1997年4月 内面累進屈折力レンズ「セイコースーパーP-1」
製品特長
当社が世界に先駆けて開発し、1997年4月に発売された、内面累進屈折力レンズ「セイコースーパーP-1」。従来、レンズ外面にあった累進面を乱視面と融合させて、レンズ内面側に施すことに世界で初めて成功し、光学性能を大幅に向上。レンズの側方部や下方部に感じやすかったゆれや歪みなどの光学性能を、飛躍的に改善することができました。また、累進面がレンズの厚み分だけ目に近づいたことなどで、より明るくクリアな視界を実現(当社外面累進レンズ比)。さらに、外面累進レンズと比較した場合、約30%の視野拡大を実現したのでした。
当社独自の設計手法と最先端技術により開発された、この「内面非球面設計」。すべての度数の組み合わせに対応した個々の非球面をつくりだすことにより、それぞれの度数において非点収差などを最適に補正し、像のボケや歪曲収差(歪み)を抑えることに成功しました。また、度数に応じて非球面の量やエリアを細かく設定することにより、さらにクリアな遠用部を確保。さらに、「内面累進設計」により、遠用と近用の倍率の差を極限まで低減させることができました。
誕生の背景
1975年に初めてプラスチック眼鏡レンズ商品を発売して以来、当社はプラスチックレンズの強みである高機能化を追求し、1980年に国産初の累進屈折力レンズを開発。その後は、商品ラインアップ拡充を図る中で、レンズ製造に使用するガラス型の製作納期短縮と、レンズ性能の向上という、2つの課題をクリアすることが開発テーマの中心となりました。
まず、レンズ型の納期短縮のために、レンズ型製造のための機械およびシステムを開発。1993年からこれらを使用した累進屈折力レンズの量産がスタートしました。その後、このシステムを“レンズそのものの直接加工技術として転用し、レンズ内面側に累進屈折面を施す”という発想が生まれ、超高速切削技術や高精度研磨技術などの量産技術、累進面と乱視面を合成する設計技術が開発されました。その結果、1997年4月、世界初の内面累進屈折力レンズ「セイコースーパーP-1」が誕生したのでした。
成果と反響
この内面累進屈折力レンズ「スーパーP-1」は、業界や市場から高い評価を得て市場に浸透し、販売も急拡大していきました。また、この世界初の「内面累進屈折力レンズ」開発は、それから何年もの間、国内外他社の追随を許さず、当社を眼鏡レンズメーカーとして業界トップクラスにまで引き上げる原動力となりました。その後も「スーパーP-1」はさらなる進化を続け、2003-2004年には「グッドデザイン賞・ユニバーサルデザイン賞」も受賞しています。