピッチ | 12(4×RGB)µm×12µm |
色域 | SRGBカバー率 92% |
コントラスト | 280:1 |
バックライト | 有 |
表面輝度 | 460cd/m² |
表示色 | 約1677万色 |
製品特長
ミドルからハイエンド向けデジタル一眼カメラの電子ビューファインダー(EVF)を主な用途とした、1枚で高精細・フルカラーの表示ができる高温ポリシリコン(HTPS)TFT液晶パネル「ULTIMICRON(アルティミクロン)」シリーズ。
デジタルカメラのビューファインダーには、EVFと光学式(OVF)があり、EVFには、カメラ本体の小型・軽量化や使い勝手の向上に貢献するメリットがありながら、OVFを代替できるような精細さ、ピントを確認できる微細さを持ったEVFはそれまで世の中に存在していませんでした。エプソンは高度な微細化技術を用いて、カラーフィルターの画素をRGBごとに4×12µmのストライプ状に配列することで、1677万もの豊かな色数と粒状感のない精細な画像の表示ができる液晶パネル「ULTIMICRON」の開発・量産に成功、カメラ業界にこの液晶パネルを搭載した高精細EVFという新しいビューファインダーの選択肢を提示しました。
「ULTIMICRON」は液晶パネルをアナログ駆動するため、デジタル駆動にはない滑らかな階調表現や、写真表現で重要となる自然なボケ味を出すことができます。さらに、カラーフィルター方式によるカラー表示のため、一般的なEVFに採用されている色順次方式にみられるカラーブレークアップ現象が発生せず、動きの早い被写体や流し撮りの際も、自然で美しい画像を表示することが可能です。
誕生の背景
デジタルカメラの普及にともない、撮像素子の高解像度化や色域の拡大といった技術面での競争と、コストパフォーマンスの高さを追求する価格競争が激化するなか、コンパクト機から一眼機へ買い替えや買い増しをするユーザーも増加し、カメラメーカーには、高性能・高画質でありながら小型・薄型で扱いやすい商品が求められるようになりました。
こうした市場のニーズに対応するために、20年以上におよぶプロジェクター用液晶パネルの製造で培ってきたHTPS製造技術、微細カラーフィルター製造技術、液晶最適化技術、高精度加工技術を活かし、従来にないレベルの高精細で自然な画像の表示を実現できるEVF用液晶パネルを開発しました。
成果と反響
「ULTIMICRON」の量産は多数のメディアに取り上げられ、展示会で実際に画像をご覧いただいたカメラユーザーや評論家の方々からは、鮮明な表示に高い評価をいただくなど、カメラ業界での注目を集め、実際にEVFの性能向上やカメラの小型・軽量化の実現に貢献しました。
さらに、コンシューマー商品向けだけでなく、放送用・業務用カムコーダーなど映像のプロフェッショナルが使う商品への搭載も進んでいます。また、その高精細な映像を活かして、EVFだけでなく映像の鑑賞を目的とした様々なアプリケーションへの展開など、新しい商品カテゴリー開拓の役割も務めています。