2025年5月29日

香港繊維アパレル研究開発センター

セイコーエプソン株式会社

HKRITAとエプソン、コットンからシルクのような再生繊維を開発

香港繊維アパレル研究開発センター(The Hong Kong Research Institute of Textiles and Apparel、CEO:ジェイク・コー(Jake Koh)、香港、以下 HKRITA)と、セイコーエプソン株式会社(代表取締役社長:𠮷田潤吉、本社:長野県諏訪市、以下 エプソン)は、新しい生産プロセスにより、不用となったコットン生地を原料にした、シルクのような光沢感がある新たな再生セルロース繊維の開発に成功しました。

昨今、世界的な環境に対する意識の高まりに基づき、衣類についても、不用となった衣類から再生した繊維を使用する動きが加速しています。特に欧州では、再生繊維の使用比率を引き上げ、廃棄衣料を削減する動きが進んでいます。

そこで、このような社会課題の解決に向けて、HKRITAとエプソンは2024年1月18日に共同開発に関する契約を締結し、再生繊維に関する開発を進めてまいりました。この度、その成果として、不用となったコットン生地を再生繊維化する新しい生産プロセスにより、新たな再生セルロース繊維の開発に成功しました。

この新しいプロセスは、エプソン独自のドライファイバーテクノロジーによる解繊技術と、HKRITAがもつ繊維の溶解技術の融合により実現したもので、(1)不要なコットン生地を綿状に解繊、(2)そのコットンを溶媒に溶解、(3)凝固液の中でノズルから吐出させ、固化することで紡糸します。

また、このプロセスで生成した再生セルロース繊維はシルクのように滑らかな光沢感を持ち、さらにコットン由来の強さを併せ持つことが期待できます。今後、スカーフやネクタイ、スーツ裏地といった高級素材への利用が見込まれます。また、再生繊維の生産工程で発生し、今まで破棄されることが多かった短繊維からも生成できるため、衣類全体の再生率向上にも貢献することができます。

新たに開発した
再生セルロース繊維

HKRITAのジェイク・コー(CEO)は、「HKRITAは、応用研究機関として、現実の問題を解決し、現在の技術や製品をより良いものにするように取り組んでいます。私たちは、繊維を再生し、高品質な糸へと生まれ変わらせるエプソンとの協業に大きな期待を抱いています。この異なる業種による連携は、素材の新たな活用だけではなく、持続可能なものづくりの未来を改めて明確にするものでもあります。」と述べています。

エプソンの細野聡(執行役員 地球環境戦略推進室副室長 技術開発本部副本部長)は、「この共同開発プロジェクトにより、また新しい成果が生まれたことを嬉しく思います。コットンを原料にした繊維再生については、既に開発しているドライプロセスと今回のプロセスとの使い分けにより、環境負荷を抑制しながら、不用なコットン生地を余すことなく再生することができるでしょう。」とコメントしています。

なお、今回の共同開発の内容は、2025年6月4日からベルギーのブリュッセルで開催される Textiles Recycling Expo 2025 において、HKRITAのブース(2415)にて展示します。

今後も、HKRITAとエプソンは、お互いの先進的な技術を融合させ、世界的な課題である衣類のリサイクルを推進するため、再生繊維の普及加速に貢献していきます。

■ 香港繊維アパレル研究開発センター|The Hong Kong Research Institute of Textiles and Apparel(HKRITA)について

2006年に設立されたHKRITAは、香港特別行政区政府の創新科技署(Innovation and Technology Commission)から資金提供を受け、香港理工大学(The Hong Kong Polytechnic University)に設置されています。HKRITAは、繊維およびアパレル産業全体の競争力を高め、持続可能な改善を推進して社会に利益をもたらすことを目的に、繊維およびアパレル産業をサポートするための応用研究に取り組んでいます。応用研究、技術移転、商業化のためのワンストップサービスを提供し、産業活用に向けたプロジェクトの成功のため、たゆまぬ努力を重ねています。

www.hkrita.com/

以上

記載されている情報は発表日現在のものです。予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。