YUIMA NAKAZATOと創るファッションの未来

2026年1月28日、パリのオートクチュールウィークで発表されたYUIMA NAKAZATOの最新コレクション「SILENT」の制作の一部をエプソンがサポートしました。

世界のさまざまな地を旅しながら創作を続けるデザイナー・中里唯馬氏。今回のインスピレーションの源は、鹿児島県・屋久島でした。
川が削り出した流線形の石や、流木の年輪——人智をはるかに超える時間の中で育まれた自然の美しさを、エプソンのデジタル捺染機による衣服プリントと、1,500時間に及ぶ粘土作業から生まれた流線形の陶器によって表現しました。さらに、ドライファイバーテクノロジー*1で古着などから繊維化した不織布シートに、漆加工と錫粉を施すことで、これまでにない質感を持たせ、美しいヒール作品を生み出しています。

参考リンク:YUIMA NAKAZATOホームページ

©Mika Inoue

©Yuima Nakazato

デジタル捺染プリンターML-13000を用い、中里氏が自ら撮影した屋久島の夜空を衣装にプリント。
コレクションテーマ「SILENT」を象徴する2着。

見えない印刷:表現を超えた「機能としてのプリント」

今期のデジタル捺染を使った制作では、色や柄を再現する視覚的な表現効果にとどまらず、インクジェットプリントによる新たな機能の可能性を探求しました。

透明な機能性インクをシルクオーガンジー生地にデジタル印刷すると、裁断しても、ほつれが生じにくくなる効*2に着目しています。これにより、従来の工程で必要とされてきた複雑な布端処理を省くことができました。

その結果、裁断面を切りっぱなしにすることで生まれ軽やかでシャープな表情と、シルクが本来持つ繊細で上質な風合いが融合し、中里氏のシルク作品にはこれまでになかった新たな表現を際立たせています。

中里氏のコメント:
「本来プリントは視覚的な装飾を加えるものだが、今回は衣服の構造や制作工程に関わる要素としてプリントの在り方を再定義しています。多くの制作工程を見えない印刷に置き換える逆転の発想が今回の新たなプリントの活用方法の提案です。透明な機能性インクは目に見えないが、服として仕上がった際には確かにこのインクの存在がなければ実現しえない衣服の姿が立ち現れてくるという点が非常に面白いと感じています。コレクションタイトルのSILENTという言葉は、無音なのではなく、静けさがそこに存在しているというニュアンスを持つ言葉。このタイトルと透明のインクの在り方が重なると思っています。」

©Mika Inoue

©Yuima Nakazato

漆加工 × 錫粉:日本の伝統美と現代ファッションを、さらなる次元へ

デジタル捺染技術に加え、エプソンのドライファイバーテクノロジーも、本コレクションにおいて重要な役割を担っています。世界各地からケニアに集まる古着や、縫製工場から出る端材を素材の一部として、この技術を用いて繊維化し、新たな不織布シートへと再生しています。

中里氏は、今回コレクション着用されたすべての靴に、ドライファイバーテクノロジーで再生した不織布シートを使用しました。前回に引き続き、この不織布シートに日本古来から脈々と受け継がれてきた伝統的な漆加工を施した表現を追求しており、今回はさらに金色・銀色の錫粉を加えることで、これまでにない美しさと物語性を兼ね備えた独自の素材表現へと昇華しています。

中里氏のコメント:
「使われなくなった布素材をドライファイバーテクノロジーで生まれ変わらせ、新たな価値へ転換する試みを、エプソンと続けています。ファッションの未来は、このようなクリエイティビティとサステナビリティを同時に可能にする技術とともに進化していく必要があると考えています。」

エプソンはYUIMA NAKAZATOとともに、これからも持続可能なファッションの未来を切り拓いていきます。

©Mika Inoue

©Yuima Nakazato

*1 水をほとんど使用せず、多様な素材を繊維化し高性能化するエプソン独自の技術。詳細はこちらをご確認ください。 ドライファイバーテクノロジー

*2 インクプリントによるほつれにくくなる効果は、試験中の技術であり、製品としての提供は行っておりません。