2025年5月26日

セイコーエプソン株式会社

国際規格IEC61508 SIL1準拠の機能安全モデルIMU『M-G355QDG0』を量産出荷開始

- IEC61508準拠の設計を実現し、より安全な慣性力計測に貢献 -

セイコーエプソン株式会社(以下 エプソン)は、高性能な6軸センサーを搭載した慣性計測ユニット(IMU*1:Inertial Measurement Unit)の新ラインアップとして、国際規格IEC61508 SIL1準拠の機能安全モデル『M-G355QDG0』(以下 M-G355)を開発、2025年5月より量産を開始します。

『M-G355』マーキング面

2011年にエプソン初となるIMU製品を発売以来、当社IMUは、精密農業(GNSS*2)や産業用ロボット、EO/IRカメラジンバル*3、アンテナの制振制御など、さまざまなアプリケーションに採用され、多くの実績と高い品質により市場から好評を得ています。近年では、基本性能に加え、より安全に機能する製品のニーズが増大しています。それに伴いIMUにも国際規格に準じた設計、生産などを行う要求が高まっています。

新製品『M-G355』では、従来の1インチ製品「M-G366PDG0」(以下M-G366)をベースに、当社IMUとして初めてIEC61508 SIL1に準じた製品化を実現しました。本規格への準拠により、高安定性、高信頼性が要求される多様な産業アプリケーションへ適用可能です。

1インチプラットフォーム製品のラインアップ拡充により、用途に合わせてさまざまな機能・性能から最適な製品をお客様に選択いただけます。

エプソンは、社会・技術の変革を踏まえ、今後も小型・軽量・低消費電力に加え、高精度・低ノイズ高安定といった「省・小・精」から生み出す価値で、お客様の商品・サービスに大きく貢献するセンシングシステムを提供していきます。

■新製品の特長

  • IEC61508 SIL1に準拠
  • 1インチサイズプラットフォーム(24 × 24 × 10 mm3
  • 従来製品(M-G366)と互換性を維持し、お客様の開発コスト・評価期間を大幅に削減可能

■本製品のアプリケーション

  • ナビゲーションシステム(GNSS、INS*4、高精度ロケータ)など
  • 無人機(産業ドローン・地上車・海底探査)など
  • 産業機器などの振動・角度・軌道計測

【関連リンク】

製品の詳細情報は下記ウェブページをご参照ください。

www.epson.jp/prod/sensing_system/

【お客様のお問い合わせ窓口】

セイコーエプソン株式会社 MD営業部 MDプロダクトマーケティンググループ

www.epson.jp/prod/sensing_system/contact/

■『M-G355』概仕様、および従来1インチプラットフォーム製品

性能・機能 新製品 機能安全モデル 従来品姿勢角出力モデル
製品名 M-G355QDG0 M-G366PDG0
検出範囲 ジャイロセンサー*5 ±450°/s
加速度センサー ±16G / ±8G ±16G / ±8G
精度・安定性 ジャイロバイアス安定性*6 1.2°/h 1.2°/h
角度ランダムウォーク*7 0.08°/√h 0.08°/√h
初期バイアス ジャイロセンサー 360°/h, σ
(-40 ~ +85℃)
360°/h, σ
(-40 ~ +85℃)
加速度センサー 3mG, σ
帯域 ジャイロセンサー 189Hz 472Hz
加速度センサー 148Hz 333Hz
インターフェイス SPI / UART SPI / UART
出力分解能 16 / 32 bit
最大データ出力レート 400Hz 2,000Hz
動作温度範囲 -40 ~ +85℃ -40 ~ +85℃
消費電流 16mA (3.3V) 16mA (3.3V)
製品サイズ 24 × 24 × 10 mm3 24 × 24 × 10 mm3
安全度水準 IEC61508 SIL1 QM

*1:慣性計測ユニット(Inertial Measurement Unit:通称IMU)
3軸の角速度センサーと3軸の加速度センサーからなる慣性運動量を検出する装置

*2:GNSS(Global Navigation Satellite System)
全地球測位衛星システム

*3:EO/IR(Electro-Optical/Infra-Red)カメラジンバル
電気光学式、赤外線式カメラシステム

*4:INS(Inertial Navigation System)
慣性航法装置

*5:ジャイロ(角速度)センサー
基準軸に対する、物体の単位時間当たりの回転角度(角速度)を検出するセンサー

*6:ジャイロバイアス安定性(Bias Instability)
アラン分散*で水平(0乗)の特性を表す部分をバイアス安定性と呼ぶ。1/fノイズと相関があり、センサーのポテンシャルを表す重要な指標の一つである

*7:角度ランダムウォーク
アラン分散の-1/2乗の傾きがある部分を角度ランダムウォークと呼ぶ。ホワイトノイズと相関があるため、平均時間を長くすると平均時間の-1/2乗で値は小さくなる

*:アラン分散
センサーの性能を表す指標の一つで、静止時出力の安定性を表している。横軸にデータの平均時間、縦軸に平均時間で区切ったときの平均値の分散を示している。アラン分散に現れる特性の傾きは-1、-1/2、0、1/2、1乗の傾きになることが知られており、アラン分散はノイズ密度と相関性があり、ノイズ密度は周波数、アラン分散は時間で表現される指標である。値が小さいほど、安定度が高く、性能がよいことを示す。

以上

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