視覚障がい者と共に考える"使いやすさ"
ダイバーシティフェア2025の一企画として、視覚に障がいのある方をリードユーザーとして迎え、エプソンのプリンターを題材にしたインクルーシブデザインワークショップを実施しました。
本ページで示す「リードユーザー」とは、一般的なユーザーよりも一足先に製品やサービスの課題に直面し、その経験を通じて、これからの使いやすさや新たな価値の手がかりを示してくれる存在を指します。
※ダイバーシティフェア2025についてはこちらからご確認ください
見えているはずの「使いやすさ」が、見えなくなるとき
プリンターを操作するとき、私たちは画面を見て、ボタンを押し、表示を確認しながら次の動作へ進みますが、こうした一連の流れは、「視覚情報が得られること」を前提に成り立っています。
一方で、視覚に障がいのある方にとっては、操作そのものだけでなく、「今、何が起きているのか」「次に何をすればよいのか」を把握する手がかりが不足する場面があります。
今回のワークショップは、その違いに向き合うところから始まりました。
「想像する」のではなく、「共に考える」
「インクルーシブデザイン」とは、これまで製品やサービスづくりの対象から外れがちだった方々を、製品開発の初期段階から巻き込み、共につくり上げていくデザイン手法です。
今回のワークショップでは、視覚に障がいのある4名の方をリードユーザーとしてお招きし、4つのグループに分かれて、体験や観察、対話を通じたワークを進めました。
参加した社員は合計20名。プリンターの設計やデザインに関わる部門の社員を中心に、他事業や関係会社の社員も参加しました。
視覚障がいを体験し、自分たちの前提に気づく
ワークショップの前半では、参加者自身が視覚を制限した状態を体験しました。距離感がわからない、次に何をすればよいのか判断できない等、普段は意識することのない不安が、行動の一つひとつに影響します。
この体験を通じて、単に障がいを理解するだけでなく、自分たちがどれほど視覚情報に頼っていたかに気づく時間となりました。
プリンターを触って見えてきた、具体的な「使いづらさ」
続いて、リードユーザーがプリンターを操作する様子を、社員が周囲で観察しました。
日常的に使っているプリンターも、視覚が制限された状態では「どこから触ればよいのかわからない存在」になり得ます。タッチパネルやセットアップの工程など、仕様や規格だけでは見えにくい使いづらさが、実際の操作の中で浮かび上がってきました。
説明を聞くのではなく、どの場面で戸惑いが生じるのかを目の前で確かめることができる、貴重な機会となりました。
理想のプリンターを、リードユーザーと共に考える
後半のディスカッションでは、各グループのリードユーザーがそれぞれ思い描く「理想のプリンター」をテーマに、どうすればそれを形にできるのかを、具体的な場面を想像しながら考えていきました。
参加者は、それぞれの専門や業務の視点から意見を出し、リードユーザーの言葉に耳を傾けながら、グループで考えを深めていく様子が見られました。
ワークショップを通じて得られたもの
参加者アンケートからは、「知識として理解していたことが、体験を通して自分ごととして捉え直された」「製品に関わる立場として、普段見落としていた点に気づくきっかけになった」といった声も聞かれました。
今回のワークショップは、単に障がいに関する知識を理解することや、製品の使いづらさを把握することにとどまらず、参加者それぞれが、異なる立場や業務の視点の中で、自分なりの問いや気づきを得る場となりました。