2023年6月15日
セイコーエプソン株式会社
1インチサイズプラットフォームIMUのラインアップを拡充、ハイスペックモデル『M-G370PDG』を発売
セイコーエプソン株式会社(以下 エプソン)は、高性能な6軸センサーを搭載した慣性計測ユニット(IMU*1:Inertial Measurement Unit)の新ラインアップとして、ハイスペックモデル『M-G370PDG』(以下M-G370G)を開発、2023年7月より量産出荷を開始します。
2011年にエプソン初となるIMU製品を発売以来、当社IMUは、精密農業(GNSS*2)や産業ドローン、カメラ・アンテナ制振制御など、さまざまなアプリケーションに採用され、多くの実績と高い品質により、市場から好評を得ています。当社IMUは、約1インチの縦横サイズを基本とした1インチサイズプラットフォーム製品として、ベーシックモデルからハイスペックモデルまでをラインアップしています。このたび、本サイズでのお客様の選択肢をさらに拡充するため、ハイスペックモデルに『M-G370G』を追加しました。
新製品『M-G370G』は、スタンダードモデル「M-G366」およびベーシックモデル「M-G330」で実現した加速度センサーの検出範囲±8G/16Gをお客様にて切り替えて使用いただける機能と、ジャイロセンサーのすべての検出範囲においてノンリニアリティ*3特性0.05%を実現する機能をハイスペックモデルに搭載しました。これにより、ゆっくりした動作から早い動作まで、さまざまな動作を高精度に計測することが可能となります。
小型・軽量・低消費電力といった特長を持つ1インチサイズプラットフォーム製品のラインアップの拡充により、用途に合わせてさまざまな機能・性能から最適な製品をお客様に選択いただくことが可能となりました。
なお、新製品『M-G370G』は、2023年7月26日(水)から28日(金)に東京ビックサイトで開催される、「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023」(主催:一般社団法人日本能率協会)に出展予定です。
エプソンは、社会・技術の変革などから、情報を可視化できる高精度センサーの必要性がますます高まってくると考えています。今後も、小型・軽量・低消費電力に加え、高精度・高安定といった「省・小・精」から生み出す価値で、お客様の商品・サービスに大きく貢献するセンシングシステムを提供していきます。
■新製品の特長
-
1インチサイズプラットフォーム(24 × 24 × 10 mm³)
従来製品(M-G330/366/370F/370S)と互換性を維持し、お客様の開発コスト・評価期間を大幅に削減可能 - 加速度センサーの検出範囲 ±8G/16Gをお客様にて切り替え可能
- ジャイロセンサーのすべての検出範囲において、ノンリニアリティ特性0.05%を実現
- 低消費電流 16mAを実現
■本製品のアプリケーション
- カメラ・アンテナなどの制振制御
- 無人機(産業ドローン・地上車・海底探査)など
- 産業機器などの振動・角度・軌道計測
- ナビゲーションシステム(GNSS、INS*4、高精度ロケータ)など
【関連リンク】
製品の詳細情報は下記ウェブページをご参照ください。
https://www.epson.jp/prod/sensing_system/
【お客様のお問い合わせ窓口】
セイコーエプソン株式会社 MD営業部 MDプロダクトマーケティンググループ
https://www.epson.jp/prod/sensing_system/contact/
■M-G370Gの概仕様および1インチサイズ ハイスペックプラットフォーム製品
性能・機能/製品名 | 新製品 | 従来品 | 従来品 | |
---|---|---|---|---|
新ハイスペック モデル |
ハイスペック モデル |
ハイスペック 低ノイズモデル |
||
製品名 | M-G370G | M-G370F | M-G370S | |
検出範囲 | ジャイロセンサー*5 | ±450 °/s | ±450 °/s | ±200 °/s |
加速度センサー | ±16 G / ±8 G | ±10 G | ±10 G | |
精度 ・ 安定性 |
ジャイロバイアス安定性*6 | 0.8°/h | ||
角度ランダムウォーク*7 | 0.06 °/√h | 0.06 °/√h | 0.03 °/√h | |
ジャイロノンリニアリティ |
0.05 % of Full Scale |
0.05 % of ±300 °/s |
0.05 % of ±130 °/s |
|
初期 バイアス |
ジャイロセンサー | ±360 °/h,σ(-40 ℃~+85 ℃) | ||
加速度センサー | ±2 mG,σ | |||
インターフェイス | SPI / UART | |||
出力分解能 | 32bit / 16bit | |||
最大データ出力レート | 2,000 Hz | |||
動作温度範囲 | -40 ℃ ~ +85 ℃ | |||
消費電流 | 16 mA(3.3 V) | |||
製品サイズ | 24 × 24 × 10 mm³ |
※断りなき場合、仕様値はTypical値です
*1:慣性計測ユニット(Inertial Measurement Unit:通称IMU)
3軸の角速度センサーと3軸の加速度センサーからなる慣性運動量を検出する装置
*2:GNSS(Global Navigation Satellite System)
全地球測位衛星システム
*3:ノンリニアリティ
ジャイロセンサーあるいは加速度センサーの入出力特性において、線形近似したときの近似直線と出力値のずれ幅(誤差)の最大値をフルスケールとの比で表したもの
*4:INS(Inertial Navigation System)
慣性航法装置
*5:ジャイロ(角速度)センサー
基準軸に対する、物体の単位時間当たりの回転角度(角速度)を検出するセンサー
*6:バイアス安定性(Bias Instability)
アラン分散※で水平(0乗)の特性を表す部分をバイアス安定性と呼ぶ。1/fノイズと相関があり、センサーのポテンシャルを表す重要な指標の一つである
*7:角度ランダムウォーク
アラン分散の-1/2乗の傾きがある部分を角度ランダムウォークと呼ぶ。ホワイトノイズと相関があるため、平均時間を長くすると平均時間の-1/2乗で値は小さくなる
※:アラン分散
センサーの性能を表す指標の一つで、静止時出力の安定性を表している。横軸にデータの平均時間、縦軸に平均時間で区切ったときの平均値の分散を示している。アラン分散に現れる特性の傾きは-1、-1/2、0、1/2、1乗の傾きになることが知られており、アラン分散はノイズ密度と相関性があり、ノイズ密度は周波数、アラン分散は時間で表現される指標である。値が小さいほど、安定度が高く、性能がよいことを示す。
以上
記載されている情報は発表日現在のものです。予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。